)” の例文
れったいというか、苛立いらだたしいというか、我々の方でも少しき込んだ傾きはあったが、どうにもらちがあかないのであった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「焦らっしゃる事よ、れてはようない、ようないぞの。まあ、休んでござらんか、よ。主あどんなにか大儀じゃろうのう。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
富岡は、何時までも長く、ゆき子を接吻してゐた。ゆき子は、すつかり上気して、富岡の肩に爪をたててれてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
一角いっかく入れてスタ/\スタ/\タヽヽヽヽヽとよく云いまするが嘘だそうです、聞きまするに馬は乗りたてからかけうと、馬がれていかんそうで
いや、もう、若さま、さきほどから主人がきついお待ちかねで、おひとりで石をならべ、れきって、ほとほとこまりぬいていたところでござります。
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
この頃では二人ともれて、六蔵か馬丁べっとうの福次郎にでも書かせるのか、時には一層読めぬ、恐ろしくたどたどしいくせに、妙にいかめしい葉書が飛びこんで来てみたり……
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
忿懣ふんまんやる方ないこの胸の思いをらしてやって! と、ひそかにその機会のくるのをうかがっていたのであったが、妻はいよいよ警戒を厳にして私を寄せ付けず、この頃では私も大分れ切ってきた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)