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故
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ことさら
ふりがな文庫
“
故
(
ことさら
)” の例文
此方
(
こなた
)
は愈大得意にて、
故
(
ことさら
)
に
徐
(
しずか
)
に歩めば、二人は遂に堪へ兼ねて、言葉をかけ、予の成功を祝せし後、「何処にて釣り候ぞ」と問へり。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
彼の眼は子供のように、純粋な感情を
湛
(
たた
)
えていた、若者は彼と眼を合わすと、
慌
(
あわ
)
ててその視線を避けながら、
故
(
ことさら
)
に馬の
足掻
(
あが
)
くのを叱って
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
殊に一部の政客中に
些々
(
ささ
)
たる感情に捉えられて
故
(
ことさら
)
に異を
樹
(
た
)
て、いわゆる小異を捨てて大同に合するの雅量を欠く
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
わたくしは問題なき処に
故
(
ことさら
)
に問題を構へ成すものでは無い。しかしわたくしは一の証拠を得むことを欲する。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
庭の
風情
(
ふぜい
)
は
添
(
そは
)
りけれど、
軒端
(
のきば
)
なる
芭蕉葉
(
ばしようば
)
の
露夥
(
つゆおびただし
)
く夜気の侵すに
堪
(
た
)
へで、やをら内に入りたる貫一は、障子を
閉
(
た
)
てて
燈
(
ひ
)
を
明
(
あか
)
うし、
故
(
ことさら
)
に床の間の置時計を見遣りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
比日
(
このころ
)
天地
(
てんち
)
の
灾
(
わざわひ
)
、常に異なる事有り。思ふに朕が
撫育
(
むいく
)
の
化
(
け
)
、
汝
(
なんぢ
)
百姓に於きて
闕失
(
けつしつ
)
せる所有らむか。今
故
(
ことさら
)
に使者を
発遣
(
ほつけん
)
して
其
(
そ
)
の疾苦を問はしむ。宜しく朕が
意
(
こころ
)
を知るべし。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
寄
(
よ
)
せしが
又
(
また
)
故
(
ことさら
)
にホヽと
笑
(
わら
)
つて
孃
(
じやう
)
さま
一寸
(
ちよつ
)
と
御覽
(
ごらん
)
遊
(
あそ
)
ばせ
此
(
この
)
マア
樣子
(
やうす
)
の
可笑
(
をか
)
しいことよと
面白
(
おもしろ
)
げに
誘
(
いざな
)
はれて
何
(
なん
)
ぞとばかり
立出
(
たちいづ
)
る
優子
(
いうこ
)
お
八重
(
やへ
)
は
何故
(
なぜ
)
に
其樣
(
そのやう
)
なことが
可笑
(
をか
)
しいぞ
私
(
わた
)
しには
何
(
なん
)
とも
無
(
な
)
きを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
別に何うもしません、左様さ投捨て仕舞いました、外へ出てから目「では誰か拾た者があろう、好し/\
私
(
わし
)
が
能
(
よ
)
く探させて見よう」読者よ目科は奥の奥まで探り詰ん為め
故
(
ことさら
)
に
斯
(
かゝ
)
る
偽
(
いつわ
)
りの問を設けて
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
彼は
故
(
ことさら
)
に
瞪
(
みは
)
れる
眼
(
まなこ
)
を
凝
(
こら
)
して、貫一の
酔
(
ゑ
)
ひて赤く、笑ひて
綻
(
ほころ
)
べる
面
(
おもて
)
の上に、或者を
索
(
もと
)
むらんやうに
打矚
(
うちまも
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それが
素戔嗚尊
(
すさのおのみこと
)
には腹も立てば同時にまた何となく嬉しいような心もちもした。彼は醜い顔をしかめながら、
故
(
ことさら
)
に彼等を
脅
(
おびやか
)
すべく、一層
不機嫌
(
ふきげん
)
らしい眼つきを見せた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし書を著すものは
故
(
ことさら
)
に審美学者の所謂無秩序中の秩序を求め、
参差
(
さんし
)
錯落の趣を成して置きながら、
這般
(
しやはん
)
の語を以て人を欺くのである。
惟
(
たゞ
)
清川の此八字は実録である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そうして、残酷な世間の迫害に苦しんでいる、私たち夫妻に御同情下さい。私の同僚の一人は
故
(
ことさら
)
に大きな声を出して、新聞に出ている
姦通
(
かんつう
)
事件を、私の前で
喋々
(
ちょうちょう
)
して聞かせました。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蘭軒の
外舅
(
ぐわいきう
)
飯田休庵が七十の賀をした。「歌詠学成仙府調、薬丹伝得杏林方」は蘭軒が贈つた詩の頷聯である。わたくしは休庵が事迹の徴すべきものがあるために、
故
(
ことさら
)
に此二句を録する。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
頭を
捻向
(
ねぢむ
)
けて満枝に対せる鴫沢の顔の色は、この時
故
(
ことさら
)
に解きたりと見えぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さもなければ
夜伽
(
よとぎ
)
の
行燈
(
あんどう
)
の光の下で、支考と浮世話に耽つてゐる際にも、
故
(
ことさら
)
に孝道の義を
釈
(
と
)
いて、自分が師匠に仕へるのは親に仕へる
心算
(
つもり
)
だなどと、長々しい述懐はしなかつたであらう。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“故”の意味
《名詞》
(ふる)使い古したもの。おさがり。
(ふる)年を経たこと。
(ふる)以前のもの。
(ゆえ、体言や活用語の連体形などに付いて用いられる)理由。わけ。特別な事情。
(ゆえ)由緒。
(ゆえ)おもむき。
(ゆえ)縁故。
(ゆえ)故障。
《形容動詞》
(ことさら)故意に。わざと。わざわざ。
(ことさら)とりたてて。とりわけ。特に。格別。
(出典:Wiktionary)
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
“故”を含む語句
何故
故郷
事故
故障
故意
其故
縁故
故々
故家
所故
反故
故里
故事
故国
故人
物故
故主
何故々々
故買
故國
...