“ことさら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コトサラ
語句割合
殊更83.2%
5.1%
特更5.1%
故意3.6%
1.5%
所故0.7%
故更0.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お糸は二ツ年下の十六であるが、この頃になっては長吉は殊更ことさらに日一日とお糸がはるか年上の姉であるような心持がしてならぬのであった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それから、一カ月前町長に挙げられて、年俸を三百円頂戴する身分になった事を、面白半分、殊更ことさらに真面目な句調で吹聴ふいちょうして来た。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
脚を重ねて椅子いすに座す。ポケットより新聞と老眼鏡とを取り出し殊更ことさらに顔をしかめつつこれを読む。しきりにゲップす。やがてねむる。
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
此方こなたは愈大得意にて、ことさらしずかに歩めば、二人は遂に堪へ兼ねて、言葉をかけ、予の成功を祝せし後、「何処にて釣り候ぞ」と問へり。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
彼の眼は子供のように、純粋な感情をたたえていた、若者は彼と眼を合わすと、あわててその視線を避けながら、ことさらに馬の足掻あがくのを叱って、
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
私の同僚の一人はことさらに大きな声を出して、新聞に出ている姦通かんつう事件を、私の前で喋々ちょうちょうして聞かせました。
二つの手紙 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ことに欄間の周囲に張った模様画は、自分の知り合いのさる画家に頼んで、色々相談の揚句に成ったものだから、特更ことさら興味が深い。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
特更ことさらあれは支那流というのですか病人流というのですか知りませんが、紳士淑女となると何事も自分では仕無いで、アゴ指図を極め込んで甚だ尊大に構えるのが当世ですネ。
旅行の今昔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
日出雄少年ひでをせうねん特更ことさら子供心こどもごゝろ愉快ゆくわい愉快ゆくわいたまらない
ひそかに近寄ってその不意を襲うにしかずと、市郎は故意ことさら跫音あしおとぬすんで、煙のなびくかたへ岩伝いに辿った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
のみならず、兄の眼から見れば、彼女が故意ことさらに自分にだけ親しみを表わしているとしか解釈ができまいと考えて誰にも打ち明けられない苦痛を感じた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして此のジメジメとした台所で間に合はぬこともなかつたが、故意ことさらに井戸端へ出て顔を洗ふ気持になつた。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
そこでことさらに洋燈を取つて左の手にして其図に近〻と臨んで、洋燈を動かしては光りの強いところを観ようとする部分〻〻に移しながら看た。
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
そこでことさら洋燈ランプを取って左の手にしてその図に近〻ちかぢかと臨んで、洋燈ランプを動かしては光りの強いところを観ようとする部分〻〻に移しながら看た。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と謂ツて學士は、何も謹嚴に構へて、所故ことさらひとに白い齒を見せぬといふつもりでは無いらしい。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
シンネリムッツリと仏頂面ぶっちょうづらをして置いて急にはしゃぎ出して騒いで見たり、故更ことさらけたはずれた馬鹿々々しい種々雑多な真似をして一々その経験をあじわって見て
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)