其処ソコ)” の例文
旧字:其處
その後、自身の家の中でも、又廬堂イホリダウに近い木立ちの陰でも、或は其処ソコを見おろす山の上からでも、郎女に向つてする、ひとり語りは続けられて居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さうして其処ソコで、まどろんで居る中に、悠々ウラウラと長い春の日も、暮れてしまつた。嬢子は、家路と思ふミチを、あちこち歩いて見た。脚はイバラトゲにさゝれ、袖は、木のズハエにひき裂かれた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
だが、其がほんとは、どんな織物になることやら、其処ソコまでは想像も出来なかつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)