“購(もと)” の例文
嗚呼! 凜然としてヂャックナイフを購(もと)めた時の武者振りは、この際諸君の記憶から洗ひ流してもらひたい。
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
何枚かのレコードを購(もと)めて出ようとすると、雨であつた。狐の嫁入りだから直ぐやむだらうと暫らく待つてゐたが、なかなかやみさうになく、本降りになつた。
木の都 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
実は私(わたくし)先年から心掛けて、先祖の位牌を入れて置く仏壇を拵えようと思って、三宅島の桑板の良いのを五十枚ほど購(もと)めましたが、此の仏壇は子孫の代までも永く伝わる物でもあり
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
石油なども口を封蝋(ふうろう)で缶(かん)してある大きな罎入(かめいり)を一缶(ひとかん)ずつ購(もと)めねばならなかった。
亡び行く江戸趣味 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
二人とも、最近コロールの町に出て購(もと)めたに違いない・揃いの・真青な新しいワイシャツを着込み、縮れた髪に香油(ポマード)をべっとりと塗り付けて、足こそ跣足(はだし)ながら、仲々ハイカラないでたちである。
南島譚:02 夫婦 (新字新仮名) / 中島敦(著)
やがて午前十時になったので、切符を購(もと)めて出札口に差し掛かると
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
私自身が入場券を購(もと)めたのだから、私は無論プラットフォームまで二人を見送るつもりだつたに相違ない。
訣れも愉し (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
其の頃浅草蔵前に住居いたしました坂倉屋助七(さかくらやすけしち)と申す大家(たいけ)の主人が聞きまして、面白い職人もあるものだ、予(かね)て御先祖のお位牌を入れる仏壇にしようと思って購(もと)めて置いた、三宅島の桑板があるから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこで領主(種子ヶ島時尭(ときたか))は高価を意とせず言ひ値で之を購(もと)めた。二挺で二千両だつたとさるポルトガルの水夫の一人が書いてゐるが、当にならないさうである。
鉄砲 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)