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膝行
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しっこう
ふりがな文庫
“
膝行
(
しっこう
)” の例文
犬殺しは遠くの方から、怖る怖る地上へ
膝行
(
しっこう
)
して集まった人たちを仰ぎ見ることをしないで、犬の方へばかり近寄って行きました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
灯が、障子に近々と揺れると、右京の背後から、二人の腰元が、
燭台
(
しょくだい
)
を
捧
(
ささ
)
げて、入ってきた。その
裾
(
すそ
)
の下を右京は、二、三尺
膝行
(
しっこう
)
すると、平伏して
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「白」と声をかくるより早く、
土足
(
どそく
)
で座敷に飛び上り、
膝行
(
しっこう
)
匍匐
(
ほふく
)
して、忽ち例の放尿をやって、旧主人に恥をかゝした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
金之助は
膝行
(
しっこう
)
して盃を受けた。侍していた少年が
銚子
(
ちょうし
)
で酌をした、——康継は別の盃を取りながら、少年に座を去れと命じ、金之助と二人きりになった。
落ち梅記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、その前に
膝行
(
しっこう
)
して、お
杯
(
さかずき
)
を頂戴いたしていた、六波羅探題より附けられて来た、軍監の大野信濃守が
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
(
膝行
(
しっこう
)
して進む。侍女等、姿見を
卓子
(
テエプル
)
の上に据え、錦の蔽を
展
(
ひら
)
く。侍女等、卓子の端の一方に集る。)
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その案内に従い茶席におそるおそる
躙
(
にじ
)
り入るのであるが、入席したらまず第一に、
釜
(
かま
)
の前に至り炉ならびに釜をつくづくと拝見して歎息をもらし、それから床の間の前に
膝行
(
しっこう
)
して
不審庵
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
三百の諸侯を
膝行
(
しっこう
)
せしめ、敢て仰ぎ見る能わざらしむる徳川征夷大将軍も、一の骸骨に過ぎず。要言すれば彼らの眼中には、幕府なし。幕府は少くとも彼らの心意的印象の
裡
(
うち
)
に滅びたり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
そして、その中の一人が押し出されるように
膝行
(
しっこう
)
して進んで来た。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
隣室に詰めていた蜈蚣衆、その頭領の
琢磨
(
たくま
)
小次郎が、黒小袖に黒頭巾、黒の鼻緒の
草鞋
(
わらじ
)
を
穿
(
は
)
き、黒の伊賀
袴
(
ばかま
)
に黒
手甲
(
てっこう
)
、眼だけ頭巾の隙から出し、
膝行
(
しっこう
)
して末座へ平伏した。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が、ただここに、あらゆる罪科、一切の制裁の
中
(
うち
)
に、
私
(
わたくし
)
が最も苦痛を感ずるのは、この革鞄と、袖と、令嬢とともに、
私
(
わたくし
)
が連れられて、
膝行
(
しっこう
)
して当日の婿君の前に参る事です。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三之丞は
膝行
(
しっこう
)
して拝領した。珍しくも、その時三之丞の眼には涙が光っていた。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
熊太郎は側の大刀を取り、左の手に持ち
膝行
(
しっこう
)
し、襖
際
(
ぎわ
)
に寄るとソロリと開けた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二度まで促されて
膝行
(
しっこう
)
する丹後守に、家綱は持っていた一本の矢をわたした。
日本婦道記:箭竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
代二郎は人々のあいだを静かに
膝行
(
しっこう
)
し、席次どおりの位置で頭をあげた。
初夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
宮家の前へ
膝行
(
しっこう
)
し、おずおずした声で口上を述べた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“膝行”の意味
《名詞》
貴人などの前でひざまずき膝で進退すること。
(出典:Wiktionary)
膝
常用漢字
中学
部首:⾁
15画
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
“膝行”で始まる語句
膝行袴
膝行寄
膝行出
膝行頓首
膝行軌
膝行込