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恐
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こは
ふりがな文庫
“
恐
(
こは
)” の例文
「あの人は
真面目
(
むき
)
だから怒ると
恐
(
こは
)
いぜ。それに、今度のことぢや、若旦那、
篦棒
(
べらぼう
)
なのぼせやうをして居なさるんだつて言ふからな。」
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
「だつてお父様、ジウラさんは男のくせに、お馬にのることが下手で、落ちるのが
恐
(
こは
)
いからいやですつて行かうといひませんもの」
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
しかしこれは人を
殺
(
あや
)
めるものではなく、仏さまの
守護神
(
まもりがみ
)
であることを爺は知つてゐますので、ちつとも
恐
(
こは
)
いとは思ひませんでした。
天童
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
渡し守は、彼が渡し舟に乗るのを
辞
(
ことわ
)
らうとした。しかし、彼の腰にさしてゐる刀が
恐
(
こは
)
かつたので、黙つて向かふ岸へ渡してやつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
一向人も来ないやうでしたからだんだん私たちは
恐
(
こは
)
くなくなってはんのきの下の
萱
(
かや
)
をがさがさわけて
初茸
(
はつたけ
)
をさがしはじめました。
二人の役人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
さうして、
恐
(
こは
)
い目を見つけたものが逸早く店の女へ
合圖
(
あひづ
)
をするのであつた。合圖がかゝると女は素早く窓を閉めて奧へ引き込む。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
恐
(
こは
)
い夢を見て目を開くと九時であつた。桃を呼んで見たがまだ帰らないらしい。風が戸に当つて気味の悪い音を立てゝ居た。
六日間:(日記)
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
さてはわが
身
(
み
)
を
恐
(
こは
)
がらないのか、ちつとも
恐
(
こは
)
いと
思
(
おも
)
つてゐない。この
児
(
こ
)
の
眼
(
め
)
には、あたしの
恐
(
おそ
)
ろしい
白栲
(
しろたへ
)
が、
御主
(
おんあるじ
)
のそれと
同
(
おな
)
じに
見
(
み
)
えるのだ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
それに
私
(
わたくし
)
が
危
(
あやふ
)
ければ、
此
(
こ
)
の
弟
(
おとうと
)
が
助
(
たす
)
けてくれます、
私
(
わたくし
)
もまた
弟
(
おとうと
)
一人
(
ひとり
)
は
殺
(
ころ
)
しません。
其
(
それ
)
で
二人
(
ふたり
)
とも
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
と
思
(
おも
)
ひますから。
少
(
すこ
)
しも
恐
(
こは
)
くはござらぬ。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「お嬢さんと同じぐらゐの年のお友達が沢山この部屋に入りましたよ。みんな、ちつとも
恐
(
こは
)
くないと云ひましたよ。さあ、すぐ済みますよ。」
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
蛙
(
かはづ
)
は愛嬌者で、
臍
(
へそ
)
の無い癖に人間並に一つは持合せてゐるらしい顔つきをしてゐるが、広い世間にはこんな愛嬌者を何よりも
恐
(
こは
)
がる人さへある。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
細木夫人はその瞬間、自分の方を睨んでゐる、一人の見知らぬ少女の、そんなにも
恐
(
こは
)
い眼つきに驚いたやうだつた。
聖家族
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
「することもあるんですけれど、目がさめた時は、下へ行くの暗くて
恐
(
こは
)
いから、七輪のなかへするんです。」
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
へどを
吐
(
は
)
いたり
下痢
(
げり
)
をしたりする不風流な
往生
(
わうじやう
)
は
厭
(
い
)
やである。シヨウペンハウエルがコレラを
恐
(
こは
)
がつて、逃げて歩いたことを読んだ時は、甚だ彼に同情した。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、
阿父
(
おとう
)
さんが晃兄さんを
切諌
(
せつかん
)
なさる時の
恐
(
こは
)
い顔が目に
浮
(
うか
)
んだので、此の縄を
切
(
き
)
つては成らぬと気が附いた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「美代が悪いんだ」と、兄は怒つてでもゐるやうな
恐
(
こは
)
い顔をして、
押
(
お
)
つ
被
(
かぶ
)
せるやうな強い口調で云つた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
『可哀相よ、あの方は。………………………………………………………………………………………。………
真個
(
ほんと
)
に私あのお話を聞いてゐて、
恐
(
こは
)
くなつたことよ。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
犬の八公とその犬達とがをれば、
泥坊
(
どろばう
)
も何も
恐
(
こは
)
いことはありません。昼間は
云
(
い
)
ふまでもなく夜分でも、
家
(
うち
)
を空けて構ひませんし戸を開いたまゝ眠つても構ひません。
犬の八公
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
と
態
(
わざ
)
と
恐
(
こは
)
い顏をしますと、千代は驚いて女中部屋の方へ駈けて參りました。千代は正直者だから、斯ういふ風に言へば、きつとお時を寄越さずには置くまいと思つたのです。
反古
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
似
(
に
)
て、
違
(
ちが
)
ふもの——
蠅
(
はい
)
と
蚋
(
ぶよ
)
。
蠅
(
はい
)
はうるさがられ、
蚋
(
ぶよ
)
は
恐
(
こは
)
がられて
居
(
ゐ
)
ます。
蚋
(
ぶよ
)
は
人
(
ひと
)
をも
馬
(
うま
)
をも
刺
(
さ
)
します。あの
長
(
なが
)
くて
丈夫
(
ぢやうぶ
)
な
馬
(
うま
)
の
尻尾
(
しつぽ
)
の
房々
(
ふさ/\
)
とした
毛
(
け
)
は、
蚋
(
ぶよ
)
を
追
(
お
)
ひ拂
ふ
(
はら
)
のに
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「でも……。」と弓子は当惑の色を浮べてゐたが、「でも……うち、ちよつとした拍子で、ぢきにお祈りしたうなるのやもん。うち、なにやら年をとるんが
恐
(
こは
)
うなつて来ますのやもの。」
鬼神
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
水色
(
みづいろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、
虹色
(
にじいろ
)
の
薔薇
(
ばら
)
の花、
怪獸
(
シメエル
)
の眼に浮ぶあやしい色、水色の
薔薇
(
ばら
)
の花、おまへの
瞼
(
まぶた
)
を少しおあげ、
怪獸
(
シメエル
)
よ、おまへは
面
(
めん
)
と向つて、ぢつと眼と眼と合せるのが
恐
(
こは
)
いのか、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
恐
(
こは
)
いうちにも優しい顔して、地平の
方
(
かた
)
へと進みゆく!……
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
恐
(
こは
)
や、
赤
(
あか
)
しや、まだ
七
(
なゝ
)
つ。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
君、あの男は
恐
(
こは
)
いぜ。
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
そのうへに今のやうにちやんと普段から支度がとゝのへてありませんから、たゞ
恐
(
こは
)
がつて、
慌
(
あわ
)
ててばかりゐて、一向だめでした。
拾うた冠
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
そんなもの
要
(
い
)
らないと私たちは思ひましたが役人が又まじめになって
恐
(
こは
)
くなりましたからだまって受け取りました。そして林を出ました。
二人の役人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
何
(
ど
)
うもさうらしい、
翼
(
はね
)
の
生
(
は
)
へたうつくしい
人
(
ひと
)
は
何
(
ど
)
うも
母様
(
おつかさん
)
であるらしい。もう
鳥屋
(
とりや
)
には、
行
(
ゆ
)
くまい、わけてもこの
恐
(
こは
)
い
処
(
ところ
)
へと、
其後
(
そののち
)
ふつゝり。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
戸田
采女正
(
うねめのしやう
)
一西
(
かずあき
)
といふと、徳川秀忠について
真田昌幸
(
さなだまさゆき
)
を信州上田の城に攻めた智恵者だが、この智恵者の家来に人並外れて蛇を
恐
(
こは
)
がる男があつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
中が
真暗
(
まつくら
)
で
恐
(
こは
)
かつたので、半ときばかり泣いてあばれてゐて、やうやく許された。あのやり方は随分ききめがあつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
雨の中へ重い
光
(
ひかる
)
を抱いて出まして、叔母さんが
恐
(
こは
)
いから逃げて
行
(
ゆ
)
きませうなどと云ひました。私を介抱して下すつたのは春夫さんと
菽泉
(
しゆくせん
)
さんでした。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
恐
(
こは
)
がつてゐますか。それとも内心は待つてゐてくれるやうですか。——さうです。あの人達は何もしないでもよろしいですわ。ほんとに、たゞ、待つてゐてさへくれれば
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
この人に
出逢
(
であ
)
つたら、汽車だつて、何だつて
叶
(
かな
)
はねえ。ううんと一息にはねとばされてしまふ。それで騎士屋に注意すべしさ。汽車の方で
恐
(
こは
)
かつたのだな。それがどうだ。
騎士屋
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
どの駅でも
恐
(
こは
)
い顔の
蒙古犬
(
もうこいぬ
)
や
厳
(
いかめ
)
しいコサツク兵や疲れた風の支那人やが皆私の姿を
訝
(
いぶか
)
し
相
(
さう
)
に見て居た。夕方に広い沼の枯蘆が金の様に光つた中に、数も知れない程水鳥の居る
処
(
ところ
)
を通つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「
世
(
よ
)
の
人々
(
ひとびと
)
の
御主
(
おんあるじ
)
よ、われをも
罪
(
つみ
)
無
(
な
)
くなし
給
(
たま
)
へ、この
癩病
(
らいびやう
)
に
病
(
や
)
む
者
(
もの
)
を。」
噫
(
あゝ
)
、
淋
(
さむ
)
しい、あゝ、
恐
(
こは
)
い。
歯
(
は
)
だけに、
生来
(
しやうらい
)
の
白
(
しろ
)
い
色
(
いろ
)
が
残
(
のこ
)
つてゐる。
獣
(
けもの
)
も
恐
(
こは
)
がつて
近
(
ちか
)
づかず、わが
魂
(
たましひ
)
も
逃
(
に
)
げたがつてゐる。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
彼女の
恐
(
こは
)
い父親の、今日はゐないをいいことに。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
蟾蜍
(
ひきがへる
)
よっ。——なにも
恐
(
こは
)
い事は無い。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
恐
(
こは
)
や、赤しや、まだ七つ。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「ウルフの
畜生奴
(
ちくしやうめ
)
、やつぱり出て来ないな。」と、下村は幾分か失望したやうな口振で言つた。「やつぱり帝国軍艦『伊吹』が
恐
(
こは
)
いのだらう。」
怪艦ウルフ号
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
むかし有馬
兵庫頭
(
ひやうごのかみ
)
といふ人があつた。その人は一代のうちに
色々
(
いろん
)
な仕事もしたらしいが、その仕事よりも蟹を
恐
(
こは
)
がつたので今だに名を残してゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
父樣
(
おとつさん
)
は
善
(
よ
)
いお
方
(
かた
)
で、
其
(
それ
)
きり
跡
(
あと
)
の
斷
(
た
)
えるやうな
惡
(
わる
)
い
事
(
こと
)
爲置
(
しお
)
かれた
方
(
かた
)
ではありませんから、
私
(
わたくし
)
どもは
甚麽
(
どんな
)
危
(
あぶな
)
い
恐
(
こは
)
い
目
(
め
)
に
出會
(
であ
)
ひましても、
安心
(
あんしん
)
でございます。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
虎猫は、はじめは
恐
(
こは
)
い顔をしてそれでも頭を下げて聴いてゐましたが、たうとう、よろこんで笑ひ出しました。
猫の事務所:……ある小さな官衙に関する幻想……
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「海坊主の時は、もう
恐
(
こは
)
くはなかつた。それよりも、帆まへ船の方が気味がわるかつたぞよ。」
海坊主の話
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
さうです、玉島の
円通寺
(
ゑんつうじ
)
です。それでわたしは、よつぽど弟子にしてつれていつて下さいと、頼みたかつたのですが、やつぱり駄目でした。家を遠く離れてゆくのが
恐
(
こは
)
いのです。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
空地
(
あきち
)
の左の大きい高い家は思ひ切つて
酒落
(
しや
)
れて建てられた家で、家の壁にはいろんなモザイク模様がある。石段の
直
(
す
)
ぐ脇になつて居る門の二つの柱には鬼のやうな
恐
(
こは
)
い顔が
描
(
か
)
かれてゐる。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「飯島君の薬も
利
(
き
)
き過ぎたのさ。——宇宙論なんぞまだ早いのだ。——みんながそろ/\
恐
(
こは
)
がり出した時に、いゝ加減にやめて置けばよかつたんだよ。——あゝいふ宇宙論といふのは結局小乗論ぢやないか」
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
何
(
なん
)
の
恐
(
こは
)
いものですか、
真白
(
まつしろ
)
な
方
(
かた
)
ですもの。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
そればかりでなく、その大女は魔物だけあつて、魔法をつかふことができるといふので、土地の人たちは何よりもそれを一ばん
恐
(
こは
)
がつてゐました。
虹猫の大女退治
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
どれ貸してごらん、ああ、とってるとってる。みんながりがりとってるねえ。たうもろこしは
恐
(
こは
)
がってみんな葉をざあざあうごかしてゐるよ。娘さんたちは髪の毛を
畑のへり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
で、はじめの
内
(
うち
)
は
何
(
ど
)
うしても
人
(
ひと
)
が
鳥
(
とり
)
や、
獣
(
けだもの
)
とは
思
(
おも
)
はれないで、
優
(
やさ
)
しくされれば
嬉
(
うれ
)
しかつた、
叱
(
しか
)
られると
恐
(
こは
)
かつた、
泣
(
な
)
いてると
可哀想
(
かあいさう
)
だつた、そしていろんなことを
思
(
おも
)
つた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恐
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
“恐”を含む語句
恐怖
可恐
恐々
恐入
恐慌
恐懼
恐縮
恐竜
恐悦
恐喝
恐惶
恐気
恐多
空恐
恐山
恐惶謹言
恐悚
恐迫
大恐悦
恐怖心
...