焦心いら)” の例文
いて笑ったといえないこともない。そして彼の手は陣後をさし招いた。馬をけ、馬をと、にわかに、焦心いらって呼ぶのであった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おのれ憎いは紋十郎、躍り出でただ一打ちとしきりに心は焦心いらちましたなれど、向こうは大勢私は一人、迂濶うかつに出ては危いと存じしばらく様子を窺いおりましたところ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
うしろへ迫る喊声かんせいにたいして、瀬兵衛は直ちに、馬首をめぐらそうとしたが、あわれ、馬さえ疲れ果てている。焦心いらッて、あぶみのかかとで馬腹を蹴った。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
辻風典馬が、土間のほうで焦心いらっている、それでも、乾児こぶんの野武士たちと、部屋の中とは、じっと、睨み合いのかたちで、いつまでもらちがあきそうもない。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無碍むげにそれをやろうとすれば、忽ち、焦心いらだつほうが敗れるにきまっている。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
公孫瓚は、焦心いらだって
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)