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權利
「
我々は、そんな
好い
事を
豫期する
權利のない
人間ぢやないか」と
思ひ
切つて
投げ
出して
仕舞ふ。
細君は
漸く
氣が
付いて
口を
噤んで
仕舞ふ。
『
私は
何も
貴方を
自分の
信仰に
向はせやうと
云ふ
權利を
主張はせんのです。』
院長は
自分を
解つて
呉れ
人の
無いので、さも
殘念と
云ふやうに。
「なるほど、
或はそうかも
知れない。けれど
自分は
飢えてゐる。それだから
食べる。これは
自然だ、また
權利だ」