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背後
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はいご
ふりがな文庫
“
背後
(
はいご
)” の例文
過渡期
(
かとき
)
の時代はあまり長くはなかった。
糟谷
(
かすや
)
が
眼前
(
がんぜん
)
咫尺
(
しせき
)
の
光景
(
こうけい
)
にうつつをぬかしているまに、
背後
(
はいご
)
の時代はようしゃなく
推移
(
すいい
)
しておった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
けれど、もうこうなっては、
騎虎
(
きこ
)
の勢いというもの、戒刀を引っさげた龍太郎は、まッさきに
背後
(
はいご
)
からとびかかって
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足
(
あし
)
には
脚絆
(
きやはん
)
と
草鞋
(
わらぢ
)
とを
穿
(
はい
)
て
背
(
せ
)
には
蓙
(
ござ
)
を
負
(
お
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
蓙
(
ござ
)
は
終
(
た
)
えず
彼
(
かれ
)
の
背後
(
はいご
)
にがさ/\と
鳴
(
な
)
つて
其
(
そ
)
の
耳
(
みゝ
)
を
騷
(
さわ
)
がした。
彼
(
かれ
)
は
遂
(
つひ
)
に
土手
(
どて
)
から
折
(
を
)
れて
東
(
ひがし
)
へ/\と
走
(
はし
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
四馬剣尺が腹をかかえて笑っているとき、ギリギリと奥歯をかみ鳴らした机博士、
物凄
(
ものすご
)
い
形相
(
ぎょうそう
)
をしたかと思うと、いきなり四馬剣尺の体を
背後
(
はいご
)
からつきとばした。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
折
(
おり
)
から
猛
(
はげ
)
しい
疾風
(
はやて
)
さえ
吹
(
ふ
)
き
募
(
つの
)
って、
命
(
みこと
)
のくぐり
入
(
い
)
られた
草叢
(
くさむら
)
の
方
(
ほう
)
へと、
飛
(
と
)
ぶが
如
(
ごと
)
くに
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せて
行
(
ゆ
)
きます。その
背後
(
はいご
)
は一
帯
(
たい
)
の
深
(
ふか
)
い
沼沢
(
さわ
)
で、
何所
(
どこ
)
へも
退路
(
にげみち
)
はありませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
板を縛つた繩の結び目と、
背後
(
はいご
)
へ突き拔けた脇差を捨てて逃げたのと、泥の中に深く入つた履物と——そんなものが揃ふと、あの晩二度迄藥取りに出た茂野が怪しくなるではないか
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
純一は五官を以てせずして、
背後
(
はいご
)
に受ける視線を感ずるのが、不愉快でならなかった。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
やがて二三
丁
(
ちょう
)
も
先
(
さき
)
へ
行
(
い
)
ってしまった
徳太郎
(
とくたろう
)
の
背後
(
はいご
)
から、
浴
(
あ
)
びせるように
罵
(
ののし
)
っていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「
痛
(
いた
)
い、
誰
(
だれ
)
だつ‥‥」と、
私
(
わたし
)
は
體
(
からだ
)
を
踏
(
ふ
)
み
應
(
こた
)
へながらその
兵士
(
へいし
)
を
突
(
つ
)
き
飛
(
と
)
ばした。と、
彼
(
かれ
)
は
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
をひよろけてまた
背後
(
はいご
)
の
兵士
(
へいし
)
に
突
(
つ
)
き
當
(
あた
)
つた、「
氣
(
き
)
を
附
(
つ
)
けろい‥‥」と、その
兵士
(
へいし
)
が
呶鳴
(
どな
)
つた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
とこうして川岸に出たが、そのとき一道の電光とともに、
背後
(
はいご
)
に銃声がひびいた
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
日は真昼、そよとの風もなく、ふきあげは動かぬ
絹
(
きぬ
)
の糸のすだれのようにもみえた。若者はそのとき、
頬
(
ほお
)
づえを左手にかえて深いため息をついた。すると
背後
(
はいご
)
にかすかにものの気配がした。
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
いやに
硬
(
かた
)
くなって受け合った。と、その
背後
(
はいご
)
の物がニヤと笑ったようすで
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
蔚山城
(
うるさんじょう
)
のかこみのとけたのは、正月三日で、
宇喜多秀家
(
うきたひでいえ
)
、
蜂須賀阿波守
(
はちすかあわのかみ
)
、
毛利輝元
(
もうりてるもと
)
など十
余
(
よ
)
大将
(
たいしょう
)
が、
背後
(
はいご
)
から
明
(
みん
)
の大軍を破った。このとき
入城
(
にゅうじょう
)
してきた毛利輝元は、
重臣
(
じゅうしん
)
宍戸備前守
(
ししどびぜんのかみ
)
にむかって
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
背後
(
はいご
)
の
山懐
(
やまふところ
)
に、
小屋
(
こや
)
を
掛
(
か
)
けて
材木
(
ざいもく
)
を
組
(
く
)
み、
手斧
(
てうな
)
が
聞
(
き
)
こえる。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
背後
(
はいご
)
にひゞく
萬国
(
ばんこく
)
資本家
(
しほんか
)
の
哄笑
(
こうせふ
)
がお
前
(
まへ
)
の
耳
(
みゝ
)
を
打
(
う
)
たないのか
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
両雄が語り合っているところへ、敵の一城、
上月
(
こうづき
)
の
背後
(
はいご
)
には、毛利家の尻押しによる浮田和泉守の手勢がだいぶいるらしい、という情報が入って来た。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
買ふの三道樂に身を
持崩
(
もちくづ
)
して、借金だらけな船頭三吉の死骸からは、腹卷の奧深く祕めた百兩の小判が現れ、野幇間七平の死骸には、
背後
(
はいご
)
から突き刺した凄まじい傷が見付かつたのです。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
若者の
背後
(
はいご
)
には何ものにもまさって黒い
彼
(
かれ
)
の
影法師
(
かげぼうし
)
が、
悪魔
(
あくま
)
のように不気味な
輪廓
(
りんかく
)
をくっきり芝生の上に
画
(
えが
)
いていた。老人は若者の背後にまわってそのかげのはしを両足でしっかりふまえた。
おしどり
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
入口
(
いりくち
)
が
背後
(
はいご
)
にあるか、……
吸
(
す
)
はるゝやうに
消
(
き
)
えました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
時
(
とき
)
彼
(
かれ
)
は
背後
(
はいご
)
に
迫
(
せま
)
る
靴音
(
くつおと
)
を
聞
(
き
)
き
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
と、呂宋兵衛の
叫
(
さけ
)
びにこたえてどなったのは、
隠密頭
(
おんみつがしら
)
の
菊池半助
(
きくちはんすけ
)
、いつのまにか、三人の
背後
(
はいご
)
に
姿
(
すがた
)
をあらわして
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「みな半兵衛重治の友情によるところ」と、感じるとともにその
背後
(
はいご
)
の人、秀吉の恩を感受せずにはいられなかった。ひいては、天地の意を悟らずにいられなかった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、
秀吉
(
ひでよし
)
と
覇
(
は
)
をあらそううえにも、つねに
背後
(
はいご
)
の気がかりになる
伊那丸君
(
いなまるぎみ
)
やそれに
加担
(
かたん
)
のものを、どんな
犠牲
(
ぎせい
)
を
払
(
はら
)
っても、
根絶
(
ねだ
)
やしにしなければならぬと、ひそかに
支度
(
したく
)
をしつつあるのだから
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“背後”の意味
《名詞》
背 後(はいご)
後。背の方向。後方。
直接表面には現れない陰の面。特に黒幕のこと。
(出典:Wiktionary)
背
常用漢字
小6
部首:⾁
9画
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
“背後”で始まる語句
背後向
背後姿
背後手
背後袈裟
背後楯
背後状
背後影
背後態
背後抱
背後指