元金もと)” の例文
「ケチな事を言うな、どうせ手前の働いた金じゃあるめえ、それんばかりの元金もとで叔母さんを助けられりゃ本望だろう」
いつ知らず「俺の方が元金もとがかゝつてゐるのに……」といふ不平を抱いてゐるのである。
心理的と個性的 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
元金もとが掛らねえことばかり考へてやがる、——ところで、その新惚れてえのは何處のお乳母うばさんだえ」
聽いたまゝ、元金もとをきつての話ですよ——そこで病みつくほどお袖に惚れてゐる彦太郎は、影法師に取りかれたのも、無理はないぢやありませんか。寢ても影法師、起きても影法師だ。
口説くどいて借り出しましたがね、元金もとが入つてるせゐか、叔母も大した惡い顏もせずに貸してくれましたよ、——その方は二分二朱と十六文——こいつは二分金が入つて居るから、確かにかね
「まだそんなことにかれてゐるのか、元金もとは高けえが、ブチまけて置かうよ、——お幾の良い人といふのは、それ、板倉屋の新六郎——先代久兵衞の伜で、殺されたお絹の許婚いひなづけと聽いたら少しは驚くだらう」
「俺もやってみよう、少し元金もとを借しな」
「俺もやつて見よう、少し元金もとを貸しな」