いら)” の例文
旧字:
「そんな莫迦なことがあるものですか」私は中途で制したのであった「何時だって構いませんからいらっしゃい。大体どんなお話でしょうね?」
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ガラリ、格子戸かうしど鳴りて、大和は帰り来れり「やア、花ちやん、いらつしやい、待つてたんだ、二三日、先生が御不在ので、寂しくて居た所なんだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
『あれ——でも明後日は二十八日ぢやありませんか。別に可笑いといふことは御座ございませんがね、私はまた月が変つてからいらつしやるかと思ひましてサ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
再び貴方がいらしってもポール・レペルは多分此の家に住んで居ないでしょう、田舎へ地所を買い、楽隠居として浮世の波風を知らずに暮らすは何ほどか気安い事でしょう
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「銀子さん」と梅子は語をぎつ「其頃私は貴女あなたかつての傷心なげきに同情しましたの、何時でしたか、貴女は夜中に私の寄宿室へやいらしつておつしやつたことがありませう、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
難有ありがたうよ」と老母はまぶたぬぐひつ「此程このほども伜のことを引受けて下だすつた、弁護士の方がいらしつたんでネ、先生様の御友達の方で、——御両人おふたり種々いろ/\御相談なすつていらしつたがネ、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)