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紅
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か
ふりがな文庫
“
紅
(
か
)” の例文
葉子は狂女のように
高々
(
たかだか
)
と笑った。岡は葉子の物狂おしく笑うのを見ると、それを恥じるようにまっ
紅
(
か
)
になって下を向いてしまった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そしてだらしなくはだかったその胸の、黒く見える傷口からは彼が動く度に、タラリタラリとまっ
紅
(
か
)
な血が、白い皮膚を伝って流れていた。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
馬喰町の佐野屋の二階から見おろすと、隣りの狭い庭に一本の桃の花が真っ
紅
(
か
)
に濡れて見えた。どこかで
稽古三味線
(
けいこじゃみせん
)
の音が沈んできこえた。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三上淡路守
(
みかみあわじのかみ
)
というやはり毛利家の一将。駈け寄って来て、岸から槍を
抛
(
ほう
)
りつけた。
大鯨
(
たいげい
)
を突いた
銛
(
もり
)
のように、槍は真っ
紅
(
か
)
な水の中に立った。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
練習場の入口におしよせる観衆のなかから、
唇
(
くちびる
)
と
頬
(
ほお
)
の
真
(
ま
)
ッ
紅
(
か
)
な、
職業女
(
プロスチチュウト
)
を呼びだして、近くの芝生でいちゃついていた、外国の選手達もみました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
はいま、
血
(
ち
)
みどろな
沼
(
ぬま
)
のやうに、まつ
紅
(
か
)
な
夕
(
ゆふ
)
やけに
爛
(
たゞ
)
れてゐた。K
夫人
(
ふじん
)
は
立
(
た
)
つて
西窓
(
にしまど
)
のカーテンを
引
(
ひ
)
いた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
そこへ「
只今
(
ただいま
)
帰りました」と、お春が汗で
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
になった顔をして、
明石縮
(
あかしちぢみ
)
をよれよれにして
這入
(
はい
)
って来た。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
浜路、頬でも染めたかしら? いやいや赧くはならなかったが、それこそ火のように
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
になった。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
末松夫人は
酸漿
(
ほほづき
)
のやうに
真
(
ま
)
つ
紅
(
か
)
になつた。そして泣き顔をして両手で老人を拝むやうな真似をした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
まつ
紅
(
か
)
な
火
(
ひ
)
の
粉
(
こ
)
が
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
耳朶
(
みみたぶ
)
を
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
にして、お蔦は、外へ出て行った。すぐ、
隣家
(
となり
)
の格子が鳴り、がたぴしと、壁越しに、
箪笥
(
たんす
)
の
鐶
(
かん
)
の音があらっぽく聞こえてくる。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貞之助は
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
に上気して
口惜
(
くや
)
し涙を浮かべている妻の顔に、いつもこんな表情をして姉妹
喧嘩
(
げんか
)
をしたであろう遠い昔の、幼い日の姿をなつかしく想いやった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いくら、
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
になって云い合っても、所詮は水掛け論で果てしが付かなかった。かれら三人の所得は伝吉の手に渡された熊の皮一枚に過ぎないことになってしまった。
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
明らかに葉子がまっ
紅
(
か
)
になって顔を伏せるとばかり思っていたらしく、居合わせた婦人たちもそのさまを見て、
容貌
(
ようぼう
)
でも服装でも自分らを
蹴
(
け
)
落とそうとする葉子に対して
溜飲
(
りゅういん
)
を
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
まつ
紅
(
か
)
な
鷄冠
(
とさか
)
を
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
そのとき、盛遠の
眸
(
ひとみ
)
は、
土
(
つち
)
くれに近い
亡骸
(
なきがら
)
から、突然、はるかな空へ、ひかれていた。——いつか、かれの真正面に、まっ
紅
(
か
)
な太陽が、さし昇っていた。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、寸の短い小さな手の、それでも
人並
(
ひとなみ
)
に
爪
(
つめ
)
を
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
に染めてある指で、ハンドバッグから名刺を出した。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それがこの才はじけた童女を、
膝
(
ひざ
)
までぐらいな、わざと短く仕立てた袴と共に
可憐
(
かれん
)
にもいたずらいたずらしく見せた。
二人
(
ふたり
)
は寒さのために
頬
(
ほお
)
をまっ
紅
(
か
)
にして、目を少し涙ぐましていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
な桃畑も黒く見える。負傷者の群れがそこに
呻
(
うめ
)
きあっていた。負傷した将兵は半分気が
狂
(
ちが
)
っているように
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
声かかってから二、三分もたった頃にやっと襖がごそッいうて、そこが少しずつ、一寸二寸ぐらいずつ開いて、眼エの
周
(
まわ
)
り
真
(
ま
)
つ
紅
(
か
)
いけに泣き
脹
(
は
)
らした光子さんが出て来ました。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ふと、眼をこすって、眸を上げると、
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
な夜明けの太陽が、伊賀、大和の連峰を踏んで、昇っていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女はそれを
怺
(
こら
)
えようとして
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
に顔を上気させながら
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その春の陽が、真っ
紅
(
か
)
に沈むころ、奥州船は、右を見ても左を眺めても、
芦
(
あし
)
ばかりな入江にはいっていた。怖しく広い川幅を、帆を垂らして徐々に
溯
(
さかのぼ
)
って行く——
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山つつじが
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
に燃えている。——からんとして空は青い。枯草の下には、
深山
(
みやま
)
すみれが匂っていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見るからに
業刀
(
わざもの
)
と思われ、送りの人々の眼をみはらせたが、より以上、その長剣がすこしも不似合でない彼の
優
(
すぐ
)
れた骨がらと、猩々緋の
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
なのと、色の白い
豊頬
(
ほうきょう
)
な
面
(
おもて
)
と
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう、桜は八重も、散りしいて平庭の泉石の陰を
綴
(
つづ
)
って、つつじが真っ
紅
(
か
)
に咲いていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青い
縞目
(
しまめ
)
を縫って飛ぶ鳥影のような武蔵の姿に、チカッと、
金色
(
こんじき
)
の光が
刎
(
は
)
ねた。朝の太陽がいつのまにか
叡山
(
えいざん
)
連峰の
山間
(
やまあい
)
から、つと
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
な
櫛
(
くし
)
形の
角
(
かど
)
をあらわしているのだった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寧子
(
ねね
)
は顔を
真
(
ま
)
っ
紅
(
か
)
にしてしまい
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お通は、真っ
紅
(
か
)
になって
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紅
常用漢字
小6
部首:⽷
9画
“紅”を含む語句
紅玉
淡紅
淡紅色
紅潮
紅色
紅葉
真紅
薄紅
口紅
微紅
爪紅
雁来紅
紅毛
頬紅
紅提灯
紅羅
紅絹
紅殻
紅々
鮮紅
...