いら)” の例文
「ぢや、私のうちへでも來てゐればいゝのに。話の結末がつくまで當分此家ここへでも來ていらつしやいな。さうしてゐちや惡いのか知らん。」
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
きん「あのそれは先刻さっきあのいらっしゃいまして、それはあの、雨が降って駒下駄ではけないから草履ぞうりを貸してと仰しゃいまして」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くゞりしとか申程にいやしく見えしよしすれば貴公樣あなたさまなどは御なりは見惡ふいらせられても泥中でいちう蓮華はちすとやらで御人品は自然おのづからかはらと玉程に違ふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
多分いらッしゃるだろうと思ッて居ました何でもバチグノールの老人を殺した藻西とか云う罪人にお逢いなさるのでしょうね目
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
もんれいとほあけぱなしだからたゝ世話せわいらず、二人ふたりはずん/\とうちはひつてたが草木くさき縱横じゆうわうしげつてるのでラクダルの居所ゐどころ一寸ちよつとれなかつた。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
全体、おぢいさまなにかはこんな金貨いくら持つていらつしやるか知れないのネ、つかつておしまひなさるとまたあとからお金入れへはいつて居升のネ
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
「また受造者つくられしものみづから敗壊やぶれしもべたることを脱れ神の諸子こたちさかえなる自由にいらんことをゆるされんとの望をたもたされたり」(羅馬書第八章二十一節)とあるは即ちこれなり。
主のつとめ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
不思議の因縁でおれの養女分にして嫁いらすればおれも一トつのい功徳をする事ぞとホク/\喜び、たちまち下女下男に、ソレぜんを出せわんを出せ、アノ銚子ちょうしを出せ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いま貴方あなた御父様おとうさま御話おはなしうかゞつて見ると、うなるのは始めからわかつてるぢやありませんか。貴方あなただつて、其位な事はうから気がいていらつしやる筈だと思ひますわ
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さあ、どうぞ御遠慮なく、上って御覧なさいまし。(夕顔の垣根についていらんとす。)
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
念じこらへてナニサ左樣さうでもないのサと平氣をつくろひ輕井澤にりて鶴屋といふに着き風呂の先陣へ名乘て勇ましく風呂へ行きしが直ちにはまたぎて湯にいられず少しく顏をしはめたり
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
『マア、以前このまへうちいらしつた癖に、…………薄情な人ね、此方は。』
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『美子さん、早くいらッしゃいよ。あら、はぐれるわ。』
昇降場 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
婆「御挨拶をしようと思っても、貴方あなたがせか/\している者だから御挨拶するもありはしません、殿様、御機嫌さまよういらっしゃいました」
大膳にむか只今たゞいま御聞おんきゝの通り伊豆守方より斯樣に申參り候へばとても今日のには參り申さずおそれながら明日又々いらせられ候樣願ひ奉ると申に大膳も此趣このおもむきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だん/\その忘れるくせめ直して、心を落着け、恐れ多いことですが、べてただしき御心のまゝに治めていらつしやる御神みかみの見まへと思つて万事する様にしたら
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
「坊樣、さア此處へいらつしやい」と女は言つて坐布團をてすりの下に運び、夏橙なつだい/\其他そのほかの果物菓子などを僕にすゝめた。そして次の間を開けると酒肴の用意がしてある。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
気も絶えいらんほどにおどろき惑ひしが、走り還りて泣き叫びつゝ、近隣の人をよびければ、漸く其筋の人も来りて死躰の始末は終りしが、殺せし人のまゝしき中にもあらぬ母の身にてありながら
鬼心非鬼心:(実聞) (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
見ると、一時も早く會ひたくなつて飛んで來たのよ。此間こなひだ私の家へいらしつたんだつてね。祖母さんは貴女あなたのことをめてゝよ。不斷から姉さんのことゝ云へば、祖母さんは褒めてるんだけど。
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
『マア以前このまへも家へいらしつた癖に、……薄情な人ね、このかたは。』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「あの、若旦那様に一寸ちよつとおくいらつしやる様に」と催促した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ふさいでばかりいらっしゃるから、ういう冗談でもしたら少しはお気晴きばらしになるだろうと思い、主人のためを思ってしたので。
越前が一言のしたに恐れいらせんものとぞ思はれける爰に八山には次右衞門のかへりしあとにて山内は役人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お嬢様、おとなりへいらつして御覧あそばしましな。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
「今、いらつしやるんですか」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
時「へえ、王子あちらの方でも、何うも彼方あちらいらっしゃいませんそうで彼方でもお驚きで、いず此方こちらからお訪ね申すという事で」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いからいらつしやいよ」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
和「いや暫く来ないが何うしたえ、旦那様も案じていらっしゃる、色々風聞も聞いたが大分繁昌だそうで、誠に結構だねえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
世間見ずでいらっしゃいますから人の目褄めつまに掛ってはなりませんと私がおび申したのが初めで、何卒どうぞ/\御勘弁なすって
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
米「お嬢様え、のお方が、出ていらっしゃったらばおひやを掛けてお上げ遊ばせ、お手拭てぬぐい此処こゝにございます」
奉「いらっしゃいまし、此方こちらへおあがりなすって何うか、旦那小田原町のお家主金兵衞さんが入っしゃいました」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「何でございますねお前さん、瓢箪ひょうたんを紅葉の枝へ附けてお通んなはいましたねえ、滝の川へいらっしゃったの、御様子のいことゝ云ってお噂をして居たのですよ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
富「其様そんな事を云ってはいかん、ごく御疳癖が強くいらっしゃる、其の代り御意にれば仕合せだよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まアゆっくりお茶でも召上っていらっしゃいってえば、そうですか、未だお使つかいがおあんなさるの、それじゃアお止め申しては却って御迷惑、またそのうちにお遊びにおいでなさいよ
今日は貴方あなたが薬師様へお参りにいらっしゃるという事を聞きましたから、かねと二人で、のう兼
私が死にましたら此処の寺へ投込みになすって道中も物騒ぶっそうでございますから、お気をお付けなすって、あなたは江戸へいらっしゃいまして親父の岩吉にお頼みなすって下さいまし
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
秋月様がいらしったと長家の者に云ってくれちゃア困る、是だけはしっかと口留をいたして置く、いうとかんよ、云うとゆるさんよ、何処どこから知れても他に知る者は無いのだから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたくしもお目に懸りてえと思って居ても、奉公のうちは只お屋敷で御両親様のお達者でいらっしゃると云う事を蔭ながら聞きますばかり、わたくしも望みが叶いまして山口屋を首尾く十一年勤め上げ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御案内の通りさん/″\の取込で、つい一寸の見物も出来ません、しかし御評判は高いものでござります、昨年から見ると大した事で、おうらやましゅう、実に関取は身体も出来ていらっしゃるし
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いっていらっしゃいまし……とうとう出掛けたが、是は君、えゝどうも、富貴ふうき天に有りと云うが、不思議な訳で、君は以前お役柄やくがらで、元が元だから金を持って来ても是程に貧乏と知らんから
なに極楽ごくらくつていらつしやいましたが、近来このごろ極楽ごくらく疲弊ひへいましたから、勧化くわんげをおたのまれで、其事そのこと極楽ごくらくらしつたのでございませう。岩「極楽ごくらく勧化くわんげかえ、相変あひかはらず此方こつちてもおいそがしい。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
女「はい春見屋は手前でございますが、何方どちらからいらっしゃいました」
此処こゝにへえつくしているが世が世なればという訳だが…お母様はまだ…法蔵寺様へお参りにいらしったので…ですがねえ貴方、此家こゝにこう遣って腰掛けで居るは富五郎心得ております、故郷は忘じ難し
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
筆「お内儀かみさんお湯にいらっしゃるならお供を致しましょう」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
久「何処がお見込でお嬢様は嫁にいらっしゃいますな」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
町「其の方は屹度きっと今日うちいらっしゃいますよ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
下女「はい、いらっしゃいまし、何所どちらから」
富「あなた其店そこいらっしゃるの」
ま「何方どちらからいらっしゃいました」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)