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發車
目をつむつて、
耳を
壓へて、
發車を
待つのが、三
分、五
分、十
分十五
分——やゝ三十
分過ぎて、やがて、
驛員に
其の
不通の
通達を
聞いた
時は!
が、やがて
發車の
笛が
鳴つた。
私はかすかな
心の
寛ぎを
感じながら、
後の
窓枠へ
頭をもたせて、
眼の
前の
停車場がずるずると
後ずさりを
始めるのを
待つともなく
待ちかまへてゐた。
が、
此電車が、あの……
車庫の
處で、
一寸手間が
取れて、やがて
發車して
間もなく、
二の
橋へ、
横搖れに
飛んで
進行中。