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苛
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さい
ふりがな文庫
“
苛
(
さい
)” の例文
母と姉とを非道に殺された私と父とは、不快なあさましい記憶から絶えず心を
苛
(
さい
)
なまれながら、
怏々
(
おうおう
)
としてその日を暮して居りました。
ある抗議書
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ここにぼろぎれのように眠る男も、やはり此の身を
苛
(
さい
)
なまずしては生きて行けない生活をしている。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
私はほんの僅かな借金が
原因
(
もと
)
で、清水に長い年月
苛
(
さい
)
なまれて来た。私はただ彼の奴隷として生き永らえたのだ。私は涙を呑んで堪え忍んだ。私は研究が可愛かったのである。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ちっとも恥かしいと思わなかったばかりでなく、もっともっと自分を恥かしめ、
苛
(
さい
)
なみ苦しめてくれ……というように、
白木
(
しらき
)
の位牌を二つながら抱き締めて、どんなに
頬
(
ほお
)
ずりをして、
接吻
(
せっぷん
)
しつつ
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし、翌日も、またその次の日も同じような皆の悪意が
露骨
(
ろこつ
)
で、病的になったぼくの神経をずたずたに切り
苛
(
さい
)
なみます。あなたに、
逢
(
あ
)
えないまま、海の荒れる日が、
桑港
(
サンフランシスコ
)
に着くまで、続きました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
父親にそう
苛
(
さい
)
なまれるのを何か快しとするような笑いでもあります。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
自分の皇女が、過激派の手で
苛
(
さい
)
なまれるのを見て居た廃帝の、心持ほどの心持を持たされた人が、世界にそれほど沢山存在したとは思われませんでした。
たちあな姫
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
父に別れてからは周囲は他人ばかりで、唯一の肉親である兄が却って
白眼
(
はくがん
)
で見るのだ。只一人の同情者も持たない彼が、童心を
苛
(
さい
)
なまれ、蝕ばまれて行った事がはっきり分るのだ。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
たゞ、彼女自身、恐ろしい罪の
審問
(
しんもん
)
を受けているように、心が千々に
苛
(
さい
)
なまれた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
苛
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
“苛”を含む語句
苛責
苛酷
苛立
苛々
苛辣
苛斂誅求
苛苛
苛虐
苛斂
小苛
苛烈
苛税
苛政
苛刻
手苛
苛察
苛立勝
暴歛苛法
辛辣苛酷
責苛
...