すく)” の例文
すくむ氣の習等を癒さんとする等の時にも、年の老若に依らず、若し氣を過泄する癖があつたらば、先づ其を改めねばならぬ。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
と酒井は笑みを含んだが、この際、天窓あたまから塩で食うと、大口を開けられたように感じたそうで、襖の蔭で慄然ぞっすくんで壁の暗さに消えて行く。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とにかく信長の方では三重にも柵を構え、それに依って武田の猛将勇士が突撃するのをはばみ、武田方のマゴマゴしている所を鉄砲で打ちすくめようと云うのである。
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あわただしい折から手の触るも顧みず、奪うがごとく引取って、背後うしろから夫人の肩を肩掛ショオルのように包むと、撫肩はいよいよ細って、身をすくめたがなお見げな。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
或はすくむ氣、或はたかぶる氣、或は散る氣、或は凝る氣等の爲さしむることである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
この頃じゃ、こちらに、どんな事でもあるように、島山(理学士)を見ると、もうね、身体からだすくむような事があるわ。土間へ駈下りて靴の紐を解いたり結んだりしてやってるじゃありませんか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
冬の凝る氣やすくむ氣のさまは多言を要せずして明らかである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)