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紅
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くれな
ふりがな文庫
“
紅
(
くれな
)” の例文
黒塗
(
くろぬり
)
のランドーの
蓋
(
おおい
)
を、秋の日の暖かきに、払い退けた、中には
絹帽
(
シルクハット
)
が一つ、美しい
紅
(
くれな
)
いの
日傘
(
ひがさ
)
が一つ見えながら、両人の前を通り過ぎる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
初鮏は光り銀のごとくにして
微
(
すこし
)
青
(
あを
)
みあり、
肉
(
にく
)
の色
紅
(
べに
)
をぬりたるが
如
(
ごと
)
し。仲冬の頃にいたれば
身
(
み
)
に
斑
(
まだら
)
の
錆
(
さび
)
いで、
肉
(
にく
)
も
紅
(
くれな
)
ゐ
薄
(
うす
)
し。
味
(
あぢ
)
もやゝ
劣
(
おと
)
れり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
薄
(
うす
)
らぐべき
由
(
よし
)
もなくて、
世
(
よ
)
をうみ
梅實
(
うめ
)
の
落
(
おつ
)
る
音
(
おと
)
もそゞろ
淋
(
さび
)
しき
日
(
ひ
)
を
幾日
(
いくひ
)
、をぐらき
窓
(
まど
)
のあけくれに、をち
返
(
かへ
)
りなく
山時鳥
(
やまほとゝぎす
)
の、から
紅
(
くれな
)
ゐにはふり
出
(
い
)
でねど
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その声を我が恋人の声と思ふて聴く時に、恋人の姿は我前にあり、一笑して我を悩殺する
昔日
(
せきじつ
)
の色香は見えず、愁涙の
蒼頬
(
さうけふ
)
に流れて、
紅
(
くれな
)
ゐ
闌干
(
らんかん
)
たるを見るのみ。
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
掴
(
つか
)
んで
息絶
(
いきたへ
)
たりお光はほつと
長息
(
といき
)
吐
(
つ
)
き
夜具
(
やぐ
)
かい
退
(
のけ
)
てよく/\見れば全く息は
絶果
(
たえはて
)
て四邊は
血汐
(
ちしほ
)
のから
紅
(
くれな
)
ゐ見るもいぶせき
景状
(
ありさま
)
なり
不題
(
こゝに
)
大藤
(
おほふぢ
)
武
(
ぶ
)
左衞門は娘が出しを
毫
(
すこし
)
も知ず
臥
(
ふし
)
てを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
温厚なる
二重瞼
(
ふたえまぶた
)
と先が少々逆戻りをして根に近づいている鼻とあくまで
紅
(
くれな
)
いに健全なる顔色とそして自由自在に運動を
縦
(
ほしい
)
ままにしている舌と
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いひさしてお
力
(
りき
)
は
溢
(
あふ
)
れ
出
(
いづ
)
る
涙
(
なみだ
)
の
止
(
と
)
め
難
(
がた
)
ければ
紅
(
くれな
)
ひの
手巾
(
はんけち
)
かほに
押當
(
おしあて
)
て
其端
(
そのはし
)
を
喰
(
く
)
ひしめつゝ
物
(
もの
)
いはぬ
事
(
こと
)
小半時
(
こはんとき
)
、
坐
(
ざ
)
には
物
(
もの
)
の
音
(
おと
)
もなく
酒
(
さけ
)
の
香
(
か
)
したひて
寄
(
よ
)
りくる
蚊
(
か
)
のうなり
聲
(
ごゑ
)
のみ
高
(
たか
)
く
聞
(
きこ
)
えぬ。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
紅
(
くれな
)
いは眼の
縁
(
ふち
)
を薄く染めて、
潤
(
うるお
)
った
眼睫
(
まつげ
)
の奥から、人の世を夢の底に吸い込むような光りを中野君の方に注いでいる。高柳君はすわやと思った。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いひさしてお力は
溢
(
あふ
)
れ
出
(
いづ
)
る涙の止め難ければ
紅
(
くれな
)
ひの
手巾
(
はんけち
)
かほに押当てその端を喰ひしめつつ物いはぬ事
小半時
(
こはんとき
)
、坐には物の音もなく酒の香したひて寄りくる蚊のうなり声のみ高く聞えぬ。
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
指先で
撫
(
な
)
でて見るとぬらりと露にすべる。指先を見ると
真赤
(
まっか
)
だ。壁の隅からぽたりぽたりと露の
珠
(
たま
)
が垂れる。
床
(
ゆか
)
の上を見るとその
滴
(
したた
)
りの
痕
(
あと
)
が鮮やかな
紅
(
くれな
)
いの紋を不規則に
連
(
つら
)
ねる。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
八
疊
(
でう
)
の
座敷
(
ざしき
)
に六
枚
(
まい
)
屏風
(
びやうぶ
)
たてゝ、お
枕
(
まくら
)
もとには
桐胴
(
きりどう
)
の
火鉢
(
ひばち
)
にお
煎茶
(
せんちや
)
の
道具
(
だうぐ
)
、
烟草盆
(
たばこぼん
)
は
紫檀
(
したん
)
にて
朱羅宇
(
しゆらう
)
の
烟管
(
きせる
)
そのさま
可笑
(
をか
)
しく、
枕
(
まくら
)
ぶとんの
派手摸樣
(
はでもやう
)
より
枕
(
まくら
)
の
總
(
ふさ
)
の
紅
(
くれな
)
ひも
常
(
つね
)
の
好
(
この
)
みの
大方
(
おほかた
)
に
顯
(
あら
)
はれて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夫
(
それ
)
で
宜
(
よ
)
けれど
彼
(
あ
)
れほどまでに
思
(
おぼ
)
しめし
入
(
い
)
れたもの
左
(
さ
)
らばと
云
(
い
)
ひて
斷念
(
あきらめ
)
のつく
筈
(
はづ
)
なし
我身
(
わがみ
)
の
願
(
ねが
)
ひが
叶
(
かな
)
へばとて
現在
(
げんざい
)
お
心
(
こゝろ
)
知
(
し
)
りながら
夫
(
それ
)
もつらし
是
(
こ
)
れも
憂
(
う
)
しと
迷
(
まよ
)
ひに
心
(
こゝろ
)
も
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
空
(
そら
)
お
八重
(
やへ
)
つく/″\
詠
(
なが
)
むれば
明日
(
あす
)
も
晴日
(
はれひ
)
か
西
(
にし
)
の
方
(
かた
)
のみ
紅
(
くれな
)
ゐの
雲
(
くも
)
たな
引
(
び
)
きぬ
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
紅
常用漢字
小6
部首:⽷
9画
“紅”を含む語句
紅玉
淡紅
淡紅色
紅潮
紅色
紅葉
真紅
薄紅
口紅
微紅
爪紅
雁来紅
紅毛
頬紅
紅提灯
紅羅
紅絹
紅殻
紅々
鮮紅
...