背後せなか)” の例文
しずかに言って、例の背後せなかに掛けた竹の子笠を、紐を解いて、取りましたが、吹添って、風はあるのに、気で鎮めたかして、その笠が動きもしません。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども彼らは争わなければならなかった。彼らの背後せなか背負しょっている因縁いんねんは、他人に解らない過去から複雑な手を延ばして、自由に彼らをあやつった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)