もと)” の例文
はた「智慧さへ、追憶おもひでさへ、深き悲みにはもとむるところなし、たゞ一事の学びえて忘られぬあるのみ、この野の小草こそは一茎三花を着けたれ。」
抒情詩に就て (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
汝なほ食卓つくゑに向ひてしばらく坐すべし、汝のくらへるかた食物くひものはその消化こなるゝ爲になほ助けをもとむればなり 三七—三九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
公子しりへより、汝等は我が夫人の手をきて同じ戲をなすことをもとむるにやといふとき、ジエンナロは直に歩をとゞめたり。
もてあそビテ光瞥瞥タリ/雲ハ残日ヲメテ影凄凄タリ/寒蔬ハことごとク園官ノ贈ル有リ/鮮鯽何ゾ膾手ノ批ヲ労サン/聞説きくならク摂船多ク酒ヲ運ブト/またもとム一勺吾ガ臍ニ到ルヲ〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
わがもとめはむなしからず、予はわが深き至情の宮居にわが神いましぬと感じて幾たびか其の光明に心をどりけむ。吾が見たる神は、最早きの因襲的偶像、又は抽象的理想にはあらざりし也。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
我曰ふ、あゝ師よ、これいかなる事のさまぞや、汝だに路を知らば我何ぞ道案内みちしるべもとむべき、願はくはこれによらで我等のみ行かむ 一二七—一二九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
みづからほしひまゝにする歡樂悲愁のおもひは一字に溢れ一句に漲る、かくて單純な言葉の秘密、簡淨な格調の生命は殘る隈なくこゝに發現したのである。島崎氏はこの外に何者をももとめなかつた。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
一はことに價たふとし、されど一はむすびほぐすものなるがゆゑにあくるにあたりて極めて大なるわざさとりもとむ 一二四—一二六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あたかも力を盡して圓をはからんとつとめつゝなほ己がもとむる原理に思ひいたらざる幾何學者きかがくしやの如く 一三三—一三五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)