)” の例文
余りにりきっている生命へ、暢々のびのびと、天然放縦のわがままを与えて、酒ものみ、転寝うたたねもし、書も読み、画筆ももてあそび、欠伸あくびもしたりして
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
例えていうならば、今日までの自分の心神や肉体という物は、ちょうど、りつめている厚氷のようなものであったと思う。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのまま廻廊の上に戻って抱きしめたまま暫くはうれしいのとりつめた心のゆるみで、泣きぬれているのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若い彼の心臓は、いっぱいな功名心と、報国心と、それに当って尽したという満足感でれそうになっていた。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無事、無為に、赤穂の片田舎に、暮してしまえば、こういうめた生涯しょうがいの一ときは、思えばなかった筈である。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今か、今か——とそうして心気をりつめているうちに、弁円は、疲れてきた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一個の死者と三名の傷負ておいは、息一つする間にこのりつめた圏内けんないから無視されてしまったのだ。相互がハッと呼吸いきを改めたせつなには、武蔵は自分の背を下り松の幹へひたッと貼りつけていた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『武林唯七らしいという事しか分っていない。先刻さっきの笠原七次郎は、自分の兄が、そういう目に遭っているので、赤穂の者共がせて来たらと、いつもりつめた悲壮なものを抱いているらしい』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
絶叫したいような気持を、胸にりつめて。
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)