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蓋
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けだ
ふりがな文庫
“
蓋
(
けだ
)” の例文
古来いふ佳人は薄命なり、と、
蓋
(
けだ
)
し社会が渠をして薄命ならしむるのみ。婚姻てふものだになかりせば、
何人
(
なんら
)
の佳人か薄命なるべき。
愛と婚姻
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
蓋
(
けだ
)
しナポレオンは墺軍の前進を知り、なるべくこれを東方に牽制してサルジニア軍との中央に突進し、各個撃破を決心したのである。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
蓋
(
けだ
)
し直接民衆の福利に即した政治家は地味であり、
大風呂敷
(
おおぶろしき
)
の咢堂はそういう辛抱もできないばかりか、その実際の才能もなかった。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
別して巣林子の著作の
中
(
うち
)
に恋愛の恋愛らしきもの甚だ
尠
(
すく
)
なきを悲しまざるを得ず。
蓋
(
けだ
)
し其の
爰
(
こゝ
)
に到らしめしもの諸種の原因あるべし。
「歌念仏」を読みて
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
蓋
(
けだ
)
し入幇して居れば幇勢を駆って自分を社会的安全の地位に置くことが出来るからである。今
左
(
さ
)
に入幇人物に就て少し書いて見よう。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
蓋
(
けだ
)
し燕の兵を挙ぐるに当って、史
之
(
これ
)
を明記せずと
雖
(
いえど
)
も、
韃靼
(
だったん
)
の兵を借りて
以
(
もっ
)
て功を成せること、
蔚州
(
いしゅう
)
を囲めるの時に徴して知る可し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
蓋
(
けだ
)
し透谷の感情は頗る激烈にして、彼れは之れが為に
終
(
つひ
)
に不幸なる運命に陥りし程の
漢子
(
をとこ
)
なりしと雖も、平時は
寧
(
むし
)
ろ温和なる方なりき。
透谷全集を読む
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
人間の在る所恋あり、恋ある所嫉妬ありで、
蓋
(
けだ
)
し之は当然であろう。現に筆者も彼の地に滞在中したしく之を目撃したことがある。
南島譚:02 夫婦
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
基督
(
クリスト
)
の
方伯
(
つかさ
)
の前に立てる時も又同じ。彼等は何事をも自らのために弁ぜざりき。然も其
緘黙
(
かんもく
)
は
蓋
(
けだ
)
しこの世に於ける最大の雄弁たりし也。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
『
然
(
さ
)
らば』とドード
鳥
(
てう
)
が
嚴格
(
げんかく
)
に
云
(
い
)
つて
立上
(
たちあが
)
り、『
此
(
この
)
會議
(
くわいぎ
)
の
延期
(
えんき
)
されんことを
動議
(
どうぎ
)
します。
蓋
(
けだ
)
し、もつと
早
(
はや
)
い
有効
(
いうかう
)
な
治療
(
ちれう
)
方法
(
はうはふ
)
が——』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
蓋
(
けだ
)
し武州公の如き
被虐性
(
ひぎゃくせい
)
の性慾を持つ人は、やゝともすると相手の女性を
己
(
おの
)
れの注文に応ずるような型に当て
篏
(
は
)
めて空想するから
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かかる士魂を多く擁しながら、遂に、
大厦
(
たいか
)
の崩壊を坐視のほかなき
態
(
てい
)
にあった勝家の、家長としての自責は
蓋
(
けだ
)
しどのようであったろう。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自己にあらずんば、自己の体感したものにあらずんば、自から
肯
(
うけ
)
がはれないのは、
蓋
(
けだ
)
し新時代の若い心の自然の現はれであらう。
エンジンの響
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
蓋
(
けだ
)
し装幀用の純和紙として之以上のものは他に決してないであらう。之まで誰も用ゐていなかつたのが、不思議なくらゐである。
和紙十年
(新字旧仮名)
/
柳宗悦
(著)
而して、本校の邦語を以て専門の学科を教授し、
漸
(
ようや
)
く子弟講学の便を得せしめんと欲するが如き、
蓋
(
けだ
)
しその責を尽すの一ならん(拍手)。
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
「
種馬
(
たねうま
)
にはなりたいものさ。僕等は結婚式でも三日が精々だが、支配人の養子となると扱いが違う。二ヵ月は
蓋
(
けだ
)
し世界中の
記録
(
レコード
)
だろうね」
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
蓋
(
けだ
)
し聞く、
大禹
(
たいう
)
鼎
(
かなえ
)
を
鋳
(
い
)
て、
神姦鬼秘
(
しんかんきひ
)
、その形を逃るるを得るなく、
温嶠
(
おんきょう
)
犀
(
さい
)
を燃して、水府竜宮、
倶
(
とも
)
にその状を現わすを得たりと。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
蓋
(
けだ
)
し論者のごとき当時の
事情
(
じじょう
)
を
詳
(
つまびら
)
かにせず、
軽々
(
けいけい
)
他人の言に
依
(
よっ
)
て事を
論断
(
ろんだん
)
したるが
故
(
ゆえ
)
にその論の全く事実に
反
(
はん
)
するも
無理
(
むり
)
ならず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
ただ
蓋
(
けだ
)
し衆芳軒の書室の机の上で想像して極めたであろうから、そこでこんな間違いを千載の下にまで遺す様に成った次第ダと思われる。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
蓋
(
けだ
)
しこの下田条約は、我邦外交史中における一大関鍵にして、維新開国の主脳、断じてここに在りというも、また
誣
(
し
)
いざるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
蓋
(
けだ
)
し、うずらが一番美味であるからである。しかし、つぐみ、山鳥類、小鳥類、なんであっても、同じ用途として効果がある。
夜寒に火を囲んで懐しい雑炊
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
人類の食料と云えば
蓋
(
けだ
)
し動物植物鉱物の三種を
出
(
い
)
でない。そのうち鉱物では水と食塩とだけである。残りは植物と動物とが約半々を
占
(
し
)
める。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お坊っちゃんとは
蓋
(
けだ
)
し、宇治山田の米友のことでしょう。薄暮にその姿を見ただけのものは、誰も子供だと思わぬものはない。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その時の彼の心情は
蓋
(
けだ
)
し憐れむべきものがあって、悔悟の状も溢れ出て、何人と
雖
(
いえど
)
もあの際尚彼を
笞打
(
むちう
)
つと云うには忍びなかったであろう。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
読み到りて当時を追想すれば
転
(
うた
)
た
悚然
(
しようぜん
)
たらずんばあらず、
然
(
しか
)
も今之を誌上に掲載して、昔日の夢を笑ふが如き、
蓋
(
けだ
)
し天の幸のみ。碧梧桐附記。
牡丹句録:子規病中記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
この山ことに高しとにはあらざれども、
最
(
もつとも
)
はやく雪を戴くをもて名あり。
蓋
(
けだ
)
しその
絶巓
(
いただき
)
は
玄海洋
(
げんかいなだ
)
をあほり来る大陸の寒風の
衝
(
つ
)
くに当ればなり。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
尼すなはち陶を作らしめて
躬
(
みずか
)
ら歌を題して与ふ。
蓋
(
けだ
)
し尼の製陶を模する者数十名、ために糊口を得るは尼の悦ぶところなり。
蓮月焼
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
蓋
(
けだ
)
し
此
(
この
)
頃に至りて仏教は漸く隆盛となり、朝廷に勢力を扶植し、日本の神祇もまた仏教に於ける諸天善神と同じく、仏法を悦び仏道に帰依し
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
の
言
(
ことば
)
は
蓋
(
けだ
)
しこの意に
外
(
ほか
)
ならじ、もし愛なる神の
在
(
い
)
まして勇者を一層勇ならしめんとならばその愛するものをモギ取るに
勝
(
まさ
)
れる法はなかるべし。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
神事の行列の獅子頭を先頭に立てるのは、除魔の信仰であることは勿論だが、
蓋
(
けだ
)
しその初めは仏教のを真似たのであろう。
獅子舞雑考
(新字新仮名)
/
中山太郎
(著)
東国人の近藤勇としては、尤もな言ひ分で、
蓋
(
けだ
)
し池田屋事変は、当時
兎角
(
とかく
)
軽視され勝ちの、関東男児の意気を、上方に示したものと云つてよい。
大衆維新史読本:07 池田屋襲撃
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
羅子
(
らし
)
、
水滸
(
すいこ
)
を
撰
(
せん
)
して、三世
唖児
(
あじ
)
を
生
(
う
)
み、
紫媛
(
しゑん
)
、
源語
(
げんご
)
を
著
(
あらは
)
して、一旦悪趣に
堕
(
お
)
つるは、
蓋
(
けだ
)
し
業
(
ごふ
)
のために
偪
(
せま
)
らるるところのみ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
これ
蓋
(
けだ
)
し、すでに腹の畑は
肥
(
こや
)
しができ、掘り起こされて
土壤
(
どじょう
)
が柔かになり、
下種
(
かしゅ
)
の時
晩
(
おそ
)
しと待っているところに、空飛ぶ鳥が
偶然
(
ぐうぜん
)
一
粒
(
りゅう
)
墜
(
おと
)
したり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
と。
此
(
こ
)
れ
(一五)
何
(
なに
)
を
以
(
もつ
)
て
稱
(
しよう
)
せられたる。
(一六)
太史公
(
たいしこう
)
曰
(
いは
)
く、
余
(
よ
)
、
箕山
(
きざん
)
に
登
(
のぼ
)
りしに、
其上
(
そのうへ
)
に
蓋
(
けだ
)
し
許由
(
きよいう
)
の
冢
(
つか
)
有
(
あ
)
りと
云
(
い
)
ふ。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
中世紀は、フィルビブリオンと云う言葉まで出来た時代であるから、愛書家が名実共に存した事は
蓋
(
けだ
)
し疑いを容れない。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
それと同時に僕のことを、彼等は「
憤慨居士
(
ふんがいこじ
)
」とも称しているそうな。
蓋
(
けだ
)
し気に喰わぬことがあれば、
事毎
(
ことごと
)
に憤慨する。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
江戸城の
濠
(
ほり
)
は
蓋
(
けだ
)
し水の美の冠たるもの。然し此の事は叙述の筆を以てするよりも
寧
(
むし
)
ろ絵画の
技
(
ぎ
)
を以てするに
如
(
し
)
くはない。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
蓋
(
けだ
)
し氏の本心は、今日に至るまでもこの種の
脱走士人
(
だっそうしじん
)
を見捨てたるに非ず、その挙を美としてその死を
憐
(
あわれ
)
まざるに非ず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
蓋
(
けだ
)
し智識は
造化児
(
ぞうかじ
)
さえをも捕えて奴隷となし、人間の使役に供し、以てその福利を増殖し、その開化を促進致します。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
残れる者どもは、これを見て敢て驚きもせず、また悲しとも思わなかった、
蓋
(
けだ
)
し死は分秒を争うに過ぎぬからである。
太陽系統の滅亡
(新字新仮名)
/
木村小舟
(著)
或は以て舛誤となし、或は以て改定となす、皆な非なり。
蓋
(
けだ
)
し伝ふる所の本、
偶〻
(
たまたま
)
同じからず、而かも意は則ち一なり。北人は向を謂ひて望となす。
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
それにつきては、われわれは何事も言えない。それは余りにも高きに過ぎる。地上の人間として、そこまで考えようとするのは、
蓋
(
けだ
)
し早きに失する。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
魚沼郡
(
うをぬまこほり
)
の雪は
縮
(
ちゞみ
)
の
親
(
おや
)
といふべし。
蓋
(
けだ
)
し
薄雪
(
はくせつ
)
の地に
布
(
ぬの
)
の
名産
(
めいさん
)
あるよしは糸の
作
(
つく
)
りによる事也。越後縮に
比
(
くら
)
べて
知
(
し
)
るべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
いまは既に崩壊して名残をとどむるのは台座の
蓮弁
(
れんべん
)
のみであるが、若しこの大仏にして現存するならば、
蓋
(
けだ
)
し空前絶後の壮麗を現出していたであろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
然れどもこれを作詩の中心とし本義として
故
(
ことさ
)
らに
標榜
(
ひようぼう
)
する処あるは、
蓋
(
けだ
)
し二十年来の仏蘭西新詩を以て
嚆矢
(
こうし
)
とす。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
大統領「それは
御随意
(
ごずいい
)
に。余が大統領である以上、それを余の最善と信ずる方向へ向けるのは
蓋
(
けだ
)
し当然のことだ」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蛇は又一面に於て原始人類の崇拝の的となつて居たのであつて、
蓋
(
けだ
)
し怖いものを崇むるのは自然の傾向であらう。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
〔譯〕
誣
(
し
)
ふ可らざる者は人情なり、
欺
(
あざむ
)
く可らざる者は天理なり、人皆之を知る。
蓋
(
けだ
)
し知つて而して未だ知らず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
蓋
(
けだ
)
し俳句が、その写実的なる描写手法にもかかわらず、本質上に於て詩の精神を失わないのは、実にこの俳味と称する霊魂が、本質に於てあるためである。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
而して
此
(
か
)
くの如き理想を以て果して今の我が国民に普遍なる特質なりと言ふを得べきか。
蓋
(
けだ
)
し我が社会は今や新旧過渡の期に際して挙世の
趨向
(
すうかう
)
に迷はんとす。
国民性と文学
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
“蓋”の解説
蓋(ふた)は、容器の口など何らかを覆うようにしてふさぐものの総称である。
(出典:Wikipedia)
蓋
常用漢字
中学
部首:⾋
13画
“蓋”を含む語句
天蓋
車蓋
蓋然性
頭蓋
瘡蓋
円蓋
頭蓋骨
火蓋
目蓋
蓋然
硝子蓋
掩蓋
一蓋
御蓋
鉄蓋
口蓋
蓋然率
大天蓋
華蓋
金蓋
...