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其
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それ
ふりがな文庫
“
其
(
それ
)” の例文
此
(
こ
)
の一
歩
(
ぶ
)
に
身
(
み
)
のかはを
剥
(
は
)
がれたために
可惜
(
をし
)
や、お
春
(
はる
)
と
云
(
い
)
ふ
其
(
そ
)
の
娘
(
むすめ
)
は
繼母
(
まゝはゝ
)
のために
手酷
(
てひど
)
き
折檻
(
せつかん
)
を
受
(
う
)
けて、
身投
(
みな
)
げをしたが、
其
(
それ
)
も
後
(
のち
)
の
事
(
こと
)
。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何
(
いづ
)
れも
其
(
それ
)
等印象派の画家がまだ名を成さない時代に買ひ集めたものが多いらしく、リユイル氏が愛蔵して売品としない
物許
(
ばか
)
りである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
其
(
それ
)
が
少
(
すこ
)
し
過
(
す
)
ぎて、ポカ/\する
風
(
かぜ
)
が、
髯面
(
ひげつら
)
を
吹
(
ふ
)
く
頃
(
ころ
)
となると、もう
気
(
き
)
が
重
(
おも
)
く、
頭
(
あたま
)
がボーツとして、
直
(
ひた
)
と
気焔
(
きえん
)
が
挙
(
あが
)
らなくなつて
了
(
しま
)
ふ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
俊男の頭の中には今、自分が病身の爲に家庭に於ける
種々
(
さま/″\
)
なる出來事を思出した。思出すと
其
(
それ
)
が
大概
(
たいがい
)
自分の病身といふに
基因
(
きゐん
)
してゐる。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
野暮
(
やぼ
)
先生正に何処かで捨子を拾って来たのだと思うた。爺は唯にや/\笑って居た。
其
(
それ
)
は私生児であった。お春さんの私生児であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
愛書家
(
ビブリオフィル
)
。ビブリオフィルと云う語は、十八世紀の終り頃から一般に行われ出したので、
其
(
それ
)
以前はフィルビブリオンと云う語が用いられた。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
頸筋
(
くびすぢ
)
は
豚
(
ぶた
)
に
似
(
に
)
て
聲
(
こゑ
)
までが
其
(
それ
)
らしい
老人
(
らうじん
)
は
辨當
(
べんたう
)
をむしやつき、
少
(
すこ
)
し
上方辯
(
かみがたべん
)
を
混
(
ま
)
ぜた五十
幾歳位
(
いくさいぐらゐ
)
の
老婦人
(
らうふじん
)
はすしを
頬張
(
ほゝば
)
りはじめた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
そうかと云って男がベッドに睡っている間にあの煙草を撒いたのでもない。
其
(
それ
)
は男がベッドから遠く離れたところで重傷しているので解る。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼
(
かれ
)
は
直
(
すぐ
)
自分
(
じぶん
)
に
近
(
ちか
)
く
手拭
(
てぬぐひ
)
被
(
かぶ
)
つたおつぎの
姿
(
すがた
)
が
徐
(
おもむ
)
ろに
動
(
うご
)
いて
來
(
く
)
るのを
見
(
み
)
た。
其
(
それ
)
と
同時
(
どうじ
)
に
竊
(
ひそか
)
に
落
(
お
)
ち
行
(
ゆ
)
く
草履
(
ざうり
)
の
音
(
おと
)
が
勘次
(
かんじ
)
の
耳
(
みゝ
)
に
響
(
ひゞ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして
其
(
それ
)
に対して反省せんとする
気魄
(
きはく
)
は、そのころの家持にはもう衰えていたのであっただろうか。私はまだそうは思わない。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
辰めが一生はあなたにと熱き涙
吾
(
わが
)
衣物
(
きもの
)
を
透
(
とお
)
せしは、そもや、
嘘
(
うそ
)
なるべきか、新聞こそ
当
(
あて
)
にならぬ者なれ、
其
(
それ
)
を
真
(
まこと
)
にして
信
(
まこと
)
ある女房を疑いしは
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
又盛になる
訳
(
わ
)
けもある、と
云
(
い
)
うのは今度私が
亜米利加
(
アメリカ
)
に行た時には、
其
(
それ
)
以前、亜米利加に行た時よりも多く金を
貰
(
もら
)
いました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
毎度敬之進が世話に成ること、
此頃
(
こなひだ
)
はまた省吾が結構なものを頂いたこと、
其
(
それ
)
や
是
(
これ
)
やの礼を述べ乍ら、せか/\と立つたり
座
(
すわ
)
つたりして話す。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
其
(
それ
)
に梅子などは
何
(
どう
)
やら其の
僻論
(
へきろん
)
に感染して居るらしいので、
大
(
おほい
)
に其の不心得を叱つたことだ、
特
(
こと
)
に近頃
彼女
(
あれ
)
の結婚に
就
(
つい
)
て相談最中のであるから
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
お定は
呆然
(
ぼんやり
)
と門口に立つて、見るともなく
其
(
それ
)
を見てゐると、大工の家のお八重の小さな妹が駆けて来て、一寸来て呉れといふ姉の
伝言
(
ことづて
)
を伝へた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
かうして謡ひ物としての独立性を認められた短歌は、
其
(
それ
)
自体の中に、
本歌
(
モトウタ
)
及び、助歌反乱の
末歌
(
スヱウタ
)
の二部を考へ出して、ながめ謡ひを以て、間を合せた。
短歌本質成立の時代:万葉集以後の歌風の見わたし
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
彼女の生前、私は自分の製作した彫刻を何人よりもさきに彼女に見せた。一日の製作の終りにも
其
(
それ
)
を彼女と一緒に検討する事が
此上
(
このうえ
)
もない喜であつた。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
其
(
それ
)
が
甚麼
(
どんな
)
機
(
はずみ
)
で
相近
(
あひちかづ
)
く事に
成
(
な
)
つたのであるか、どうも覚えませんけれど、いつかフレンドシツプが
成立
(
なりた
)
つたのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
先刻よりお菊は無念
堪
(
こら
)
へしが思はずワツと泣出しお前はな/\
強欲
(
がうよく
)
非道
(
ひだう
)
の大惡人今
眼前
(
がんぜん
)
母樣の御命に迄
係
(
かゝは
)
る
難儀
(
なんぎ
)
其
(
それ
)
を見返らぬのみならず
罪科
(
つみとが
)
もなき母樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
頭だけじゃ救われない、
浸礼
(
しんれい
)
教会なんかじゃ水の中へ潜らせると言い出した。
其
(
それ
)
も
左様
(
そう
)
だと思う。折角洗礼を授けてやっても救われなくちゃ何にもならない。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
其
(
それ
)
を
此
(
この
)
艇
(
てい
)
の
總
(
すべて
)
の
機關
(
きくわん
)
に
適用
(
てきよう
)
したので、
艇
(
てい
)
の
進行
(
しんかう
)
も、
三尖衝角
(
さんせんしやうかく
)
の
廻旋
(
くわいせん
)
も、
新式水雷發射機
(
しんしきすいらいはつしやき
)
の
運轉
(
うんてん
)
も、すべて
此
(
この
)
秘密
(
ひみつ
)
なる
活動力
(
くわつどうりよく
)
によつて
支配
(
しはい
)
されて
居
(
を
)
るのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其
(
それ
)
に
續
(
つゞ
)
いては
小體
(
こがら
)
な、
元氣
(
げんき
)
な、
※鬚
(
あごひげ
)
の
尖
(
とが
)
つた、
髮
(
かみ
)
の
黒
(
くろ
)
いネグル
人
(
じん
)
のやうに
縮
(
ちゞ
)
れた、
些
(
すこ
)
しも
落着
(
おちつ
)
かぬ
老人
(
らうじん
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
縱令
(
たとひ
)
化物
(
ばけもの
)
が
出
(
で
)
ても、
其
(
それ
)
は
理性的
(
りせいてき
)
な
乾燥無味
(
かんさうむみ
)
なものであつて、
情的
(
ぜうてき
)
な
餘韻
(
よいん
)
を
含
(
ふく
)
んで
居
(
ゐ
)
ない。
隨
(
したが
)
つて
少
(
すこ
)
しも
面白味
(
おもしろみ
)
が
無
(
な
)
い。
故
(
ゆゑ
)
に
文運
(
ぶんうん
)
が
發達
(
はつたつ
)
して
來
(
く
)
ると、
自然
(
しぜん
)
化物
(
ばけもの
)
は
無
(
な
)
くなつて
來
(
く
)
る。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「『もと妻であつた』
其
(
それ
)
が理由でせう。然し今は、『あかの他人』、さうでせうもう。」
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
窓際
(
まどぎは
)
の
紫檀
(
しだん
)
の
卓
(
たく
)
を
挾
(
はさ
)
んで
腰
(
こし
)
を
降
(
おろ
)
し、お
互
(
たがひ
)
に
疲
(
つか
)
れ
顏
(
がほ
)
でぼんやり
煙草
(
たばこ
)
をふかしてゐると、
女
(
をんな
)
が
型通
(
かたどほ
)
り
瓜子
(
クワスワ
)
と
茶
(
ツア
)
を
運
(
はこ
)
んでくる。
一人
(
ひとり
)
は
丸顏
(
まるがほ
)
、
一人
(
ひとり
)
は
瓜實顏
(
うりさねがほ
)
、
其
(
それ
)
に
口紅
(
くちべに
)
赤
(
あか
)
く、
耳環
(
みゝわ
)
の
翡翠
(
ひすゐ
)
が
青
(
あを
)
い。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
また、男女間の
妬情
(
とじょう
)
に氏は
殆
(
ほとん
)
ど
白痴
(
はくち
)
かと思われる
位
(
くらい
)
です。が氏とて決して
其
(
それ
)
を全然感じないのではない
相
(
そう
)
ですが、それに
就
(
つ
)
いて
懸命
(
けんめい
)
になる先に氏は
対者
(
あいて
)
に許容を持ち得るとのことです。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
其
(
それ
)
を思うとお繁さんの居ない今日、岡村に薄遇されたのに少しも無理はない。予も腹のどん底を白状すると、お繁さんから今年一月の年賀状の
次手
(
ついで
)
に、今年の夏も是非柏崎へお越しを願いたい。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
古学に対する彼の学説は必ず大いに聞くべきものありしならんも、今日において遺稿などの
其
(
それ
)
を
徴
(
ちょう
)
するに足るものなきは遺憾なり。今その歌について多少その主義を表したりと思ふものを挙げんに
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
詮議も
竟
(
つい
)
に
其
(
それ
)
なりけりに済んで了ったとは、
何
(
なん
)
ぼう哀れなる物語。
河童小僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
雪の上には階段状に足場が刻まれ、
其
(
それ
)
に沿うて十間か十五、六間
毎
(
ごと
)
に三尺程の鉄の杭を打ち込み、杭の頭には針の孔のように輪が造られて、夫へ彼の大きな岩から垂れ下げた鋼索が引き通されている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
『
其
(
それ
)
ッ
限
(
き
)
り?』と
愛
(
あい
)
ちやんはグツト
怒
(
いか
)
りを
嚥
(
の
)
み
込
(
こ
)
んで
云
(
い
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
静
(
しずけ
)
さは
其
(
それ
)
さへもいと遠く思はるゝ
迄
(
まで
)
の
静
(
しずけ
)
さに
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
たゞミハイロには
其
(
それ
)
が分らなかつた。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
「どうして
其
(
それ
)
が分かったのですか」
殺生谷の鬼火
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
其
(
それ
)
といふのが、
時節柄
(
じせつがら
)
暑
(
あつ
)
さのため、
可恐
(
おそろし
)
い
悪
(
わる
)
い
病
(
やまひ
)
が
流行
(
はや
)
つて、
先
(
さき
)
に
通
(
とほ
)
つた
辻
(
つじ
)
などといふ
村
(
むら
)
は、から一
面
(
めん
)
に
石灰
(
いしばひ
)
だらけぢやあるまいか。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
纔
(
わづか
)
に六畳と二畳とに過ぎない部屋は三面の鏡、二脚の椅子、芝居の衣裳、
鬘
(
かつら
)
、小道具、
其
(
それ
)
から青
枯
(
が
)
れた
沢山
(
たくさん
)
の
花環
(
はなわ
)
とで
埋
(
うづ
)
まつて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
けれど
私
(
わたし
)
は
如何
(
どう
)
いふものか、
其
(
それ
)
に
触
(
さは
)
つて
見
(
み
)
る
気
(
き
)
は
少
(
すこ
)
しもなく、
唯
(
たゞ
)
端
(
はじ
)
の
喰出
(
はみだ
)
した、一
筋
(
すぢ
)
の
背負揚
(
しよいあげ
)
、それが
私
(
わたし
)
の
不安
(
ふあん
)
の
中心点
(
ちうしんてん
)
であつた。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「フム、
其
(
それ
)
ぢや
何
(
な
)
んだな、お前は
俺
(
おれ
)
が此の家を陰氣にしてゐるといふんだね。」と冷靜に
謂
(
い
)
ツて、さて急に
激越
(
げきえつ
)
した語調となる。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
父は
暫
(
しばら
)
く三稜鏡をいぢつてゐたが、ふと
其
(
それ
)
を
以
(
もつ
)
て炉の火を
覗
(
のぞ
)
いた。すると意外にも炉の炎がやはり七つの綾になつて見える。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
大
(
おほ
)
きな
子供
(
こども
)
はそれつといつて
惡戯
(
いたづら
)
に
其
(
それ
)
を
捕
(
とら
)
うとする。
子供等
(
こどもら
)
は
順次
(
じゆんじ
)
に
皆
(
みな
)
それに
傚
(
なら
)
はうとする。さうすると
小
(
ちひ
)
さな
小供
(
こども
)
は
唯
(
たゞ
)
火
(
ひ
)
の
點
(
つ
)
いたやうに
泣
(
な
)
く。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
私の全心が愛の
焔
(
ほのほ
)
で燃え尽きませうとも、
其
(
それ
)
を知らせる
便宜
(
たより
)
さへ無いぢやありませんか、此のまゝ
焦
(
こ
)
がれて死にましても
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
我今まで恋と
云
(
い
)
う事
為
(
し
)
たる
覚
(
おぼえ
)
なし。
勢州
(
せいしゅう
)
四日市にて見たる美人三日
眼前
(
めさき
)
にちらつきたるが
其
(
それ
)
は額に
黒痣
(
ほくろ
)
ありてその
位置
(
ところ
)
に
白毫
(
びゃくごう
)
を
付
(
つけ
)
なばと考えしなり。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼女はいつの間にか油絵勉強の時間を縮少し、或時は粘土で彫刻を試みたり、又後には絹糸をつむいだり、
其
(
それ
)
を草木染にしたり、
機織
(
はたをり
)
を始めたりした。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
人の頭上に落ちてくるという事実を
認
(
した
)
たむるのです、僕の身の上の
如
(
ごと
)
き、
全
(
まっ
)
たく
其
(
それ
)
なので、
殆
(
ほと
)
んど信ず
可
(
べ
)
からざる
怪
(
あや
)
しい運命が僕を
弄
(
もてあ
)
そんで
居
(
い
)
るのです。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
サルオガセがぶら下ったり、
山葡萄
(
やまぶどう
)
が
絡
(
から
)
んだり、
其
(
それ
)
自身
(
じしん
)
針葉樹林の
小模型
(
しょうもけい
)
とも見らるゝ、
緑
(
りょく
)
、
褐
(
かつ
)
、
紫
(
し
)
、
黄
(
おう
)
、さま/″\の
蘚苔
(
こけ
)
をふわりと
纏
(
まと
)
うて居るのもある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
乃公は此人は
那麽
(
そんな
)
に嫌いでもない。君の持っているのは
其
(
それ
)
は何かねと訊くから、是は日記帳です、未だ買いたての貰いたての写したてのホヤホヤですと答えた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
之
(
これ
)
が
為
(
ため
)
に無けなしの
懐裏
(
ふところ
)
を百七十円ほど
傷
(
いた
)
めて、
吽
(
うん
)
と参つた、
仮
(
かり
)
に
小文学
(
せうぶんがく
)
をも
硯友社
(
けんいうしや
)
の
機関
(
きくわん
)
に
数
(
かぞ
)
へると、
其
(
それ
)
が第七期、
是
(
これ
)
が第八期で、
未
(
ま
)
だ第九期なる者が有る
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
真黒
(
まつくろ
)
に煤びた屋根裏が見える、壁側に積重ねた布団には白い毛布が
被
(
かか
)
つて、
其
(
それ
)
に並んだ箪笥の上に、枕時計やら鏡台やら、
種々
(
いろん
)
な手廻りの物が
整然
(
きちん
)
と列べられた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
貴下
(
あなた
)
は
海上
(
かいじやう
)
の
法則
(
ほうそく
)
を
知
(
し
)
りませんか、たとへ
如何
(
どん
)
な
事
(
こと
)
があらうとも
船員
(
せんゐん
)
以外
(
いぐわい
)
の
者
(
もの
)
が
其
(
それ
)
に
嘴
(
くちばし
)
を
容
(
ゐ
)
れる
權利
(
けんり
)
が
無
(
な
)
いです、また
私
(
わたくし
)
は
貴下
(
あなた
)
から
其樣
(
そん
)
な
報告
(
ほうこく
)
を
受
(
う
)
ける
義務
(
ぎむ
)
が
無
(
な
)
いです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
目鋭
(
めざと
)
い叔父は直に
其
(
それ
)
と
看
(
み
)
て取つて、一寸右の
肘
(
ひぢ
)
で丑松を
小衝
(
こづ
)
いて見た。奈何して丑松も平気で居られよう。叔父の肘が
触
(
さは
)
るか触らないに、其暗号は
電気
(
エレキ
)
のやうに通じた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
“其”を含む語句
其方
其処
其様
其許
其後
其家
其樣
其儘
其間
其辺
其傍
其故
其中
其女
其々
其面
其切
其所
其處
其上
...