きっ)” の例文
梶原が実検する中、その方を上目うわめに見、顔をしかめつつ両手を膝につき、膝頭を揃へ、段々と背延して、中腰になりてきっと見て居る。
あごが大きく、髪の毛は額をおおうて眉毛の上までたれ、両眼の間のまん中に絶えず憤怒の兆のような、しかめた線があり、目付きは薄気味が悪く、口はきっと引きしまって恐ろしく
その上に重厚沈毅な風丰に加えて、双眉の間に深い縦のしわを刻みつつきっと結んだ口から考え考えポツリポツリと重苦しく語る応対ぶりは一見信頼するに足る人物と思わせずには置かなかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)