トップ
>
恐
>
おそら
ふりがな文庫
“
恐
(
おそら
)” の例文
恐
(
おそら
)
く満場の諸君よりも同君の内状に
詳
(
くはし
)
いであらうと思ふ、我輩は最も親交ある篠田君の一友人として、松本君の指摘されたる事実は
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
毎日払い落されても、毎日これを繕ってゆく。
恐
(
おそら
)
く彼はいよいよ死ぬという最終の一時間までこの努力をつづけるに相違あるまい。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今日に至るまでこれを思考することができなかったとすれば、
恐
(
おそら
)
くは死に至るまで、わたくしは依然として
呉下
(
ごか
)
の
旧阿蒙
(
きゅうあもう
)
たるに過ぎぬであろう。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
普通の事情位は
刎
(
は
)
ね
退
(
の
)
けて、再婚すべしと言ひたいのであるが、今日の軍人遺族は、
恐
(
おそら
)
く自分の説を
容
(
い
)
れて呉れまい。
未亡人と人道問題
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
橢圓形
(
だゑんけい
)
の部の周縁に
縫
(
ぬ
)
ひ
目
(
め
)
の如き凹みの存するとの二つに由つて
考
(
かんが
)
ふれば
恐
(
おそら
)
くは獸の皮なりしならんと思はる縁の部のみは
布
(
ぬの
)
にて作りしものも有りしにや
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
▼ もっと見る
そして単に形容たるのみならず、
恐
(
おそら
)
くは
渺茫
(
びょうぼう
)
たる
大洋
(
わだつみ
)
の中に幾日かを送る航海者に取りては、ヨブ記のこの語が
宛然
(
さながら
)
に事実なるが如く感ぜらるるであろう。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
少くも骨の一片位はなくてはならんはずだが、品物はそのまま
其処
(
そこ
)
に身体は
何処
(
どこ
)
か
渓間
(
たにま
)
へでも吹飛されたものか、この秘密は
恐
(
おそら
)
くは
誰
(
だ
)
れも
解
(
と
)
くものはあるまい
越中劍岳先登記
(新字新仮名)
/
柴崎芳太郎
(著)
なんじを訴うる者とともに
途
(
みち
)
に在るうちに、早く和解せよ。
恐
(
おそら
)
くは、訴うる者なんじを
審判人
(
さばきびと
)
にわたし、審判人は
下役
(
したやく
)
にわたし、
遂
(
つい
)
になんじは
獄
(
ひとや
)
に入れられん。
HUMAN LOST
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
若
(
も
)
し小説界の明治廿一年以前を春のや支配の
時代
(
ペリヲデー
)
となし、廿二年を北邙、美妙、紅葉支配の時代となさば、明治廿三年は
恐
(
おそら
)
くは鴎外、露伴二氏支配の時代ならん。
舞姫
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
彼
若
(
もし
)
疾
(
と
)
く
還
(
かへ
)
りたらんには、
恐
(
おそら
)
く踏留るは三分の一弱に過ぎざりけんを、と我物顔に富山は主と語合へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
だがそいつは
恐
(
おそら
)
く殺人犯人ではない、犯人はもっと別の所にいるのだ。だから、真犯人が見つかるまでは、残念だけれど、その悪魔の正体をあばく訳には行かない。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
恐
(
おそら
)
くは『洋外紀略』の「
嗚呼
(
ああ
)
話聖東
(
ワシントンは
)
、
雖生於戎羯
(
じゅうけつにうまるといえども
)
、
其為人
(
そのひととなりや
)
、
有足多者
(
たりておおきものあり
)
」云々の一節であっただろう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
背負揚
(
しよいあげ
)
のうちに、
何等
(
なんら
)
の
秘密
(
ひみつ
)
があらうとは
思
(
おも
)
はぬ。が、もし
有
(
あ
)
つたら
如何
(
どう
)
する?と
叫
(
さけ
)
んだのも、
恐
(
おそら
)
く
此
(
こ
)
の
猜疑心
(
さいぎしん
)
であらう。
私
(
わたし
)
はそれを
感
(
かん
)
ずると
同時
(
どうじ
)
に、
妙
(
めう
)
に
可厭
(
いや
)
な
気
(
き
)
が
差
(
さ
)
した。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
恐
(
おそら
)
くは語音通ぜず、意義感ぜざるをもって、伝うといえども、すみやかに亡びしならん。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
が、
幸
(
さいはひ
)
、それと共に、彼の
睫毛
(
まつげ
)
に溢れようとしてゐた、涙の珠もあつたので、彼を見てゐた門弟たちは、
恐
(
おそら
)
くあの
辛辣
(
しんらつ
)
な支考まで、全くこの興奮も彼の悲しみの結果だと解釈してゐた事であらう。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
重太郎は
恐
(
おそら
)
く
何処
(
いずこ
)
へか
立去
(
たちさ
)
ったのであろう。それから塚田巡査に発見されるまでは、重蔵も夢心地で何にも知らなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
愚父の
亡
(
なくな
)
りましたあの時に、
此方
(
こちら
)
で引取つて
戴
(
いただ
)
かなかつたら、私は今頃何に成つてをりますか、それを思ひますと、世間に私ほど
幸
(
さいはひ
)
なものは
恐
(
おそら
)
く無いでございませう
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
併し何事でもさう云ふ風に觀察すると云ふと、
恐
(
おそら
)
くは
偏頗
(
へんぱ
)
になりはすまいかと思ふのであります。
仮名遣意見
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
観音堂が
一立斎広重
(
いちりゅうさいひろしげ
)
の名所絵に見るような旧観に復する日は
恐
(
おそら
)
くもう来ないのかも知れない。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼女
(
かれ
)
が若かりし春の面影は、
恐
(
おそら
)
く花のようにも美しかったであろうと想像されるが、冬の
老樹
(
おいき
)
の枯れ朽ちたる今の姿は、
唯
(
ただ
)
凄愴
(
ものすご
)
いものに見られた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
文一郎は成善の姉壻になったからである。文一郎さんは
赤坂台町
(
あかさかだいまち
)
に現存している人ではあるが、
恐
(
おそら
)
くは自ら往事を談ずることを喜ばぬであろう。その少時の事蹟には二つの
活
(
い
)
きた典拠がある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
兎
(
と
)
こうする
中
(
うち
)
に日は暮れかかる。彼も
流石
(
さすが
)
に途方に暮れている処へ、
恐
(
おそら
)
く例の山𤢖であろう。人か猿か判らぬ一個の怪しい者がふらりと出て来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
恐
(
おそら
)
くは情を知って強要したのであろう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
光秀も
恐
(
おそら
)
く竹槍を
担
(
かつ
)
いで逃げ出すより
他
(
ほか
)
はあるまい。私は独りで
噴飯
(
ふきだ
)
してしまった。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
恐
(
おそら
)
くはこゝらを徘徊する山賊の
仕業
(
しわざ
)
であらうといふことになつてしまつた。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
頗
(
すこぶ
)
る
大
(
おおき
)
いもので、
恐
(
おそら
)
く舞楽の
面
(
おもて
)
かとも思われる。頼家の
仮面
(
めん
)
というのは、頼家所蔵の
面
(
おもて
)
という意味か、あるいは頼家その人に
肖
(
に
)
せたる
仮面
(
めん
)
か、それは
判然
(
はっきり
)
解らぬが、多分前者であろうと察せられる。
修禅寺物語:――明治座五月興行――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今、無心に
睦
(
むつま
)
じく遊んでいる犬は、
恐
(
おそら
)
く何にも知らぬであろうが、見よ、一方には頸環がある。その安全は保障されている。しかも他の一方は野犬である。
何時
(
なんどき
)
虐殺の悲運に逢わないとも限らない。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「君、これはどうもむずかしいよ。
恐
(
おそら
)
く花は持つまい。」
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
恐
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“恐”を含む語句
恐怖
可恐
恐々
恐入
恐慌
恐懼
恐縮
恐竜
恐悦
恐喝
恐惶
恐気
恐多
空恐
恐山
恐惶謹言
恐悚
恐迫
大恐悦
恐怖心
...