其事それ)” の例文
すると法王は其事それを裁断して命令を下すのですが、こういうところから考えて見ると、法王の資格というものは余程面白いものです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
十兵衞いよ/\五重塔の工事しごとするに定まつてより寐ても起きても其事それ三昧ざんまい、朝の飯喫ふにも心の中では塔をみ、夜の夢結ぶにも魂魄たましひは九輪の頂を繞るほどなれば
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
既に其事それは人も知つて居る事なり遺書によつて明かでは無いか、考へ直して正氣に成つて、其の後の事はお前の心に任せるから思ふまゝの世を經るが宜い、御兩親のある事を忘れないで
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ということを子々孫々によく知るようにお伽話とぎばなしのようにして親達が子供に話をするものですからどこへ行っても其事それを知って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
既に其事それは人も知つてゐる事なり遺書ゆゐしよによつて明かでは無いか、考へ直して正気に成つて、そのの事はお前の心に任せるから思ふままの世を経るが宜い、御両親のある事を忘れないで
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其事それがちょうどサラット師が帰って後間もなくそういう事が起ったものですから、師がそういう事をやったような風説が起ったのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)