トップ
>
膝行
>
ゐざ
ふりがな文庫
“
膝行
(
ゐざ
)” の例文
平次に迎へ入れられると、二つ三つ立て續けにお辭儀をして、後ずさりに
膝行
(
ゐざ
)
りよるといつた、何んとなくたしなみの良い男でした。
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
淡海
(
たんかい
)
公の孫、
大織冠
(
たいしよくくわん
)
の曾孫藤氏南家の族長太宰、帥豊成、其
第一嬢子
(
だいいちぢやうし
)
なる姫である。屋敷から一歩はおろか、女部屋から
膝行
(
ゐざ
)
り出ることすら、たまさかにもせない
郎女
(
いらつめ
)
のことだ。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
はやく
酒殽
(
さかな
)
をつらねてすすめまゐらすれば、
八四
万作
酌
(
しやく
)
まゐれとぞ
課
(
おほ
)
せらる。
恐
(
かしこま
)
りて、
美相
(
びさう
)
の
若士
(
わかさぶらひ
)
膝行
(
ゐざ
)
りよりて
八五
瓶子
(
へいじ
)
を
捧
(
ささ
)
ぐ。かなたこなたに
杯
(
さかづき
)
をめぐらしていと興ありげなり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
医師は、横はつてゐる勝平の
傍
(
そば
)
近く、
膝行
(
ゐざ
)
り寄りながら、瑠璃子にさう訊いた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
のろのろと
膝行
(
ゐざ
)
りゆく。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
平次は娘の
眼差
(
まなざし
)
に誘はれるやうに、默つて枕近く
膝行
(
ゐざ
)
り寄りました。顏半分包んではありますが、この娘の美しさはまさに拔群です。
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
郎女の手に、此巻が渡つた時、姫は端近く
膝行
(
ゐざ
)
り出て、元興寺の方を礼拝した。其後で
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
女
出
(
い
)
で来りて、御
訪
(
とぶら
)
ひのよし申しつるに、入らせ給へ、
一三二
物隔ててかたりまゐらせんと、
端
(
はし
)
の方へ
膝行
(
ゐざ
)
り出で給ふ。
彼所
(
かしこ
)
に入らせ給へとて、
一三三
前栽
(
せんざい
)
をめぐりて奥の方へともなひ行く。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
平次はそんな事は氣にも留めない樣子で、
膝行
(
ゐざ
)
り寄ると死體に掛けた
晒
(
さらし
)
木綿を
除
(
と
)
り、丁寧に拜んで、暫らくその顏を見詰めて居ります。
銭形平次捕物控:186 御宰籠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
伜の又次郎が手を出しさうにするのを止めて、自分で
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて、壁際に立てかけてあつた吹矢筒を取つて、平次に渡します。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次はいつものやうに一禮してから、死體の側に
膝行
(
ゐざ
)
り寄りました。顏を隱した
晒
(
さらし
)
の布を取つて、ハツと息を呑んだのも無理はありません。
銭形平次捕物控:201 凉み船
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は部屋の四方から、家の構造をひと通り見て、地理的な關係を胸に疊んでから、
膝行
(
ゐざ
)
るやうに中に入つて、慘憺たる死骸を、恐しく丁寧に見ました。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
型の如き
屏風
(
びやうぶ
)
の中に、北枕で若旦那の死骸が横たへてありますが、線香をあげて
膝行
(
ゐざ
)
り寄つた平次は、たつた一目で、井戸の中で、三間以上の高さから
銭形平次捕物控:153 荒神箒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて線香をあげて、死骸を
覆
(
おほ
)
つた
巾
(
きれ
)
を取りのけて、物馴れたガラツ八も思はず聲を立てました。
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お篠はさう言つて、自分の兩手を後ろに廻し、平次の方へ
膝行
(
ゐざ
)
り寄るのです。白粉氣の無い顏は青ざめ、
瞼
(
まぶた
)
に
溢
(
あふ
)
れる涙が、豊かな頬を濡らして襟に落ちるのでした。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は
咄嗟
(
とつさ
)
の間に二人の若い女を觀察すると、死骸の側に
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて、何時も親分の平次がするやうに、丁寧に拜んでから、顏を
蔽
(
おほ
)
うてある白い布を取りました。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
奧の間に寢かしたまゝ、検屍を待つてゐる娘お吉の死體を、平次は
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて一目見せて貰ひました。
醜
(
みにく
)
かるべき絞殺死體ですが、これはまた何んといふ美しさでせう。
銭形平次捕物控:129 お吉お雪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
庭から直ぐ入つて、平次は死骸の枕許に
膝行
(
ゐざ
)
り寄りました。至つて粗末な布團の上に着換へさせたとは名ばかりの
古袷
(
ふるあはせ
)
、手習机の上に線香と水だけ供へてあるのも哀れです。
銭形平次捕物控:208 青銭と鍵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見ると主人は向うを向いたまゝうと/\して居たかも知れない——騷ぎの最中で、閉め忘れた縁側から
膝行
(
ゐざ
)
り込んだ米松は、側にある血染の脇差を見ると、フト魔がさした。
銭形平次捕物控:248 屠蘇の杯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ノソリと歸つて來た八五郎は、火鉢の側へ
膝行
(
ゐざ
)
り寄ると、もうこんなことを言ふのです。
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二三度店へやつて來て、顏馴染になつて居る八五郎は、その枕許に
膝行
(
ゐざ
)
り寄りました。
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
膝行
(
ゐざ
)
り寄つたお京は、赤ん坊のやうな素直な心持で、音次郎の首つ玉に、
犇々
(
ひし/\
)
とすがりつくのです。どつと留めどのない涙が、死に化粧の白粉を流して、男の襟へ首筋へと
注
(
そゝ
)
ぎます。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
などといひながら、
欄干
(
らんかん
)
の方へよち/\
膝行
(
ゐざ
)
つて、
品
(
しな
)
を作つて柱に
絡
(
から
)
むとそのまゝ『美人欄に寄るの圖』にならうといつた——少なくとも本人はさう信じて疑はない
性
(
たち
)
の女だつたのです。
銭形平次捕物控:152 棟梁の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次はそれに取合はずに、床の傍に
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて、問題の死骸を見ました。
銭形平次捕物控:185 歩く死骸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎はそれでも犬にも噛み付かれず、障子の外から
膝行
(
ゐざ
)
り込みました。
銭形平次捕物控:121 土への愛著
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三十郎は平次の顏を見ると、急に正氣づいたやうに
膝行
(
ゐざ
)
り寄るのでした。
銭形平次捕物控:315 毒矢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして
膝行
(
ゐざ
)
り寄るやうに顏だけ隱したお才の死骸を調べるのです。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は主人榮之助の裾の方から、床へ近く
膝行
(
ゐざ
)
り寄りました。
銭形平次捕物控:251 槍と焔
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて一と眼、平次もさすがに顏を反けたほどです。
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
笹野新三郎は自分も
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて、平次を小手招ぎました。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
膝行
(
ゐざ
)
り寄る喜兵衞は、松五郎の手に彈き飛ばされました。
銭形平次捕物控:057 死の矢文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は少し
膝行
(
ゐざ
)
つて、
行燈
(
あんどん
)
の前に左手を出すのです。
銭形平次捕物控:263 死の踊り子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は
膝行
(
ゐざ
)
り寄つて、澁紙と麻繩と蓋を見ました。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“膝行”の意味
《名詞》
貴人などの前でひざまずき膝で進退すること。
(出典:Wiktionary)
膝
常用漢字
中学
部首:⾁
15画
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
“膝行”で始まる語句
膝行袴
膝行寄
膝行出
膝行頓首
膝行軌
膝行込