こお)” の例文
「なあ奥様、こんな闇夜やみよに男の人いててくれはれしまへなんだら、こおうて歩かれしまへんなあ」と、用もないのんに私つかまえて
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
(はい、御門の処に馬車が居てこおうございましたから間違えてこっちへ参りました、どうも失礼。)
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
亭「へえ、どうも世間じゃアあんまく申しやせんが、お客様ゆえ断る訳にもきやせんで、お泊め申して置くとは云うものゝ、実は持余もてあましてるんでやす、あとこおうござりやすからなア」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「初めてそこへ来た時わたし、人がこおうおしたえ」
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「一人やったらほんまにこおうていられへんわなあ」いいますと、「好きな人と二人だけやったらこんな淋しい所の方がええわ」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一と足も出んようになって、かどで倒れてしまうかも分れへん思いましたら、外い出るのがこおうて、大阪どころやあれしません、つい電車路ぐらいまで行きましたかて
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)