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乾燥無味
『エヘン!』と一つ
咳拂ひして、
鼠は
尊大に
構へて、『
諸君宜しいか?
最も
乾燥無味なものは
是です、まァ
默つて
聞き
給へ、
諸君! ...
若し
歴史上又は
社會生活の
上からばけものといふものを
取去つたならば、
極めて
乾燥無味のものとなるであらう。
縱令化物が
出ても、
其は
理性的な
乾燥無味なものであつて、
情的な
餘韻を
含んで
居ない。
隨つて
少しも
面白味が
無い。
故に
文運が
發達して
來ると、
自然化物は
無くなつて
來る。