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喊
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とき
ふりがな文庫
“
喊
(
とき
)” の例文
「もう防げまい。叡山の衆も、木曾殿と合体して、谷々から、太刀弓矢をとり出し、はや加茂川の上に、
喊
(
とき
)
の声をあげているとやら」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
河の殆ど中央に
蟠
(
わだかま
)
る巨岩に思うさま衝き当って、
喊
(
とき
)
の声と共に水烟を揚げてうねり狂って行くが、すぐ右に曲って絶壁の間に身を潜めている。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
足掛
(
あしかけ
)
三
年
(
ねん
)
に
跨
(
またが
)
る
籠城
(
ろうじょう
)
……
月
(
つき
)
に
幾度
(
いくど
)
となく
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
される
夜打
(
ようち
)
、
朝駆
(
あさがけ
)
、
矢合
(
やあ
)
わせ、
切
(
き
)
り
合
(
あ
)
い……どっと
起
(
おこ
)
る
喊
(
とき
)
の
声
(
こえ
)
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
沢山の赤や青の藻で飾り立てまして、
陸
(
おか
)
の方から吹く朝風に一度に
颯
(
さっ
)
と帆を揚げますと、湧き起る
喊
(
とき
)
の声と一緒に
舳
(
へさき
)
を揃えて、沖の方へと乗り出しました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
相手の氣勢さへ
挫
(
くじ
)
けば、八五郎の馬鹿力は最も
有效
(
いうかう
)
に働きます。二人の青持と力を
併
(
あは
)
せて、
瞬
(
またゝ
)
くうちに生捕つた曲者が、二人、三人、五人、——折から關所の方にあがる
喊
(
とき
)
の聲。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
後では、男女を合せて五六人の高い笑聲が、ドッと許り
喊
(
とき
)
の聲の樣に聞えた樣であつた。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
敵は寝耳に水のおどろきで、ぞろぞろと格納庫やあな蔵のなかからとびだしてきたが、そこへ、わーっと
喊
(
とき
)
の声をあげてとびこんできたのが、大月大佐を先頭に決死隊甲組の面々であった。
大空魔艦
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
(空が赤くなる。わッわッと
喊
(
とき
)
の声が聞える)おう、八丁徳さんの方で
凱歌
(
かちどき
)
をあげてるな。こうなりゃ俺の日当だけのことは終ったんだ。ああ気になり出した。行こう行こう、大急ぎで行こう。
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
そのとき屋敷のうらの空地の、
俄
(
にわ
)
か
立
(
だ
)
ての米庫の方で、わあッと起る、民衆の
喊
(
とき
)
のこえ——さえぎるもののない彼等は、今や、戸前という戸前を破壊して、存分に米穀を掴み出しているに相違ない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
喊
(
とき
)
の声さえ挙げていないようだ。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
呂布が逃げたので、一時はさんざんな
態
(
てい
)
だった味方は、果然、意気を改めた。国々の諸侯は総がかりを号令し、
喊
(
とき
)
の声は大いに奮った。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後では、男女を合せて五六人の高い笑声が、ドツと許り
喊
(
とき
)
の声の様に聞えた様であつた。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二人の青侍と力を併せて、瞬くうちに生け捕った曲者が、二人、三人、五人、——折から関所の方にあがる
喊
(
とき
)
の声、助勢の人数と見て、残る曲者は、パッと
蜘蛛
(
くも
)
の子を散らしてしまいました。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おきぬ あ、
喊
(
とき
)
の声をあげている。
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
ところがこの時、
喊
(
とき
)
の声や鼓の音が地を震わすばかり聞えてきた——愕然、城壁の上に走り出て見ると、呉の大軍がはや城を囲んでいた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眼前の曹軍があげる
喊
(
とき
)
の声は、満山の
吼
(
ほ
)
えるが如く、背後にせまる江南数百の兵船は
海嘯
(
つなみ
)
のように彼を脅かして、夜の眠りも与えなかった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「たいへんです。
郭汜
(
かくし
)
の軍勢が城門に押しよせ、帝の玉体を渡せと、
喊
(
とき
)
のこえをあげ、
鼓
(
こ
)
を鳴らして、ひしめいておりまする」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
枕に顔をあてがうと、
戸外
(
おもて
)
の山風は樹々を揺すり、屋の
棟
(
むね
)
を吠えめぐって、さながら天狗の
喊
(
とき
)
の
声
(
こえ
)
かと怪しまれてくる。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
喊
(
とき
)
の声と共に、各所から花火のような火が噴いた。流星の如く
炬火
(
たいまつ
)
が飛ぶ。蛮陣の内は上を下への大混乱を起している。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鼓角、鉄砲、
喊
(
とき
)
の声は、瞬時の間に起って、魏の先鋒の大半を
殲滅
(
せんめつ
)
した。その中には、魏将の
秦朗
(
しんろう
)
も討死を遂げていた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「すわ!」と、近づく
喊
(
とき
)
の声、はや矢ばしりの響き。玄徳の少ない手勢は、すでに色を失って、四方へ逃げかけた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するとその時、江上一面に、
喊
(
とき
)
の声や
鼓
(
こ
)
の音が起って、河波をあげながらそれは徐々に近づいてくる様子だった。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「突っこめ!」の命とともに二ヵ所の勢、
喊
(
とき
)
をつくって
雪崩
(
なだ
)
れ、鼓をうち、
銅鑼
(
どら
)
を鳴らして、突っ込んで行った。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その言葉の終るか終らぬうち、突如として、鼓の音響き、
喊
(
とき
)
の声が遠く近く聞えだして、陣中は騒然となった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、あわてたのか、その時、平家の陣所の方で、
海嘯
(
つなみ
)
に追われた人間の悲鳴を思わすような
喊
(
とき
)
の声があがった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その夜、李粛は、一軍の奇兵をひいて、月明りをたよりに、間道をすすみ、梁東の部落を本拠に布陣している寄手の背後へまわって、突如、
喊
(
とき
)
の声をあげた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明智一党の軍馬がなお
轡
(
くつわ
)
の音や
喊
(
とき
)
の声を止めず、また本能寺方面にもただならぬ武者声が聞かれたであろう。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、道にうろたえだした人馬が、互いに踏み合い転げあって、
阿鼻叫喚
(
あびきょうかん
)
をあげていたときは、すでに天地は
喊
(
とき
)
の声にふさがり、四面金鼓のひびきに満ちていた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朝まだほの暗い一天にただならぬ
鼓
(
つづみ
)
や
喊
(
とき
)
の
声
(
こえ
)
を聞いて、信忠たちが
刎
(
は
)
ね起きたときは、すでにここも明智勢の囲みのうちにあったことは、本能寺と変りはない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
陳式は山の後ろに廻って、
喊
(
とき
)
をつくってどっとばかり攻め上げれば、夏侯尚も
御参
(
ござん
)
なれとこれを迎えた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて
箕関
(
きかん
)
(河南省・河南附近)という所の関所にかかると、その夜もすでに四更の頃、四山の闇から点々と
松明
(
たいまつ
)
の光が
閃
(
ひら
)
めき迫って来て、それが
喊
(
とき
)
の声に変ると
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然るべき家も見当らないので、大きな沼の
畔
(
ほと
)
りの百姓家に泊めてもらった。すると真夜中に
喊
(
とき
)
の声だ。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城の門は、城中の者の手で、敢然と、大きく開かれ、千余人の将士は、
喊
(
とき
)
の声をあげて斬って出た。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その間に、城中の一部から、思いもよらぬ
喊
(
とき
)
の声が起った。曹豹が、裏切りをはじめたのである。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ときに、国分佐渡守やほか二、三の部将が、およそ四、五百の兵をひきいて、藤田隊の横から、急に、
攻
(
せ
)
め
鉦
(
がね
)
を鳴らし、
喊
(
とき
)
の声をあげ、さも大軍のように、
喚
(
わめ
)
き
襲
(
よ
)
せた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さも残念そうに、独り
唸
(
うめ
)
きながら、彼は馬を捨てて渓流のそばへ寄った。そして身をかがめて水を飲もうとすると、四方からまた
喊
(
とき
)
の声と金鼓がこだまして鳴りひびく。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「オオ……
喊
(
とき
)
の声がする。敵が近づいて来るらしい。趙雲、何でそなたは、大事な若君を預りながら、なお迷っているか。早くここを去ってたも。……
妾
(
わらわ
)
などは見捨てて」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呂蒙
(
りょもう
)
などという呉将の名だたる手勢手勢が、
喊
(
とき
)
を作り、
銅鑼
(
どら
)
をたたき、一度に
取籠
(
とりこ
)
めて猛撃して来たため、空陣の袋に入っていた曹仁以下の兵は、度を失い、さわぎ立って
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朝焼けの雲は
紅々
(
あかあか
)
と城東の空にながれていた。同文の矢文が何十本となく射込まれたのを合図に、金鼓の響き、
喊
(
とき
)
の声は、地を震わし、十数万の寄手は、いちどに城へ攻めかかった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、甲軍は形のごとく、重厚堅密な布陣をもってし、まずその前列に布いた鉄砲組から、敵の旋回陣へむかって、鉄砲の射撃を開始したのであるが、上杉方から
早鉦
(
はやがね
)
が鳴り、
喊
(
とき
)
の声が沸くやいな
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近づくに従って、その早舟の群れからは、鼓の音や
喊
(
とき
)
の声が聞えた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たちまち一
叢
(
そう
)
の林のうちから、
鼓鉦
(
こしょう
)
、
喊
(
とき
)
の声があがって
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
喊
漢検1級
部首:⼝
12画
“喊”を含む語句
喊声
吶喊
喊呼
叫喊
喊聲
突喊
咄喊
大喊声
喊声鼓雷
喊殺
喊鼓
大叫喊
大喊呼
突喊性
金鼓喊声
馬蹄喊声