執拗しつっこ)” の例文
むしろこのごろは毎日、九州の飛行場を爆撃に来るという執拗しつっこさ、熱心さである。わが特攻隊の出鼻をくじかんためであることはいう迄もない。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「義公? ああ、あいつ仕様がない奴さ、あんまり執拗しつっこいから東京でまいちゃったんさ——よく知ってんね、黒ちゃん」
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
と、まだ執拗しつっこく、アランは私の後方から追うて来る。わざと素知らぬ振りをして、私は自分の部屋へ戻って来た。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
葉子は執拗しつっこく通う黒吉の前で、わざと他の男の膝に乗ってみせびらかしたりなどした。だが、黒吉は、ただ黙って寂しく顔を歪めて笑うきりだった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
夜の間に溜った執拗しつっこたんを、忙しく舌の先きを動かして、ペッ、ペッ、と痰壺へはき落し、プーンと立登って来るフォルマリンの匂いを嗅ぎながら注意深く吐落した一塊りの痰を観察すると