カゲ)” の例文
ウシトラが受けた山陰ヤマカゲの海村には、稍おんもりとカゲりがさして来た。まだ暗くなる時間ではないがとノゾきこむ機関室のぼん/\時計は、五時に大分近よつたと言ふまでゞある。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
たとえば法住寺殿ほうじゅうじでん合戦の当日の記事でも、九条兼実の玉葉には「——十一月十九日、己酉キイウテンカゲル、時々小雨」とあるが、藤原経房の吉記きっきだと「十一月十九日、己酉、テンレル」
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども突嗟に、カゲの唄として他人が謡うて、愈本人が姿を現すと、自身の声で謡ふに違ひない、と思ふうち、段々明るくなつて、狂女が、下手の奥の方から、駈け上つて参りました。
芝居に出た名残星月夜 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)