いら)” の例文
周三は、いらつき氣味で、「じや、何うです。ちんころになツて馬車に乗るのと、人間になツて車力しやりきくのと何方が可いと思います。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
停車場ステーションで車をやとってうちへ急ぐ途中も、何だか気がいらって、何事も落着いて考えられなかったが、片々きれぎれの思想が頭の中で狂いまわる中でも
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
余はいらって「何で其の様な余計な事をお問い成さる、秀子を救わずに何としましょう」権田
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
盆地にいらつ。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
で、吃驚びつくりしたやうに、きよときよとして其處らを見𢌞しながら、何か不意に一大事件にでも出會でくはしたやうに狼狽うろたへる。やたらと氣がいらツき出す。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
部屋へ来てみると、ランプを細くしてう床もってある。私はますでお糸さんと膝を列べている時から、妙に気がいらって、今夜こそは日頃の望をと、芝居も碌に身にみなかった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何故なぜ家はうなんだらうと、索寞さくばくといふよりは、これぢやむし荒凉くわうりやうツた方が適當だからな。」とつぶやき、不圖ふとまた奧をのぞいて、いらツた聲で
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
見てゐるうちに、倩々つく/″\嫌になつて、一と思にいて了はうかとも思つて見る………氣がいらついて、こぶしまでにぎつた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いや、重たい、くびの骨が折れて了ひさうだ。ところでればかりじやない、其處ら中に眼に見えぬはりがあつて、始終俺をつついて、いらつかせたり、いきどほらせたり、悶々させたり、ふさがせたりする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)