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苛
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ひど
ふりがな文庫
“
苛
(
ひど
)” の例文
其年
(
そのとし
)
の
京都
(
きやうと
)
の
冬
(
ふゆ
)
は、
音
(
おと
)
を
立
(
た
)
てずに
肌
(
はだ
)
を
透
(
とほ
)
す
陰忍
(
いんにん
)
な
質
(
たち
)
のものであつた。
安井
(
やすゐ
)
は
此
(
この
)
惡性
(
あくしやう
)
の
寒氣
(
かんき
)
に
中
(
あ
)
てられて、
苛
(
ひど
)
いインフルエンザに
罹
(
かゝ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
此方から参ったのは剣術
遣
(
つか
)
いのお弟子と見えて
奴
(
やっこ
)
蛇
(
じゃ
)
の
目
(
め
)
の傘をさして来ましたが、其の頃町人と見ると
苛
(
ひど
)
い目に合わせます者で
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いくら叔母さんが
苛
(
ひど
)
いったって雪の降ってる中を無暗に逃げ出して来て、わたしの
家
(
とこ
)
へも知らさないで、甲府へ出てしまって奉公しようと思うとって
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
マニラの暴状を見て来たばかりのその将校は、余りにも
苛
(
ひど
)
い無意味なる破壊の姿によほど心を痛められたようであった。私は返答に困って、下手な弁解をした。
硝子を破る者
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
もしかその人の
苛
(
ひど
)
いことを、あなたが受けた腹立たしい氣持ちと一緒に忘れようと考へてみたら、あなたはもつと幸福になれはしない? 私には人生は、
怨
(
うら
)
みを心に懷いたり
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
じくじく
湧
(
わ
)
いたものを、大きな
湯槽
(
ゆぶね
)
に溜めて見ると、色だけは非常に
奇麗
(
きれい
)
だが、それに
騙
(
だま
)
されてうっかり飛び込もうものなら
苛
(
ひど
)
い目に
逢
(
あ
)
う。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かめ「はい、誠に有難うございます、女一人でございますから、どうも
苛
(
ひど
)
い目に逢うところで、お蔭様で助かりました」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まさかそれほどでもないんで、少し
苛
(
ひど
)
いとも思ったが、よく考えてみると、実際適評だね。正にその通りな点もなきにしも非ずなんだから。どうも岡田さんはなかなか油断が出来ないな。
続先生を囲る話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
高い桜の
枯
(
かれ
)
枝を余念なく眺めて居た女は、急に三四郎の方を振り向く。あら
喫驚
(
びつくり
)
した、
苛
(
ひど
)
いわ、といふ顔付であつた。然し答は尋常である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
文「御老母様、手前は浪島文治でございます、あなたは鬼のような女に
苛
(
ひど
)
い目に
遇
(
あ
)
って、
嘸
(
さぞ
)
御残念でございましょう、只今私が
敵
(
かたき
)
を討って上げます」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
明治の初めには、竹箒で壁面の蜘蛛の巣をはらったという話であるが、その前にはもっと
苛
(
ひど
)
い取扱いを受けたこともあるのであろう。それでなくても、何といっても千年の月日は恐しいものである。
壁画摸写
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その年の京都の冬は、音を立てずに肌を
透
(
とお
)
す
陰忍
(
いんにん
)
な
質
(
たち
)
のものであった。安井はこの悪性の
寒気
(
かんき
)
にあてられて、
苛
(
ひど
)
いインフルエンザに
罹
(
かか
)
った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何ういう訳でございますか
苛
(
ひど
)
くお
怒
(
おこ
)
りで、今いう通り何か是にゃア訳があるのでしょうが、是は何うも藤ちゃん仕方がありません、御縁のないのです
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あら、そりゃ、あんまりだわ。だって
苛
(
ひど
)
いじゃありませんか、せっかく買って下すっておきながら、還せなんて」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
國「えゝ溝の中へ投り込んで来たとえ、
苛
(
ひど
)
い事をお
行
(
や
)
りなすったねえ、今に上ってきやアしませんか」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
元来先生が
家
(
いへ
)
を
探
(
さが
)
すなんて
間違
(
まちが
)
つてゐる。決して
探
(
さが
)
した事のない男なんだが、
昨日
(
きのふ
)
はどうかしてゐたに違ない。御蔭で佐竹の
邸
(
やしき
)
で
苛
(
ひど
)
い目に
叱
(
しか
)
られて
好
(
い
)
い
面
(
つら
)
の
皮
(
かは
)
だ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
婆「あれさ力持じゃアございません、本当に小増さんをお
名指
(
なざし
)
は
苛
(
ひど
)
いじゃアございませんか」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「しかし顔の
讒訴
(
ざんそ
)
などをなさるのは、あまり下等ですわ、誰だって好んであんな鼻を持ってる訳でもありませんから——それに相手が婦人ですからね、あんまり
苛
(
ひど
)
いわ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大事な荷物を持って行ってしまいましたが、
彼
(
あ
)
の中には
金子
(
かね
)
も入って居り、殊に大事な櫛
笄
(
かんざし
)
や衣類も入って居ります故、あれを取られましては
母親
(
おふくろ
)
にどんな
苛
(
ひど
)
いめに逢わされ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「えゝ。とう/\。
他
(
ひと
)
を美禰子さんの所へ
押
(
お
)
し
付
(
つ
)
けて置いて。
苛
(
ひど
)
いでせう」と同意を求める様に云つた。三四郎は何か返事をしやうとした。其前に美禰子が
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お秋の方も時としては
甚
(
ひど
)
く何か云われる事があり、御家来衆も
苛
(
ひど
)
く云われるところから
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
何
(
なん
)
だい、
苛
(
ひど
)
いぢやないか。用も云はないで、
無暗
(
むやみ
)
に
人
(
ひと
)
を呼びつけるなんて」と云つた。誠太郎は矢っ張りにや/\してゐた。代助はそれぎり
話
(
はなし
)
を
外
(
ほか
)
へそらして仕舞つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
前
(
めえ
)
を
打
(
ぶ
)
ったのは泊ってる奴が二人居るから、いやと云う程
苛
(
ひど
)
く
打
(
ぶ
)
たなくっちゃ本当にしないからだ、其の客人は原丹治とおかめという奴で、お
前
(
めえ
)
も知っている下新田の後家で
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あっ。
解
(
わか
)
った。三千代さんの
死骸
(
しがい
)
だけを僕に見せる積りなんだ。それは
苛
(
ひど
)
い。それは残酷だ」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
汝
(
てめえ
)
の姉のお蔭で
苛
(
ひど
)
い目に逢って、あれまで丹誠した桑名川村に
居
(
い
)
られないように成ったのだ、その時は家財や田地を売払って逃げる間も無いから、
漸
(
ようや
)
く有合せの金を持って逃げて
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これですって三毛を膝の上へ直したら、にやにや笑いながら、猫の病気はわしにも分らん、
抛
(
ほう
)
っておいたら今に
癒
(
なお
)
るだろうってんですもの、あんまり
苛
(
ひど
)
いじゃございませんか。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
年月
(
としつき
)
が
経
(
た
)
っても
返
(
けえ
)
さなければ泥坊より
苛
(
ひど
)
いじゃねえか、
難渋
(
なんじゅう
)
を云って頼んでも理に違っちゃアこれ程も恵まねえ世の中じゃアありませんか、
何故
(
なぜ
)
貴方
(
あなた
)
預かった覚えはないと
仰
(
おっ
)
しゃいました
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あつ。
解
(
わか
)
つた。三千代さんの死骸丈を僕に見せる
積
(
つもり
)
なんだ。それは
苛
(
ひど
)
い。それは残酷だ」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それも
宜
(
い
)
いが三人前の料理代を払うなんどは本当に愛敬のない仕方で、
彼
(
あ
)
れはどうも
苛
(
ひど
)
い、何でも
理由
(
わけ
)
があるに違いない、
理由
(
わけ
)
がなくって
彼様
(
あんな
)
になさる
気遣
(
きづかい
)
はねえ、何うも
理由
(
わけ
)
がありそうだ
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昔
(
むか
)
しタンタラスと云う人があった。わるい事をした
罰
(
ばち
)
で、
苛
(
ひど
)
い目に
逢
(
お
)
うたと書いてある。
身体
(
からだ
)
は肩深く水に
浸
(
ひた
)
っている。頭の上には
旨
(
うま
)
そうな
菓物
(
くだもの
)
が
累々
(
るいるい
)
と枝をたわわに
結実
(
な
)
っている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世にはとんだ者に
騙
(
だま
)
されて、いくらも
苛
(
ひど
)
いめに
遭
(
あ
)
うものが多いのに、自分の思う所に
請出
(
うけだ
)
されて行って
御新造
(
ごしんぞ
)
に成ると云う、そんな結構な事は何うも誠にねえ、おや
是
(
こり
)
ゃア御免なさいましよ
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かつて
二葉亭
(
ふたばてい
)
といっしょに北の方を旅行して、
露西亜人
(
ロシアじん
)
に
苛
(
ひど
)
い目に
逢
(
あ
)
ったと話した。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
両側は一面に
枝柿
(
えだがき
)
を売る
家
(
いえ
)
が並んで、其の並びには飴菓子屋汁粉屋飯屋などが居て、常には左のみ賑かではございませんが、一年の
活計
(
くらし
)
を二日で取るという位な
苛
(
ひど
)
い商いだが、実に盛んな事で
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
賄に
擲
(
なぐ
)
られたなと
調戯
(
からか
)
って
苛
(
ひど
)
い目に
逢
(
あ
)
ったので今にその
颯爽
(
さっそう
)
たる姿を覚えている。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
虎
(
とら
)
が
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
して
谷
(
たに
)
の
水
(
みづ
)
を
呑
(
の
)
んでゐる
鼻柱
(
はなばしら
)
が
少
(
すこ
)
し
汚
(
けが
)
されたのを、
父
(
ちゝ
)
は
苛
(
ひど
)
く
氣
(
き
)
にして、
宗助
(
そうすけ
)
を
見
(
み
)
る
度
(
たび
)
に、
御前
(
おまへ
)
此所
(
こゝ
)
へ
墨
(
すみ
)
を
塗
(
ぬ
)
つた
事
(
こと
)
を
覺
(
おぼ
)
えてゐるか、
是
(
これ
)
は
御前
(
おまへ
)
の
小
(
ちひ
)
さい
時分
(
じぶん
)
の
惡戲
(
いたづら
)
だぞと
云
(
い
)
つて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
実はあまりがみがみ云うから、黙っていようかしらんとも思ったけれども、万一掟を破って、あとで
苛
(
ひど
)
い目に
逢
(
あ
)
うのが
怖
(
こわ
)
いから、まあ聞いて見た。すると
他
(
ほか
)
の坑夫が、すぐ、返事をした。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何だい、
苛
(
ひど
)
いじゃないか。用も云わないで、
無暗
(
むやみ
)
に人を呼びつけるなんて」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
虎が舌を出して谷の水を
呑
(
の
)
んでいる鼻柱が少し
汚
(
けが
)
されたのを、父は
苛
(
ひど
)
く気にして、宗助を見るたびに、御前ここへ墨を塗った事を覚えているか、これは御前の小さい時分の
悪戯
(
いたずら
)
だぞと云って
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
苛
(
ひど
)
い事を……だって坊さんになるのは、
酔興
(
すいきょう
)
になるんじゃないでしょう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「今帰ったよ。どうも
苛
(
ひど
)
い
埃
(
ほこり
)
でね」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
苛
(
ひど
)
い、
苛
(
ひど
)
い」と云つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
苛
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
“苛”を含む語句
苛責
苛酷
苛立
苛々
苛辣
苛斂誅求
苛苛
苛虐
苛斂
小苛
苛烈
苛税
苛政
苛刻
手苛
苛察
苛立勝
暴歛苛法
辛辣苛酷
責苛
...