トップ
>
覓
>
もと
ふりがな文庫
“
覓
(
もと
)” の例文
すべて
獲
(
う
)
べからず、
譬
(
たと
)
えば沙を圧して油を
覓
(
もと
)
め、水を
鑽
(
き
)
って酥を求むるがごとく、既に得べからずいたずらに自ら労苦すとある。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
覓
(
もと
)
むる物あって得ざるの様子であった。かくてこの裁判は、証拠不充分放免という宣告に終り、被告は直ちに自由の身となった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
中臣・藤原の遠つ祖あめの
押雲根命
(
おしくもね
)
。遠い昔の日のみ子さまのお
喰
(
め
)
しの、
飯
(
いい
)
と、み
酒
(
き
)
を作る御料の水を、大和国中残る
隈
(
くま
)
なく捜し
覓
(
もと
)
めました。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
ソクラテスの短所を
覓
(
もと
)
めて、悪辣な筆を運ばし、一時読書界の注目を
惹
(
ひ
)
いたこともあったが、しかし、これも今日では、殆んど観察点が外れていて
ソクラテス
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
叔父の貞吉は自分の娘たちの学友や知人の娘の写真などを矢代に見せて、彼の意見を
覓
(
もと
)
めるのも、一つは矢代の母から頼まれているとも受けとれた。
旅愁
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
日向は暑いし風の吹く処は寒いので、風の当らない木蔭を
覓
(
もと
)
めて、鷹に追われた
雉子
(
きじ
)
のように偃松の繁みに潜り込む。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
十の指は我があらゆる暗黒面を指し、却りて我をして我に一光明面なしや否やを思はしめ、我をして自ら己の長を
覓
(
もと
)
め、自ら己の能を
衒
(
てら
)
はしめたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
さればシエクスピイヤの哲學上所見とその實感とを知らむと欲して、猶その戲曲をあさらむは、氷を
鑽
(
き
)
りて火を
覓
(
もと
)
め、
沙
(
すな
)
を壓して油を出さむとするにや似たらむ。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
死を
覓
(
もと
)
めて得ず、居れば立つを
念
(
おも
)
ひ、立てば
臥
(
ふ
)
すを
想
(
おも
)
ひ、臥せば行くを
懐
(
おも
)
ひ、
寐
(
い
)
ぬれば覚め、覚むれば思ひて、夜もあらず、日もあらず、人もあらず、世もあらで
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ために
由
(
よし
)
無き
怨
(
うらみ
)
を負いて、迷惑することもありぬべしと、四辺を見廻わして、身を隠すべき所を
覓
(
もと
)
めしに、この辺には
屡
(
しばしば
)
見る、山腹を横に
穿
(
うが
)
ちたる洞穴を見出したり。
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手分けしてその跡を
覓
(
もと
)
め、自分は峰の方を行きしに、とある岩の陰より大なる熊こちらを見る。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
聲の
所在
(
ありか
)
を
覓
(
もと
)
むる如く、キョロ/\と落着かぬ樣に目を働かせて、徑もなき
木陰地
(
こさぢ
)
の濕りを、智惠子は樹々の間を其方に拔け此方に潜る。夢見る人の足取とは是であらう。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
光りのようなその髪もまた細かに震えた。クララの手は
自
(
おのずか
)
らアグネスの手を
覓
(
もと
)
めた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
人住まぬ
眞洞
(
まほら
)
覓
(
もと
)
めて行きぬらむ。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
己をこの塵の中に
覓
(
もと
)
めるのだ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
覓
(
もと
)
めるでもなく
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
翼
(
たす
)
ク可キ者ノ我国ニ
欠損
(
けっそん
)
シテ而シテ未ダ備ハラザルヲ思ヒ此ニ漸ク一挙両得ノ法ヲ
覓
(
もと
)
メ敢テ
退食
(
たいしょく
)
ノ余暇ヲ
偸
(
ぬす
)
ンデ此書ヲ編次シ
乃
(
すなわ
)
チ
書賈
(
しょこ
)
ヲシテ之レヲ刊行セシメ一ハ以テ刻下教育ノ須要ニ応ジ一ハ以テ日常生計ノ費ヲ補ヒテ身心ノ
怡晏
(
いあん
)
ヲ得
従容
(
しょうよう
)
以テ公命ニ答ヘント欲ス而シテ余ヤ
素
(
も
)
ト我
宿志
(
しゅくし
)
ヲ遂ゲレバ則チ足ル故ヲ
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
『曾我物語』にはこの事を
敷衍
(
ふえん
)
して李将軍の妻孕んで虎肝を食わんと望む、将軍虎を狩りて
咋
(
くわ
)
れ死す、子生れ長じて父の仇を
覓
(
もと
)
め虎の左眼を射
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
水も地質が花崗岩の砂地で、岩と岩との重なり合った罅隙の多い土質とは異っているから、少し谷間へ下って
覓
(
もと
)
めたなら、湧き出していそうに思える。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
自然から「美」を
覓
(
もと
)
めないで「美」に似た事象のある所とした。理想の「美」を絵画に据ゑてゐた。が、其も墨書きや
彩
(
ダ
)
み
画
(
ヱ
)
の絵巻若しくは、屏風の構図であつた。
短歌本質成立の時代:万葉集以後の歌風の見わたし
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
羅馬なる恩人は常に我に不快なる事を告げ、中にはことさらに我に快からざるべき事どもを探り
覓
(
もと
)
めて、そを我に告ぐる如くなりしに、今はさる詞を耳にすることなし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
声の
在所
(
ありか
)
を
覓
(
もと
)
むる如く、キヨロ/\と落着かぬ様に目を働かせて、径もなき
木蔭地
(
こさぢ
)
の湿りを、智恵子は樹々の間を
其方
(
そなた
)
に抜け
此方
(
こなた
)
に潜る。夢見る人の
足調
(
あしどり
)
とは是であらう。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
始に何者なりやと
驚
(
おどろか
)
されし貫一は、今又何事なりやと
弥
(
いよい
)
よ
呆
(
あき
)
れて、彼の様子を
打矚
(
うちまも
)
れり。
乍
(
たちま
)
ち有りて貫一の
眼
(
まなこ
)
は
慌忙
(
あわただし
)
く
覓
(
もと
)
むらん色を
作
(
な
)
して、婦人の
俯
(
うつむ
)
けるを
仡
(
き
)
と
窺
(
うかが
)
ひたりしが
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
我々は改まった節には晴の
膳
(
ぜん
)
に坐り、常の日には今でも褻の飯を食っているのである。すなわち眼前の事実を観測して、その中から年久しい慣習の跡を
覓
(
もと
)
めることができるのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
たちまち一人
皮袴
(
かわばかま
)
を
著
(
き
)
乗馬し従者一人添い来って卜を請う、西に去って食を
覓
(
もと
)
めんか東に求めんかと問うたんで、宗
卦
(
け
)
を
作
(
な
)
し東に向えと告げた。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
こんな山の中では鳩は河筋に沿うて平地に出で、それから道を
覓
(
もと
)
めて飛び帰るものだそうである。
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
さりながら、何程思続け候とても、水を
覓
(
もと
)
めて
逾
(
いよい
)
よ
焔
(
ほのほ
)
に
燃
(
や
)
かれ候に
等
(
ひとし
)
き
苦艱
(
くげん
)
の募り候のみにて、いつ
此責
(
このせめ
)
を
免
(
のが
)
るるともなく
存
(
ながら
)
へ
候
(
さふらふ
)
は、
孱弱
(
かよわ
)
き女の身には
余
(
あまり
)
に余に
難忍
(
しのびがた
)
き事に御座候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さうして後者とても、次第に連歌誹諧歌の方に向つて、時好の中心を
覓
(
もと
)
めて行つた。
短歌本質成立の時代:万葉集以後の歌風の見わたし
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
これも今少し遠方に境堀の跡を
覓
(
もと
)
むべきである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
十月に入りて地全く乾けば水を
覓
(
もと
)
むる狗頭猴の団体極めて夥しく河に赴き、
蔭
(
かげ
)
った岸を蔽える灌木の
漿果
(
しょうか
)
を食うため滞留す、彼らの挙止を観るは甚だ面白し
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私達の眼は華やかにも沈痛を極めた色の中に漂うている許りである。私は南アルプスの大井川に匹敵する峡谷を北アルプスに
覓
(
もと
)
めて、この黒部川を得た、そして満足した。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
秋深くなるにつれて、衰えの、目立って来た
姥
(
うば
)
は、知る限りの物語りを、
喋
(
しゃべ
)
りつづけて死のう、と言う腹をきめた。そうして、郎女の耳に近い処をところをと
覓
(
もと
)
めて、さまよい歩くようになった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
その子衡父の屍を
覓
(
もと
)
めて得ざりければ、
鵠
(
はくちょう
)
の足を
縻
(
つな
)
いで石崖頂に置き、白日昇天したと言い触らし、愚俗これを信じて子孫を天師と
崇
(
あが
)
めた(『五雑俎』八)。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
若
(
も
)
し岩壁の
豪宕
(
ごうとう
)
壮大なる、渓流の奔放激越せる、若くは飛瀑の奇姿縦横なるものを
覓
(
もと
)
めたならば、
瀞
(
とろ
)
八町であろうが、長門峡であろうが、或は石狩川の大箱小箱であろうが
秩父の渓谷美
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
口広くして人を
丸嚥
(
まるの
)
みにすべく歯大にして
尖
(
とが
)
れり、これを見て人畜何ぞ戦慄せざらん、日中は暑ければ地下に
躱
(
かく
)
れ夜出て食を
覓
(
もと
)
め、また河や湖泉に行き水を飲む
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
森林に
彷徨
(
さまよ
)
い
幽壑
(
ゆうがく
)
に逍遥するの興趣は、都会の地に於て
覓
(
もと
)
むることは到底不可能である。それ所ではない、わるくすると今に青い物は野菜の外に見られなくなるかも知れぬ。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
兎雨と降る矢の下に逃げ道を
覓
(
もと
)
め歩卒の足下を
潜
(
くぐ
)
り出んとすれば歩卒これを踏み殺しまた蹴り戻す、あるいは矢を受けながら走りあるいは一足折られ三足で
逃
(
のが
)
れ廻る
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
足で分らない時は手で探って蹈み固めた路らしい処を
覓
(
もと
)
めて足を運ぶのが牛の歩みよりも遅い。余程下ったろうと思う頃遠くに一点の火光が現われた時には、稍元気付いた。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
妙光女魂既に
亡
(
うせ
)
たりといえども、容儀儼然活けるがごとく、
妍華
(
けんか
)
平生に異ならざるを
覩
(
み
)
、
相
(
あい
)
いいて曰く、この女かくまで美艶にして、遠く
覓
(
もと
)
むるも等類なしと、各々
染心
(
ぜんしん
)
を生じ
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
夫に跟いて岩の露出した狭い山稜を下って一つの鞍部に着いた。此辺に野宿する積りで両側の渓を探して水を
覓
(
もと
)
めたが、更に見当らない。見当ったのは羚羊の足跡と其糞位のものだ。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
またいわく、老蛇体に長毛あるは、その頭に玉あり、その色虹を
紿
(
あざむ
)
く、その蛇夜これを取り出し、道を照らして食を
覓
(
もと
)
む。深い藪中に棲み人家に近づかず、神の
下属
(
てした
)
なれば
神蛇
(
デブア・サールバ
)
と名づく。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
壁面の上部には
纔
(
わず
)
かの罅隙を
覓
(
もと
)
めて根を托した
禾本
(
かほん
)
科らしい植物の葉が、女の髪の毛を
梳
(
す
)
いたように房さりと垂れて、葉末からは雫でも落ちているらしく、手で
扱
(
しご
)
いたように細くなっている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
農商務省が全く
巨摩
(
こま
)
郡に属する山を山梨郡の山として了ったのは、可笑しい間違いであるが、
若
(
も
)
し『甲斐国志』西沢御林山の文に
拠
(
よ
)
って、国師岳の西に奥仙丈の名に相当す
可
(
べ
)
き山を
覓
(
もと
)
めたならば
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
覓
漢検1級
部首:⾒
11画
“覓”を含む語句
妻覓
求覓
覓國使