もと)” の例文
初めわたくしは壽阿彌の墓をもとめに昌林院へ往つた。そして昌林院の住職に由つて師岡氏未亡人を知り、未亡人に由つて眞志屋文書を見るたつきを得た。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
又わたくしは事実をもとむるに急なるがために、翫味するに堪へたる抒情の語をも、惜しげなくけづり去つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
是は文淵堂の花天月地くわてんげつち中よりもとめ来つた婪尾らんびえものである。藤陰の簡牘は語路が錯綜して、往々紛糾解くべからざるに至り、句読を施し難くなつてゐる。又歇後けつごの文が多い。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
即ち経籍の古版本こはんぼん、古抄本をさぐもとめて、そのテクストをけみし、比較考勘する学派、クリチックをする学派である。この学は源を水戸みと吉田篁墩よしだこうとんに発し、棭斎がそののちけて発展させた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかるに奇とすべきは、その人が康衢こうく通逵つうきをばかり歩いていずに、往々こみちって行くことをもしたという事である。抽斎は宋槧そうざんの経子をもとめたばかりでなく、古い「武鑑」や江戸図をももてあそんだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
また遽に心づきたる樣にて物を探りもとめたり。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
またにはかに心づきたる様にて物を探りもとめたり。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)