とき)” の例文
たとえば、そよそよと吹く風の、いつ来て、いつんだかを覚えぬがごとく、夕日の色の、何のときに我がそでを、山陰へ外れたかを語らぬごとく。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我もミノタウロのしかするを見き、彼ときをみてよばゝりていふ、走りて路を得よ、彼狂ふにくだるぞ善き 二五—二七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「やーい、人類。ざまァみろ。さあ、このときをはずさず、われわれ全生物は人類に向って談判だんぱんをはじめるんだ」
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
蹴って「親分、この犬あきの字でさあ。ちっ、目的もなしに吠え立てやがったに違えねえ。真に受けて飛び出して来たわしらこそ好え面の皮だ。ときもあろうにこの荒ん中を——。」
もう中日なかびはすんでいたが、演らないよりはまし、名誉挽回このときにありと
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
ときこそ来たれ。と泰助が、幕を絞ってあらわれたり。名にし負う三日月の姿をちらと見せるとおもえば、早くもお藤を小脇にいだき、身をひるがえして部屋を出でぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隠現いんげんときに応ずる一種忍びの怪術を心得ていたのだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)