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もと
ふりがな文庫
“
固
(
もと
)” の例文
固
(
もと
)
より
纏
(
まとま
)
った話の筋を読ませる普通の小説ではないから、どこで切って一冊としても興味の上に
於
(
おい
)
て
左
(
さ
)
したる影響のあろう
筈
(
はず
)
がない。
『吾輩は猫である』上篇自序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし
固
(
もと
)
よりこの区別は絶対的でないのであるから、自己の運動であっても少しく複雑なる者は予期的表象に直に従うことはできぬ
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
彼が死に到るまで、その父母に対しては
固
(
もと
)
より、その兄妹に対して、
掬
(
きく
)
すべき友愛の深情を
湛
(
たた
)
えたるは、
単
(
ひと
)
りその
天稟
(
てんぴん
)
のみにあらず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
反省は知れりということを知らず、弁解することは
固
(
もと
)
より説明するということを知らない、絶対に無智にして貧しき心の智恵である。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
其趣は西洋の文典書中に実名詞の種類を分けて男性女性中性の名あるが如く、往古不文時代の遺習にして
固
(
もと
)
より深き意味あるに非ず。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
士官は座の隅なる石像に戴かせたりし、美しき月桂冠を取り來りて、笑みつゝ我頭の上に安んじたり。こは
固
(
もと
)
より戲謔に過ぎざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
固
(
もと
)
より芸術は天来の感興を唯一の資本とすべきであろう。けれども何事をも究め尽そうとする事は、此の感興を強める所以ではないか。
第四階級の文学
(新字新仮名)
/
中野秀人
(著)
御経
(
おんきょう
)
の
文
(
もん
)
は手写しても、
固
(
もと
)
より意趣は、よく
訣
(
わか
)
らなかった。だが、処々には、かつがつ気持ちの汲みとれる所があったのであろう。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
この樹の材は堅いには堅いが存外脆く粘力に乏しく、決して強靱では無いから、ソノ細かいカナメを作るには
固
(
もと
)
より不適当である。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
が、
固
(
もと
)
より敵地であるから、到る処で
追詰
(
おいつ
)
め
追巻
(
おいまく
)
られた結果、山の奥深く逃げ
籠
(
こも
)
って
了
(
しま
)
った。
其
(
その
)
子孫が相伝えて
今日
(
こんにち
)
に至ったのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おそのさんの談話の如きは、
固
(
もと
)
より年月日を
詳
(
つまびらか
)
にすべきものに乏しい。わたくしは
奈何
(
いかに
)
して編年の記述をなすべきかを知らない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
龐涓
(
はうけん
)
行
(
ゆ
)
くこと
三日
(
みつか
)
、
大
(
おほひ
)
に
喜
(
よろこ
)
んで
曰
(
いは
)
く、『
我
(
われ
)
固
(
もと
)
より
齊
(
せい
)
の
軍
(
ぐん
)
の
怯
(
けふ
)
なるを
知
(
し
)
る。
吾
(
わ
)
が
地
(
ち
)
に
入
(
い
)
りて
三日
(
みつか
)
、
士卒
(
しそつ
)
亡
(
に
)
ぐる
者
(
もの
)
、
半
(
なか
)
ばに
過
(
す
)
ぎたり』
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
更
(
さ
)
らに
兵庫
(
ひょうご
)
の
和田岬
(
わだみさき
)
に新砲台の
建築
(
けんちく
)
を命じたるその命を受けて
築造
(
ちくぞう
)
に従事せしはすなわち
勝氏
(
かつし
)
にして、その
目的
(
もくてき
)
は
固
(
もと
)
より
攘夷
(
じょうい
)
に外ならず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
雉
(
きじ
)
雊
(
な
)
き竜戦ふ、
自
(
みづか
)
らおもへらく杜撰なりと。則ち之を
摘読
(
てきどく
)
する者は、
固
(
もと
)
より
当
(
まさ
)
に信と謂はざるべきなり。
豈
(
あに
)
醜脣平鼻
(
しうしんへいび
)
の
報
(
むくい
)
を求むべけんや。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
而
(
しか
)
して
楡木川
(
ゆぼくせん
)
の
客死
(
かくし
)
、
高煦
(
こうこう
)
の
焦死
(
しょうし
)
、数たると数たらざるとは、道衍
袁珙
(
えんこう
)
の
輩
(
はい
)
の
固
(
もと
)
より知らざるところにして、たゞ天
之
(
これ
)
を知ることあらん。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
卯平
(
うへい
)
は
固
(
もと
)
より
親方
(
おやかた
)
から
家
(
うち
)
の
容子
(
ようす
)
やおつぎの
成人
(
せいじん
)
したことや、
隣近所
(
となりきんじよ
)
のことも
逐
(
ちく
)
一
聞
(
き
)
かされた。
卯平
(
うへい
)
は
窪
(
くぼ
)
んだ
茶色
(
ちやいろ
)
の
眼
(
め
)
に
暖
(
あたゝ
)
かな
光
(
ひかり
)
を
湛
(
たた
)
へた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
固
(
もと
)
より
己
(
おのれ
)
の至らん罪ではありますけれど、
抑
(
そもそ
)
も親の附いてをらんかつたのが非常な
不仕合
(
ふしあはせ
)
で、そんな薄命な者もかうして在るのですから
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
固
(
もと
)
より確かな根拠のあるわけではないが、その服装や所持品などからどうも大佐の人相書と符合する点があるというのである。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
一、俳句の妙味は
終
(
つい
)
に解釈すべからざるを以て各人の
自悟
(
じご
)
を待つより
外
(
ほか
)
なしといへども、字句の解釈に至りては
固
(
もと
)
より容易に説明し得べし。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
だからその点に於て社会主義者の主張は裏切られている。無政府主義に至っては
固
(
もと
)
より始めから個性生活の絶対自由をその
標幟
(
ひょうし
)
としている。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
冬の日の暮れやすいことも
固
(
もと
)
よりではあるが、麦蒔頃の
野良
(
のら
)
の寒さが、何となく夕日の名残を惜しませるのではないかと思う。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
友
(
とも
)
と
二人
(
ふたり
)
でブラリと
家
(
いへ
)
を
出
(
で
)
た。
固
(
もと
)
より
何處
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
かうといふ、
的
(
あて
)
もないのだが、
話
(
はなし
)
にも
厭
(
あ
)
きが
來
(
き
)
たので、所在なさに
散歩
(
さんぽ
)
と
出掛
(
でか
)
けたのであツた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
しかし著者はこのような光景は
固
(
もと
)
より盲者にとっては何らの体験にも相応しないバーバリズムに過ぎないという事を論じ、それから推論して
鸚鵡のイズム
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
天台は
固
(
もと
)
よりのこと他宗の総てに
亙
(
わた
)
って一代の宗となる程の学力を有していた。禅の宗旨を論じた自筆の書物も存していたということである。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『おゝ、』と
飛附
(
とびつ
)
くやうな
返事
(
へんじ
)
を
為
(
し
)
て
顔
(
かほ
)
を
出
(
だ
)
したが、
固
(
もと
)
より
誰
(
たれ
)
も
居
(
ゐ
)
やう
筈
(
はず
)
は
無
(
な
)
い。
枕
(
まくら
)
ばかり
寂
(
さび
)
しく
丁
(
ちやん
)
とあり、
木賃
(
きちん
)
で
無
(
な
)
いのが
尚
(
な
)
ほうら
悲
(
かな
)
しい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そうしてその第一句の独立した発句にも
固
(
もと
)
より季があり、その発句が俳句と名を変えた今日なお季というものを生命とする運命となっておる。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
固
(
もと
)
より一切の仏教はいかなる者にも存在して居るに相違ないけれども、昔
善財童子
(
ぜんさいどうじ
)
が五十三人の
善知識
(
ぜんちしき
)
を天下に尋ね廻ったということがある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
花車は
遥
(
はるか
)
に此の様子を聞いて、惣次郎とは
固
(
もと
)
より馴染なり兄弟分の
契約
(
かため
)
を致した花車でございますから心配しておりまする。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
固
(
もと
)
よりこの人々でも、日常に
安閑
(
あんかん
)
と平和な
欠伸
(
あくび
)
を催すような日は無かったのである。毎日が、毎夜が——緊張しきった警固の中の生活だった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然レドモソノ考証
研覈
(
けんかく
)
ノ
如何
(
いかん
)
ニ至ツテハ彼ノ
最
(
もっとも
)
詳確ニシテ我ノ甚シク
杜撰
(
ずさん
)
ナルヤ
固
(
もと
)
ヨリ日ヲ同ジクシテ語ルベキニ
非
(
あ
)
ラズ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
科学等は
固
(
もと
)
より人類的なものですから、特に世界的協同を主張しなくても、今日よりも一層人類生活の共通な幸福の動力となることは明白です。
三面一体の生活へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ああ
如何
(
いかん
)
して可ならん、
仮令
(
たとい
)
女子たりといえども、
固
(
もと
)
より日本人民なり、この国辱を雪がずんばあるべからずと、
独
(
ひと
)
り
愁然
(
しゅうぜん
)
、苦悶に沈みたりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
年の頃は三十二、三、若くて、美男で、雑貨の輸出入業を相当にやって居る人物ですから、
固
(
もと
)
より此の人が気違いなどであるべき筈はありません。
新奇談クラブ:04 第四夜 恋の不在証明
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼のアウストラリヤのクヰンスランド土人の如きは
實
(
じつ
)
に食人人種の
好標本
(
こうへうほん
)
なり。人肉は
固
(
もと
)
より常食とすべき物には
非
(
あら
)
ず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
問われたり
固
(
もと
)
より我身には罪と云う程の罪ありと思わねば在りの儘を打明けしに斯くは母と共に
引致
(
いんち
)
せられたる次第なり
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
これ
固
(
もと
)
より一朝一夕の
能
(
よ
)
く尽す所にあらず、まさに日を積み月を
累
(
かさ
)
ねてまさに始て自ら尽して余りなきことを得べし。
『東洋自由新聞』第一号社説
(新字旧仮名)
/
中江兆民
(著)
無蓋車を降りて、車掌に
暇乞
(
いとまごひ
)
して、きよろ/\と見廻して、それから向ふの
酒瓶
(
さかびん
)
の絵看板の出てゐる
見世
(
みせ
)
の方へ行つた。
固
(
もと
)
より酒を飲みにぢやない。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
固
(
もと
)
より私を中心としての学生会であるから、私は生みの親であるが、晩香は育ての親であった。学生の晩香を追慕する情は誠に涙ぐましいものがある。
安吾人生案内:06 その六 暗い哉 東洋よ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
夏姫には
固
(
もと
)
より、巫臣の意は
疾
(
とっ
)
くに通じられている。出発に臨んで「夫の尸が得られなければ、二度と戻りませぬ」
妖氛録
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
私は、ハッとなって、振返って、
四辺
(
あたり
)
を見廻した。けれども幸い誰れもいなかった。
固
(
もと
)
より誰れもいよう筈はない。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
しかし此の際
咄嗟
(
とっさ
)
に起った此の不安の感情を解釈する余裕は
固
(
もと
)
よりない。予の手足と予の
体躯
(
たいく
)
は、訳の解らぬ意志に支配されて、格子戸の内に這入った。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「ハイ、今朝までに済みました。で
貴公
(
あなた
)
方は?」これは
上辺
(
うわべ
)
の挨拶に過ぎぬのである。かような会話は
固
(
もと
)
より彼の好むところではない、むしろ
厭
(
いと
)
う方である。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
謹みて按ずるに、神州は太陽の
出
(
い
)
づる所、元気の始まる所にして、天つ
日嗣
(
ひつぎ
)
、世々、
宸極
(
しんきよく
)
を御し、終古
易
(
かは
)
らず。
固
(
もと
)
よりに大地の元首にして、万国の綱紀なり。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ボオル
大河
(
だいが
)
の上で初めて飛んで居る燕を見た。
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
に湖が見えて
其
(
その
)
廻りを囲んだ村などが
画
(
ゑ
)
の様である。
露西亜
(
ロシア
)
字で書いた駅の名は
固
(
もと
)
より私に読まれない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
だが、かかる比較判断は、ビルマに対して妥当でないことは
固
(
もと
)
より日本に対しても妥当でない、否不穏当であり不謹慎であるという反省が私の心を刺すのである。
仏像とパゴダ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
召喚に際して適当の保護を与えるのは、
固
(
もと
)
より当然のことであるから、その請求はこれを斥ける訳には行かない。さりとて、その請求の実行は非常な手数である。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
固
(
もと
)
より師などは余り語学がいけないので、相手役は平井氏が主として勤めたが、言葉の上よりも、人格の上で一段の威圧を感ぜしめたのは、宗演師であったらしい。
釈宗演師を語る
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
その物に
感染
(
かぶ
)
れて、
眼色
(
めいろ
)
を変えて、狂い騒ぐ時を見れば、
如何
(
いか
)
にも熱心そうに見えるものの、
固
(
もと
)
より一時の浮想ゆえ、まだ真味を
味
(
あじわ
)
わぬうちに、早くも熱が冷めて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
堀川の
大殿様
(
おほとのさま
)
のやうな方は、これまでは
固
(
もと
)
より、後の世には恐らく二人とはいらつしやいますまい。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼のと異つた芸術を要求することは
固
(
もと
)
より許されよう。彼のにまさつて完全なる(或は完全に近い)芸術といふものは、たやすく現代の世界に見出されないであらう。
我が一九二二年:02 我が一九二二年
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
固
常用漢字
小4
部首:⼞
8画
“固”を含む語句
頑固
確固
凝固
拳固
鞏固
固着
堅固
乾固
固唾
牢固
固執
警固
意固地
固有
固肥
強固
固辞
頑固爺
固練
固粥
...