入用いら)” の例文
禰宜様宮田も、もう土地も何にも入用いらなかった。ただどうかして、今のいやな心持から一刻も早く逃れたいばかりなのである。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
さっき八っちゃんがにこにこ笑いながら小さな手に碁石を一杯いっぱい握って、僕が入用いらないといったのも僕は思い出した。その小さな握拳にぎりこぶしが僕の眼の前でひょこりひょこりと動いた。
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)