其処そけ)” の例文
旧字:其處
これから半町ばかり跡へけえると寮が有りやすが、其の寮へ往っておとまんなんしよ、ばアさまが一人居て、困る人はみな其処そけえ往って泊りやんすよ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やす 今まで其処そけへをつた人間ば、誰が待つもんか。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
此様こんな小せえ子に敵の討てる訳もなしするから、し剣術でも習いてえなら、私の御主人筋の人が剣術がえれえから其処そけへ往って稽古をさせてよ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
叔母「恭太や、少し其処そけえ待ちて居ろよ、はい御免なせえましよ、紀伊國屋の伊之助さんの別荘は此方こちらでござえますか」
岸田が犬死になって可愛そうだから、独息子ひとりむすこ無理無体むりむていに貰って来たのがうちにいる多助さ、あんたの為には甥でがんす、其処そけえ又貴方あんたわしが助けて
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬「さア其処そけえ足イ踏掛ふんがけちゃア馬の口が打裂ぶっさけて仕舞う、踏台ふみでえ持って来てあげよう……尻をおッぺすぞ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其処そけえらを考えたって中々出て行かれる訳のものでアなえ、呆れた阿魔だ、惣吉此処こけえ来い
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まるで旦那は口い利かれない、只今上げます/\命はお助け、命だけは堪忍して呉れと云うと、命までは取らぬ、金さえ出せば帰るから金え出せと云うので、其処そけつくなんでしまっただ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しの「恭太や、其処そけえ腰イかけて待ちて居ろよ……く天気イ続きます」
すっかり縛って出られないようにして、中のの柱にくゝって置いて、うして奥の間へ這入はえると、旦那が奥の間で按摩取あんまとりを呼んで、横になって揉ませて居る其処そけえずっと這入はいって来て、さア金え出せ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
喜「わしがハア村の矢切に居たアだけンど、矢切にけえられねえ訳が有って、ちっともけえらねえが、堀切のわきの八ツ橋畠に知ってる人が有って、其処そけえ寝泊りするてえ話だが、はッきり何処に居るか知ンねえだよ」