“べに”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ベニ
語句割合
85.9%
臙脂8.7%
口紅1.7%
紅唇1.0%
紅脂1.0%
唇紅0.3%
嚥脂0.3%
紅潮0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
車の中の人は見えないが、べに裾濃すそごに染めた、すずしの下簾したすだれが、町すじの荒涼としているだけに、ひときわ目に立ってなまめかしい。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
裲襠うちかけのすそを音もなく曳いて、鏡のまえに一度坐る。髪の毛、一すじの乱れも、良人を暗くするであろう。臙脂べにも、せていてはならぬ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口紅べに白粉おしろいの薄化粧をほどこしているさま、敢て魔神ののろいを身にうけんとして来た化粧としか思われません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、玉枝は、笹いろに光る紅唇べにのあいだから、細かい歯を見せて、遠心的に
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七歳の時紅梅こうばいを御覧じて「梅の花紅脂べにのいろにぞ似たる哉阿古あこが顔にもぬるべかりけり」十一の春(斉衡二年)父君より月下梅げつかのうめといふだいを玉ひたる時即坐そくざに「月カヽヤクハハル、 ...
こんな立話のまも、彼女はそわそわとびんのおくれ毛や唇紅べにせを気にして、また、つと鏡の間へ入って、身粧みじまいを見直し、それからやっと如海の前へ出て、婉然えんぜんと、あいさつしていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少し大きい唇にさした嚥脂べにの、これもあくどい色の今は怖ろしいよう、そして釣目つりめは遠い白雲しらくもを一直線に眺めている。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
勢いを得たほのおとともに、自責せめ羞恥はじらい紅潮べにとなってかれの頬をいろどる。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
小翠はただ首を垂れて微笑しながら手でこしかけの隅をむしりだした。夫人がいってしまうと小翠はもういたずらをはじめて、元豊の顔をべにおしろいでくまどって鬼のようにした。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
しかるにこれを訴人して、後にざまあ見ろをくらって、のりべにになってもがくのは、芝居でも名題の買って出ぬ役廻やくまわりであろう。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)