けに)” の例文
口の中に真黒い血が一とかたまり泌み出いておる処を見ると、これは尋常事ただごとじゃないと気が付いたけに、今日がきょうまで世間の噂を探りおったものじゃがなあ
そう思うておりますけに、あれから毎晩、腰から下、血だらけになった娘のお熊が枕上まくらがみに立ってサメザメと泣きまする
如何にも貴様の云う通り人間は老少不定ふじょう。いつ死ぬるかわからん。俺の親父おやじも中気で死んどるけに血統すじを引いた俺も中気でポックリ死なんとは限らん。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何を申すにも御封印のお金の御威光が光っておりますけに、心配な事は御座いません。
芸者を連れて松囃子ドンタクに出る事ぐらいにしといて下さい。もっともこれは私共の若い時代じぶんの事で、今は若い者が学校に行きますお蔭で皆、賢明りこうになりましたけに、そげな馬鹿はアトカタもうなりました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)