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窘
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いじ
ふりがな文庫
“
窘
(
いじ
)” の例文
花鳥も娘義太夫なんかを
窘
(
いじ
)
めたりしなければ、まだ容易に露顕しなかったかも知れません。巾着切りの竹蔵もつづいて
挙
(
あ
)
げられました。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一知夫婦を
窘
(
いじ
)
めたかに
就
(
つ
)
いてですね……出来るだけ秘密に……そうしてモット具体的に確かめられるだけ確かめておいて下さい。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「……まっすぐに帰るのよ。またどっかへ脱線しちゃいけないわよ。もしそうだったら、こんどうんと
窘
(
いじ
)
めてやるから……」
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは昔彼女の父が不幸のなかでどんなに
酷
(
ひど
)
く彼女を
窘
(
いじ
)
めたか、母はよくその話をするのであるが、すると私は
穉
(
おさな
)
い母の姿を空想しながら涙を流し
闇の書
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
叔父は相変らず源三を愛しているに
関
(
かかわ
)
らず、この叔父の後妻はどういうものか源三を
窘
(
いじ
)
めること非常なので、源三はついに甲府へ
逃
(
に
)
げて奉公しようと
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
此の様な秘密の道の有る事は自分の外に知る者がないのだから是切り姿を隠して了えば充分秀子を
窘
(
いじ
)
められると。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
元来人間というものは自己の力量に慢じてみんな増長している。少し人間より強いものが出て来て
窘
(
いじ
)
めてやらなくてはこの先どこまで増長するか分らない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女連
(
おんなづれ
)
は同盟して、お光を
法外
(
のけもの
)
にする。
男児連
(
おとこづれ
)
は往来毎にお光を
窘
(
いじ
)
める。併しお光は避け隠れして取り合わぬ。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
白
(
しろ
)
」が居た頃、此犬は
毎
(
つね
)
に善良な「白」を
窘
(
いじ
)
め、「白」を誘惑して共に
隣家
(
となり
)
の猫を
噛
(
か
)
み殺し、
到頭
(
とうとう
)
「白」を
遠方
(
えんぽう
)
にやるべく余儀なくした、云わば白の
敵
(
かたき
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
自分を
窘
(
いじ
)
める好い材料を得たかのように、帰りを待ちもうけている母親の顔が、憶い出されて来た。お島はそれを避けるような、自分の落つき場所を考えて見たりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ある時裔一と一しょに晴雪楼詩鈔を読んでいると、
真間
(
まま
)
の
手古奈
(
てこな
)
の事を詠じた詩があった。僕は、ふいと思い出して、「君のお母様は本当のでないそうだが、
窘
(
いじ
)
めはしないか」
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてその時わたしは
何卒
(
どうぞ
)
貴方のお
死
(
しに
)
なさる時、今一
度
(
ど
)
お側へ来たいと心に祈って死にました。それは貴方に怖い思をさせたり、貴方を
窘
(
いじ
)
めたりしようというのではございませぬ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
私はお前を
窘
(
いじ
)
めに窘め抜き、
恐
(
こ
)
わがらせに恐わがらせ抜いた上で、
徐
(
おもむ
)
ろにお前の命を奪おうと思っていたのだが、
此間
(
このあいだ
)
からお前達の夫婦仲を見せつけられるに及んで、お前を殺すに先だって
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
畜生、と思って、どうでも尻尾をおさえて
窘
(
いじ
)
めてやる気になった。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
横合から不意に出て来て玉無しにされてしまったという
業腹
(
ごうはら
)
がまじって、半七は飽くまでも意地悪くこの武士を
窘
(
いじ
)
めにかかった。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なぞ云う学生諸君があったらウンと
窘
(
いじ
)
めて上げる事にして、ここでは先ず腰弁諸君の御噂から申上げる。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
弱虫だ弱虫だって
衆
(
みんな
)
が云うけれど、おいらだって男の児だもの、
窘
(
いじ
)
められてばかりいたかあ無いや。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
秀子が余の叔父に毒害を試みた事が何うも確からしいとは云えそれでも
無暗
(
むやみ
)
に秀子を
窘
(
いじ
)
めて懲らせようとは思わぬ、何うか穏便な取り計いで、余り窘めずに方を附けたい
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
醜
(
みにく
)
い姿忌み嫌わるゝ悲しさに、大びらに明るい世には出られず、常に人目を避けて
陰地
(
いんち
)
にのたくり、弱きを
窘
(
いじ
)
めて冷たく、執念深く、笑うこともなく世を過す蛇を思えば
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
しかし芋がたまさか子猿の口に
這入
(
はい
)
っても子猿を
窘
(
いじ
)
めはしない。本能は存外醜悪でない。
牛鍋
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「まあ、……あたし実は今夜が始めてなのですのよ。あまりお
窘
(
いじ
)
めならないでネ。……」
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼らの中には維新志士の腰について、多少先輩当年の苦心を知っている人もあるはず。よくは知らぬが、明治の初年に近時評論などで大分政府に
窘
(
いじ
)
められた経験がある閣臣もいるはず。
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
父親に告口をしたのが憎らしいと云って、口を
抓
(
つ
)
ねられたり、妹を
窘
(
いじ
)
めたといっては、二三尺も積っている
脊戸
(
せど
)
の雪のなかへ
小突出
(
こづきだ
)
されて、息の
窒
(
つま
)
るほどぎゅうぎゅう圧しつけられた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「このひとを
窘
(
いじ
)
めると、承知しないぞ」
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「左様でございます」と、お鉄は
洟
(
はな
)
をつまらせながら答えた。「いろいろの無理を云って、わたくし共を
窘
(
いじ
)
めるのでございます」
半七捕物帳:37 松茸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこへ
塩気
(
しおけ
)
がつく、
腥気
(
なまぐさっけ
)
がつく、
魚肉
(
にく
)
が
迸裂
(
はぜ
)
て飛んで
額際
(
ひたいぎわ
)
にへばり着いているという始末、いやはや眼も当てられない
可厭
(
いや
)
な
窘
(
いじ
)
めようで、叔母のする事はまるで
狂気
(
きちがい
)
だ。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ある大家では、籍まで入れて飼って居たが、
交尾期
(
こうびき
)
にあまり家をあけるので、到頭
離籍
(
りせき
)
して了うた。
其様
(
そん
)
な事で彼は甲州街道の
浮浪犬
(
ふろういぬ
)
になり、可愛がられもし
窘
(
いじ
)
められもした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
財産を無くして、
狂
(
きちがい
)
になる。世の中が思う様にならぬでヤケを起し、太く短く世を渡ろうとしてさまざまの不心得をする。鬼に
窘
(
いじ
)
められて鬼になり他の
小児
(
こども
)
の積む石を崩してあるくも少くない。
地蔵尊
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
敵に向って「何故己の妻でも何でもない女を
窘
(
いじ
)
めるか」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
罪のないお此をそれほどに
窘
(
いじ
)
めるのも可哀そうだと思ったので、お花も仕舞いには却ってお絹をなだめる役にまわったのである。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かれらは半七に意地わるく
窘
(
いじ
)
められて、屋敷の名や自分たちの身分を明かすよりも、むしろ死を
択
(
えら
)
ぼうと覚悟したのであった。
半七捕物帳:30 あま酒売
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「無論さ。だが、
師直
(
もろのお
)
が気にくわない。こっちが判官で、あいつに
窘
(
いじ
)
められるかと思うと
忌
(
いや
)
になる」
半七捕物帳:38 人形使い
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お久どんから
何
(
ど
)
んなに
窘
(
いじ
)
められるであろう。それを思うと、お菊は帰るにも帰られなかった。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
誰にも
窘
(
いじ
)
められることは無いと存じまして、夜店で買いました小刀をふところに入れて、昨晩の夜ふけに稲荷町へそっと忍んでまいりますと、案の通りお津賀は隣りの家へはいり込んで
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
窘
漢検1級
部首:⽳
12画
“窘”を含む語句
窘逐狂
窘蹙
立窘
窘窮
窘迫
居窘
窘逐
掻窘
窘束
窘歩
窘渋
窘付
窘乏
狭窘
窘追
抱窘
困窘