いら)” の例文
新字:
一同いちどうこれはとおそつゝしみけるに、やゝありて幸豐公ゆきとよぎみ御顏おんかほなゝめ見返みかへたまひ、「もくもく」とたまへば、はる末座まつざかたにて、いらへつ、白面はくめん若武士わかざむらひすこしくれつよりずりでたり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
横笛愈〻こゝろまどひて、人の哀れを二重ふたへに包みながら、浮世の義理のしがらみ何方いづかたへも一言のいらへだにせず、無情と見ん人の恨みを思ひやれば、身の心苦こゝろぐるしきも數ならず、夜半の夢屡〻しば/\駭きて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
心に思ひ給ふこといらへ給ひね、洩れなくと
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
はたまた、千束ちづかふみ一言ひとことも返さざりし我が無情を恨み給はん時、いかにいらへすべき、など思ひ惑ひ、恥かしさも催されて、御所ごしよ拔出ぬけいでしときの心の雄々をゝしさ、今更いまさら怪しまるゝばかりなり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
瀧口はしばらくいらへせず、やゝありて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)