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脊戸
脊戸に
干した
雨傘に、
小犬がじやれ
掛ゝつて、
蛇の
目の
色がきら/\する
所に
陽炎が
燃える
如く
長閑に
思はれる
日もあつた。
軈て
脊戸と
思ふ
処で
左に
馬小屋を
見た、こと/\といふ
物音は
羽目を
蹴るのであらう、もう
其辺から
薄暗くなつて
来る。
父親に告口をしたのが憎らしいと云って、口を
抓ねられたり、妹を
窘めたといっては、二三尺も積っている
脊戸の雪のなかへ
小突出されて、息の
窒るほどぎゅうぎゅう圧しつけられた。