もと)” の例文
「あのるのは、かわいそうだ。」といって、大人おとなたちにかって、同意どういもとめ、このることに反対はんたいしたでありましょう。
町はずれの空き地 (新字新仮名) / 小川未明(著)
通常つうじょう人間にんげんは、いいことも、わるいこともみな身外しんがいからもとめます。すなわ馬車ばしゃだとか、書斎しょさいだとかと、しかし思想家しそうか自身じしんもとめるのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
雜木林ざふきばやしあひだにはまたすゝき硬直かうちよくそらさうとしてつ。そのむぎすゝきしたきよもとめる雲雀ひばり時々とき/″\そらめてはるけたとびかける。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
マンチュアにちっしてござれ、忠實まめやかをとこもとめ、時折ときおりそのをとこして此方こなた吉左右きッさうらせう。さ、を。もうおそい。さらばぢゃ、機嫌きげんよう。
承まはり何にも知ぬ私しさへくやしくぞんずる程なればさぞ御無念ごむねんにも思し召んが他所から出來た事ではなし矢張やつぱりお身からもとめた事故人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
權藏ごんざう其居間そのゐまとこ大島老先生おほしまらうせんせい肖像せうざうをかゝげ、其横そのよこさがつてます。これは伸一先生しんいちせんせいもとめていてもらつたのださうです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
つぎ著意ちやくいしてみちもとめるひとがある。專念せんねんみちもとめて、萬事ばんじなげうつこともあれば、日々ひゞつとめおこたらずに、えずみちこゝろざしてゐることもある。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
そして、その小さな目で、じっときりの中を見つめていましたが、その目は、この世にないものをさがしもとめて、つかれきっているようでした。
先生は変人だから、もとめてだれとも交際しない。然し此方こつちで相当の機会をつくつて、接触させれば、変人なりに附合つきあつて行く。……
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたしは目つきで母さんにすくいをもとめてみた。かの女もご亭主ていしゅに気がつかないようにして、いっしょに行けと目くばせした。わたしはしたがった。
其處此處そここゝには救助すくひもとむるこゑたえ/″\にきこゆるのみ、わたくしさひはひ浮標ブイうしなはで、日出雄少年ひでをせうねんをば右手めてにシカといだいてつた。
いきつぎにみづもとめたが、注意ちうい水道すゐだう如何いかんこゝろみたたれかが、早速さそく警告けいこくしたのであらう。夢中むちうたれともおぼえてない。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『だつてあなたは、わたしがやつぱし、ちゝのいふ意味いみ幸福かうふく結婚けつこんもとめ、さうしてまた、それに滿足まんぞくしてきてられるをんなだとしかおもつてない……』
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
それもこれも考えればみな自分のうかつからもとめたことでまぬがれようのない、いわゆるみずからつくれるわざわいだ……。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それゆゑにかような場合ばあひおいては、屋外おくがいることを斷念だんねん屋内おくないおい比較的ひかくてき安全あんぜん場所ばしよもとめることがむし得策とくさくであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それは人にわれてうしなったきつねが、ほかの慈悲じひぶか人間にんげんたすけをもとめているのだということはすぐかりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
また有力いうりよくなる銀行團ぎんかうだん援助ゑんじよもとめることは、充分じうぶん了解れうかい事實じじつあらは意味いみおいもつと必要ひつえうかんがへてクレデイツトの設定せつてい交渉かうせふ開始かいししたのであるが
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
其文そのふみびらけばたゞ一トこと美尾みをにたるもの御座候ござさふらふ行衞ゆくゑをおもとくださるまじく、此金これまちちゝをとのねがひに御座候ござさふらふ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
伶人れいじんの着けた小忌衣おみごろも竹の模様と松の緑が混じり、挿頭かざしの造花は秋の草花といっしょになったように見えるが、「もとめこ」の曲が終わりに近づいた時に
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
但馬守たじまのかみ莞爾くわんじわらつて、ひやく宗教しうけうせん道徳だうとくも、ひとつの死刑しけいといふものにはかなはない、これほど效果かうくわおほいものはもとむることが出來できないとおもつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
きみ遺族いぞく小穴君をあなくんなどがそれをもとめるけれど、きみほんかざれるやうなことがぼくけるものか。でもぼくはこのほんのためにたつたひとつだけは手柄てがらをしたよ。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
そしてしずかなところを、もとめて林の中に入ってじっと道理どうりを考えていましたがとうとうつかれてねむりました。
手紙 一 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「あの老人ろうじんたすけをもとめたくはない。なあに、いのちがけでおりてみせる。ぼくぬか、それとも、うちつかだ」
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
やがて、その商人あきうどは、やう/\のことでもと天竺てんじくにあつたのをもとめたといふ手紙てがみへて、皮衣かはごろもらしいものをおくり、まへあづかつた代金だいきん不足ふそく請求せいきゆうしてました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
晏子あんし(五〇)戄然くわくぜんとして衣冠いくわん(五一)をさめ、しやしていはく、『えい不仁ふじんいへども、やくまぬかれしむ。なんつをもとむるのすみやかなるや』と。石父せきほいはく、『しからず。 ...
なほ何かをもとさがしてゐる時に、たれも一人としてその生命せいめいつなあたへてくれるものはありませんでした。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
〔評〕某士南洲にめんして仕官しくわんもとむ。南洲曰ふ、汝俸給ほうきふ幾許いくばくを求むるやと。某曰ふ、三十圓ばかりと。
いよ/\一室をてらさば吾が身上のこらずのちからつくしてもとむべし、なかだちして玉はるべしといひしが、そのゝちなにの便たよりもなくてやみぬ、空言そらごとにてありしと思はる云云。
とうさんは、袖子そでこのために人形にんぎょうまでも自分じぶん見立みたて、おな丸善まるぜんの二かいにあった独逸ドイツ出来でき人形にんぎょうなかでも自分じぶんったようなものをもとめて、それを袖子そでこにあてがった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
サラバすこしく道をまげても当路へ出、国家のために力を尽し名をも後世にあげまほしきにて、みずから進んでもとむる人もあるべし、この二人は跡同じうして志異なりというべし
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
のついたこと、ちぬことは、すこしの遠慮えんりょもなく、どしどしおたずねせんければ駄目だめであるぞ。すべて神界しんかいおきてとして、こちらのもとめるだけしかおしえられぬものじゃ。
二人ふたりものおいこゝろはせ何事なにごとにももとめばてんいま我父わがちゝ彼等かれらのためにこれをたまふべし。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
みづうつつきうばはんとする山猿やまざるよ、無芸むげい無能むのうしよくもたれ総身そうみ智恵ちゑまはりかぬるをとこよ、よつうをもとくさうつへびをどろ狼狽うろたへものよ、白粉おしろいせて成仏じやうぶつせんことねが艶治郎ゑんぢらう
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
4、姿は、心なく望みに迷ひ何となくもとめつつゆく二十一の女のうしろ姿。等々——以下略。
鼯鼠むささびぬれもとむとあしひきのやま猟夫さつをにあひにけるかも 〔巻三・二六七〕 志貴皇子
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
◯進んで八節において「もし我ならんには我は必ず神につげもとめ、わが事を神に任せん」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
そして、おくさんのねつ心な賛成さんせいた上で、くるしい内からやうやく工めんして、非常ひじやう期待きたいとともにもとめたのが、ちの一万二千三百七十五がうといふたつた一まいの、その△△債劵さいけんなのであつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
時機のじゅくするのを待っている、かれらは早晩自分らの住まいをもとめるだろう、いまは東方川の口に宿やどっているが、一歩転ずれば平和湖を発見するだろう、湖畔こはんにそってさまよううちには
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
さてロセツが何故なにゆえに浅田を指名して診察しんさつもとめたるやというに、診察とは口実こうじつのみ、公使はかねて浅田が小栗に信用あるを探知たんちし、治療ちりょうに託してこれにしたしみ、浅田をかいして小栗との間に
おれときみとはへいへだてゝめくらさがしにおたがひをもと
まじまじと日向ひなたもとむる病人やまうどなやましく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ちんは、もっとそれ以上いじょうのもの、永久えいきゅう平和へいわもとめているのじゃ。はやく、ちんいしになり、くさになり、なんじ魔法まほうでしてもらいたい。」
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
勘次かんじ例令たとひ品物しなものつたところで、自分じぶん現在いまちからでは到底たうていそれはもとめられなかつたかもれぬと今更いまさらのやうに喫驚びつくりしてふところれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
通常つうじやう人間にんげんは、ことも、わることみな身外しんぐわいからもとめます。すなは馬車ばしやだとか、書齋しよさいだとかと、しか思想家しさうか自身じしんもとめるのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「じゃあぼくで代わりはつとまりませんか」とかれが代わりの子どもをどこにももとめかねて、ぼんやりうちに帰って来たとき、わたしは言った。
マーキューシオーのたましひがつい頭上とうじゃう立迷たちまようて同伴者どうばんじゃもとめてゐる、足下おぬしか、おれか、兩人ふたりながらか、同伴どうばんをせねばならぬぞ。
悪魔あくまいまにくほつする、もとむる……ほとけ鬼女きぢよ降伏がうぶくしてさへ、人肉じんにくのかはりにと、柘榴ざくろあたへたとふではいか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さひはひ、彼處あれゆる白色巡洋艦はくしよくじゆんやうかん、あれは何國いづこ軍艦ぐんかんで、何處どこから何處どこしての航海中かうかいちうかはわからぬが、一應いちおうかのふねたすけをもとめては如何どうだらう。
ややありて旅費りょひもとめてここを去りぬ。後に聞けば六郎が熊谷に来しは、任所にんしょへゆきし一瀬があといてゆかんに、旅費なければこれをぬとてなりけり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
賣代うりしろなし其金をもち藤八樣へ相談申て何方なりと再び縁をもとめよや其後自然しぜん我事を思ひ出せし日もあらば只一ぺん回向ゑかうをと云ばお節はうらめしげに九助のかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)