“曇天”の読み方と例文
読み方割合
どんてん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
穴釣りはどうかと思はれるどんより暖い曇天どんてんで、富士の姿は全く見えなかつた。旭ヶ丘の宿を朝五時に出たが、案内小屋にはもう焚火たきびが燃えて居た。
釣十二ヶ月 (新字旧仮名) / 正木不如丘(著)
毎日の曇天どんてん。十一月の半過なかばすぎ。しんとした根岸の里。湿った道の生垣いけがきつづき。自分はひとり、時雨しぐれを恐れる蝙蝠傘こうもりがさつえにして、落葉の多い車坂をあがった。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼等かれらみな、この曇天どんてんしすくめられたかとおもほどそろつてせいひくかつた。さうしてまたこのまちはづれの陰慘いんさんたる風物ふうぶつおなじやうないろ著物きものてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)