もと)” の例文
旧字:
あるいはまた駒込吉祥寺こまごめきちじょうじ並木なみきさくらの如く、来歴あるものをもとむれば数多あまたあろうが、柳に至ってはこれといって名前のあるものは殆どないようである。
隅田川なる風景によってその抒情詩的本能を外発さすべき象徴をもとめた理想的内面の芸術ともいい得よう。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かくの如きパストラルの情趣は日本に帰って来た後に至っても、久しくわたくしの忘れ得ぬものであったので、わたくしはいつも蘆荻の繁った地をもとめて散歩した。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もし枕山が文字の教を請うた人の誰なるかをもとめたなら、それは鷲津益斎と塩田随斎の二家である。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)