がい)” の例文
春夏は緑、秋は黄とあかがいをさしかざす。家の主はこの山もみじの蔭に椅子テーブルを置いて時々読んだり書いたり、そうして地蔵様を眺めたりする。
地蔵尊 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
地蔵様の近くに、若い三本松と相対して、株立かぶだちの若い山もみじがある。春夏は緑、秋は黄と紅のがいをさしかざす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
まはりにかさがいことわざにもふ、そのかさがいとても、なつみづのないくさいきれ、ふゆくさ吹雪ふぶきのために、たふれたり、うもれたり、行方ゆくへれなくなつたとく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
捕ゆる時何ぞ所持しよぢしなはなきかとたづねられ番頭喜兵衞ほかには何も候はずたゞ網代笠あじろがさがい頭陀袋づだぶくろ一つ之ありしと申に大岡殿其頭陀袋づだぶくろ是へと申されるにより差出さしいだしければ中を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼は、周泰の功を平常にも耀かがやかすべく、うすものの青いがいを張らせ、「陣中に用いよ」と与えた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
燕王はかりごとに陥り、馬に乗じがいを張り、橋を渡り城に入る。大鉄板にわかに下る。たゞ少しく早きに失して、王の馬首を傷つく。王驚きて馬をえてせてづ。橋を断たんとす。橋はなはかたし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
口癖のようにそう云いましてね、一がいずつ自分で毎年つくりますの、こんな物でも手作りのせいですか、おかしいほど大切にしていますからね、あなたもこれだけは叮嚀ていねいにしてやって下さい
日本婦道記:萱笠 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
一万二千石のお家の大事だから、家中三がい総出だろう
がいの陣笠を手に、老龍はもう身支度をして出て来た。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)