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故
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わざ
ふりがな文庫
“
故
(
わざ
)” の例文
故
(
わざ
)
と
下
(
お
)
りて
見
(
み
)
た
篠山
(
さゝやま
)
の
驛
(
えき
)
のプラツトホームを
歩行
(
ある
)
くのさへ、
重疊
(
ちようでふ
)
と
連
(
つらな
)
る
山
(
やま
)
を
見
(
み
)
れば、
熊
(
くま
)
の
背
(
せ
)
に
立
(
た
)
つ
思
(
おもひ
)
がした。
酒顛童子
(
しゆてんどうじ
)
の
大江山
(
おほえやま
)
。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その弊所をごく分りやすく一口に御話すれば生きたものを
故
(
わざ
)
と四角四面の
棺
(
かん
)
の中へ入れてことさらに融通が
利
(
き
)
かないようにするからである。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
髷も女優卷でなく、
故
(
わざ
)
とつい通りの束髮で、薄化粧の
淡洒
(
あつさり
)
した意氣造。
形容
(
しな
)
に合はせて、煙草入も、好みで持つた氣組の
婀娜
(
あだ
)
。
貝殻追放:017 泉鏡花先生と里見弴さん
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
すれば、
當國
(
このくに
)
の
風習通
(
ならはしどほ
)
りに、
顏
(
かほ
)
は
故
(
わざ
)
と
隱
(
かく
)
さいで、
最
(
いっち
)
良
(
よ
)
い
晴衣
(
はれぎ
)
を
着
(
き
)
せ、
柩車
(
ひつぎぐるま
)
に
載
(
の
)
せて、カピューレット
家
(
け
)
代々
(
だい/\
)
の
古
(
ふる
)
い
廟舍
(
たまや
)
へ
送
(
おく
)
られさッしゃらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
まだ其上に
腕車
(
くるま
)
やら自転車やらお馬やらお馬車やら折々は
故
(
わざ
)
と手軽に甲斐々々しい洋服出立のお
歩行
(
ひろひ
)
で何から何まで一生懸命に
憂身
(
うきみ
)
を
扮
(
やつ
)
された。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
と言捨て逃げる拍子に、
泥濘
(
ぬかるみ
)
へ足を突込む、容易に下駄の歯が抜けない様子。「それ見たか」と私は指差をして、思うさま笑ってやりました。
故
(
わざ
)
と
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
されど
故
(
わざ
)
とならぬ其罪を
贖
(
あがな
)
はんとてこそ、車上の
貴人
(
あてびと
)
は我に字を識り書を讀むことを教へしめ給ひしなれ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼奴
(
あいつ
)
己の
拵
(
こせ
)
えた棚の外から三つや四つ擲ったッて毀れねえことを知ってるから、
先刻
(
さっき
)
打擲
(
ぶんなぐ
)
った時、
故
(
わざ
)
ッと行灯の
陰
(
かげ
)
になって、
暗
(
くれ
)
い所で内の方から
打
(
たゝ
)
きやアがったのは
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この
仮面
(
めん
)
一個
(
ひとつ
)
が中心となって、芸術本位の
親父
(
おやじ
)
や、虚栄心に富んだ近代式の娘などが作り出される事になったので……狂言の種を明せばそれだけです。頼家の最期は
故
(
わざ
)
と蔭にしました。
修禅寺物語:――明治座五月興行――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
松枝に不意を突かれたくない用心から、
故
(
わざ
)
と、恬淡らしく「やあ!」と言った。
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
故
(
わざ
)
々其の時計を捲いたのが怪しい、余は初めに其の顔の美しさに感心し、外の事は心にも浮かばずに居たが、追々斯様な怪しさが浮かんで来た、猶此の外に怪しい箇条が有るかも知れぬ
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
私事恥を恥とも思はぬ者との御さげすみを
顧
(
かへりみ
)
ず、先頃
推
(
お
)
して
御許
(
おんもと
)
まで
参
(
さん
)
し候胸の内は、なかなか御目もじの上の
辞
(
ことば
)
にも尽し
難
(
がた
)
くと
存候
(
ぞんじさふら
)
へば、まして廻らぬ筆には
故
(
わざ
)
と何も
記
(
しる
)
し申さず候まま
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
デミトリチは
彼等
(
かれら
)
が
厨房
(
くりや
)
の
暖爐
(
だんろ
)
を
直
(
なほ
)
しに
來
(
き
)
たのであるのは
知
(
し
)
つてゐたのであるが、
急
(
きふ
)
に
何
(
なん
)
だか
然
(
さ
)
うでは
無
(
な
)
いやうに
思
(
おも
)
はれて
來
(
き
)
て、
是
(
これ
)
は
屹度
(
きつと
)
警官
(
けいくわん
)
が
故
(
わざ
)
と
暖爐職人
(
だんろしよくにん
)
の
風體
(
ふうてい
)
をして
來
(
き
)
たのであらうと
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
落とせしが
故
(
わざ
)
と
笑
(
わらひ
)
に
紛
(
まぎら
)
し再び亭主に
對
(
むか
)
ひ此印籠は拙者が心當りの人の所持品に相違なし
然
(
さ
)
りながら
斯
(
かく
)
申せし
計
(
ばか
)
りにては不審は晴まじ彼の夫婦の面體は
斯樣々々
(
かやう/\
)
には有ざりしやと云うに亭主は手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
故
(
わざ
)
とならぬ女の魂見えて床し。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
で、
袂
(
たもと
)
から
卷莨
(
まきたばこ
)
を
取
(
と
)
つて、
燐寸
(
マツチ
)
を
摺
(
す
)
つた。
口
(
くち
)
の
先
(
さき
)
に
𤏋
(
ぱつ
)
と
燃
(
も
)
えた
火
(
ひ
)
で
勢付
(
いきほひづ
)
いて、
故
(
わざ
)
と
煙
(
けむり
)
を
深
(
ふか
)
く
吸
(
す
)
つて、
石炭
(
せきたん
)
臭
(
くさ
)
いのを
浚
(
さら
)
つて
吹出
(
ふきだ
)
す。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
故
(
わざ
)
とらしく教訓を
狙
(
ねら
)
って書いたものではないが、自然と出来上った其作品の中に
於
(
おい
)
て、余は如上の教訓を認め得たと云うなれば、私は作家として満足である。
予の描かんと欲する作品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
怒った
振
(
ふり
)
も
気取
(
けど
)
られたくないと、物を言おうとすれば声は
干乾
(
ひから
)
びついたようになる、
痰
(
たん
)
も
咽喉
(
のど
)
へ引懸る。
故
(
わざ
)
と
咳
(
せき
)
払して、
可笑
(
おかし
)
くも無いことに
作笑
(
つくりわらい
)
して、猫を冠っておりました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それとも、
餘
(
あ
)
まり
手輕
(
てがる
)
う
手
(
て
)
に
入
(
い
)
ったとお
思
(
おも
)
ひなさるやうならば、
故
(
わざ
)
と
怖
(
こは
)
い
貌
(
かほ
)
をして、
憎
(
にく
)
さうに
否
(
いや
)
と
言
(
い
)
はう、たとひお
言寄
(
いひよ
)
りなされても。さもなくば、
世界
(
せかい
)
かけて
否
(
いや
)
とは
言
(
い
)
はぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
母は心の
中
(
うち
)
では不憫でならんが、義理にからんで是非もなく/\
故
(
わざ
)
と声をあらゝげまして
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「何ぢや、失敬な事
吐
(
ぬ
)
かす、」と肱枕君は
勃
(
むつく
)
と起直りて
故
(
わざ
)
とらしく拳を固め
貧書生
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
巡査
(
じゆんさ
)
や、
憲兵
(
けんぺい
)
に
遇
(
あ
)
ひでもすると
故
(
わざ
)
と
平氣
(
へいき
)
を
粧
(
よそほ
)
ふとして、
微笑
(
びせう
)
して
見
(
み
)
たり、
口笛
(
くちぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
いて
見
(
み
)
たりする。
如何
(
いか
)
なる
晩
(
ばん
)
でも
彼
(
かれ
)
は
拘引
(
こういん
)
されるのを
待
(
ま
)
ち
構
(
かま
)
へてゐぬ
時
(
とき
)
とては
無
(
な
)
い。
其
(
そ
)
れが
爲
(
ため
)
に
終夜
(
よつぴて
)
眠
(
ねむ
)
られぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
少し気が
怯
(
ひるん
)
だけれど、素より幽霊などの此の世に在る事を信せず、殊には腕力も常人には勝れ、今まで力自慢で友人などにも褒められて来た程だから「ナアニ平気な者サ」と
故
(
わざ
)
と口で平気を唱え
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
と
如何
(
いか
)
なる
企
(
くはだて
)
か、
内證
(
ないしよう
)
の
筈
(
はず
)
と
故
(
わざ
)
と
打明
(
うちあ
)
けて
饒舌
(
しやべ
)
つて、
紅筆
(
べにふで
)
の
戀歌
(
こひうた
)
、
移香
(
うつりが
)
の
芬
(
ぷん
)
とする、
懷紙
(
ふところがみ
)
を
恭
(
うや/\
)
しく
擴
(
ひろ
)
げて
人々
(
ひと/″\
)
へ
思入
(
おもひいれ
)
十分
(
じふぶん
)
で
見
(
み
)
せびらかした。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
仇敵同士
(
かたきどうし
)
は
何
(
いづ
)
れにあるぞ? カピューレット! モンタギュー!……
見
(
み
)
い、
是
(
これ
)
皆
(
みな
)
汝等
(
おぬしたち
)
が
相憎惡
(
にくみあひ
)
の
懲罰
(
こらしめ
)
、
天
(
てん
)
は
故
(
わざ
)
と
子供等
(
こどもら
)
を
愛
(
あい
)
しあはせ、
以
(
もっ
)
て
汝等
(
おぬしら
)
が
歡樂
(
よろこび
)
をば
殺
(
ころ
)
させられたわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
巡査
(
じゅんさ
)
や、
憲兵
(
けんぺい
)
に
遇
(
あ
)
いでもすると
故
(
わざ
)
と
平気
(
へいき
)
を
粧
(
よそお
)
うとして、
微笑
(
びしょう
)
して
見
(
み
)
たり、
口笛
(
くちぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
いて
見
(
み
)
たりする。
如何
(
いか
)
なる
晩
(
ばん
)
でも
彼
(
かれ
)
は
拘引
(
こういん
)
されるのを
待
(
ま
)
ち
構
(
かま
)
えていぬ
時
(
とき
)
とては
無
(
な
)
い。それが
為
(
ため
)
に
終夜
(
よっぴて
)
眠
(
ねむ
)
られぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と
故
(
わざ
)
と磊落らしく笑ひながら口の
裡
(
うち
)
にて、(実は自分にも解らない!)
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
大鞆は心中に己れ見ろと云う如き
笑
(
えみ
)
を隠して
故
(
わざ
)
と頭を
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
髷
(
まげ
)
も
女優巻
(
じょゆうまき
)
でなく、
故
(
わざ
)
とつい通りの
束髪
(
そくはつ
)
で、
薄化粧
(
うすげしょう
)
の
淡洒
(
あっさり
)
した
意気造
(
いきづくり
)
。
形容
(
しな
)
に合せて、
煙草入
(
たばこいれ
)
も、好みで持つた
気組
(
きぐみ
)
の
婀娜
(
あだ
)
。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
デミトリチは
彼等
(
かれら
)
が
厨房
(
くりや
)
の
暖炉
(
だんろ
)
を
直
(
なお
)
しに
来
(
き
)
たのであるのは
知
(
し
)
っていたのであるが、
急
(
きゅう
)
に
何
(
なん
)
だかそうでは
無
(
な
)
いように
思
(
おも
)
われて
来
(
き
)
て、これはきっと
警官
(
けいかん
)
が
故
(
わざ
)
と
暖炉職人
(
だんろしょくにん
)
の
風体
(
ふうてい
)
をして
来
(
き
)
たのであろうと
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『浮雲』の文章に往々多少の
露臭
(
ろしゅう
)
があるのはこれがためであろうが、そこが在来の文章型を破った独創の貴とさである。美妙のは花やかにコッテリして
故
(
わざ
)
とらしい
厭味
(
いやみ
)
のある欧文の模倣に
充
(
み
)
ちていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
会の趣が趣であるから、
故
(
わざ
)
と遠慮をしたらしい。が、ちょうど発起人を代表して、当夜の人気だった
一俳優
(
あるやくしゃ
)
が開会の辞を
陳
(
の
)
べ終った処であった。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ほんの
蝋燭
(
おてらし
)
だ、
旦那
(
だんな
)
。」さて、
最
(
もつと
)
も
難場
(
なんば
)
としたのは、
山下
(
やました
)
の
踏切
(
ふみきり
)
の
處
(
ところ
)
が、
一坂
(
ひとさか
)
辷
(
すべ
)
らうとする
勢
(
いきほひ
)
を、
故
(
わざ
)
と
線路
(
せんろ
)
で
沮
(
はゞ
)
めて、ゆつくりと
強請
(
ねだ
)
りかゝる。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
足巻
(
あしまき
)
と名づける針金に似た黒い
蚯蚓
(
みみず
)
が多いから、
心持
(
こころもち
)
が悪くつて、
故
(
わざ
)
と外を枕にして、並んで寝たが、
最
(
も
)
う夏の初めなり、私には清らかに
小掻巻
(
こがいまき
)
。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
故
(
わざ
)
とらしいと思いますから、友だちの見ない間に、もとへ戻して、立掛けて、拝んで挨拶をして、その日は済みました。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山茶花
(
さざんか
)
の枝を
故
(
わざ
)
と持って、悪く気取って
歩行
(
ある
)
くよりはましだ、と私が思うより、売ってくれた
阿媽
(
おっかあ
)
の……
栄螺
(
さざえ
)
を
拳
(
こぶし
)
で割りそうなのが
見兼
(
みか
)
ねましてね
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
実際、其処に
踞
(
しゃが
)
んだ、胸の
幅
(
はば
)
、
唯
(
ただ
)
、一尺ばかりの
間
(
あいだ
)
を、
故
(
わざ
)
とらしく泳ぎ
廻
(
まわ
)
って、これ見よがしの、ぬっぺらぼう!
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汝
(
きさま
)
とても、少しは分つて
居
(
お
)
らう。分つて居て、其の主人が旅行と云ふ
隙間
(
すきま
)
を
狙
(
ねら
)
ふ。
故
(
わざ
)
と安心して大胆な
不埒
(
ふらち
)
を働く。うむ、耳を
蔽
(
おお
)
うて
鐸
(
すず
)
を盗むと云ふのぢや。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
初心
(
うぶ
)
らしく
故
(
わざ
)
と
俯向
(
うつむ
)
いて
赤
(
あか
)
く
成
(
な
)
つた。お
組
(
くみ
)
も、ほんのりと、
色
(
いろ
)
を
染
(
そ
)
めた、が、
庭
(
には
)
の
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
の
夕榮
(
ゆふばえ
)
である。
片しぐれ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「また、お
煩
(
わず
)
らいになるといかん。四十年来のおくりもの、
故
(
わざ
)
と持参しましたが、この菊細工の人形は、お話の様子によって、しばらくお目に掛けますまい。」
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
途
(
みち
)
すがらも、
此
(
こ
)
の
神祕
(
しんぴ
)
な
幽玄
(
いうげん
)
な
花
(
はな
)
は、
尾花
(
をばな
)
の
根
(
ね
)
、
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
、
山
(
やま
)
の
裂
(
さ
)
けた
巖角
(
いはかど
)
に、
輕
(
かろ
)
く
藍
(
あゐ
)
に
成
(
な
)
つたり、
重
(
おも
)
く
青
(
あを
)
く
成
(
な
)
つたり、
故
(
わざ
)
と
淺黄
(
あさぎ
)
だつたり、
色
(
いろ
)
が
動
(
うご
)
きつつある
風情
(
ふぜい
)
に
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
初心
(
うぶ
)
らしく
故
(
わざ
)
と
俯向
(
うつむ
)
いて
赤
(
あか
)
く
成
(
な
)
つた。お
君
(
きみ
)
も、ほんのりと
色
(
いろ
)
を
染
(
そ
)
めたが、
庭
(
には
)
の
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
の
夕榮
(
ゆふばえ
)
である。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、もの
珍
(
めづ
)
らしげに
瞻
(
みまも
)
つたのは、
故
(
わざ
)
と
拾
(
ひろ
)
ふために、
世
(
よ
)
に、
此處
(
こゝ
)
に
顯
(
あらは
)
れた
美
(
うつく
)
しい
人
(
ひと
)
とも
思
(
おも
)
つたらう。……
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
よき折から
京方
(
かみがた
)
に対し、関東の武威をあらはすため、都鳥を
射
(
い
)
て、
鴻
(
こう
)
の
羽
(
はね
)
、
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の矢を
胸
(
むな
)
さきに
裏掻
(
うらか
)
いて
貫
(
つらぬ
)
いたまゝを、
故
(
わざ
)
と、
蜜柑箱
(
みかんばこ
)
と思ふが
如何
(
いかが
)
、即ち其の昔
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
折要歩
(
せつえうほ
)
は、
密
(
そつ
)
と
拔足
(
ぬきあし
)
するが
如
(
ごと
)
く、
歩行
(
あゆむ
)
に
故
(
わざ
)
と
惱
(
なや
)
むを
云
(
い
)
ふ、
雜
(
ざつ
)
と
癪持
(
しやくもち
)
の
姿
(
すがた
)
なり。
齲齒笑
(
うしせう
)
は
思
(
おも
)
はせぶりにて、
微笑
(
ほゝゑ
)
む
時
(
とき
)
毎
(
つね
)
に
齲齒
(
むしば
)
の
痛
(
いた
)
みに
弱々
(
よわ/\
)
と
打顰
(
うちひそ
)
む
色
(
いろ
)
を
交
(
まじ
)
へたるを
云
(
い
)
ふ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何時
(
いつ
)
も、この会を催しますのに、
故
(
わざ
)
とらしく、凄味、不気味の趣向をしますと、病人が出来たり、怪我があったりすると言います——また全くらしゅうございますからね。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
佗
(
わび
)
しさは、
食
(
た
)
べるものも、
着
(
き
)
るものも、こゝに
斷
(
ことわ
)
るまでもない、
薄
(
うす
)
い
蒲團
(
ふとん
)
も、
眞心
(
まごころ
)
には
暖
(
あたゝか
)
く、
殊
(
こと
)
に
些
(
ちと
)
は
便
(
たよ
)
りにならうと、
故
(
わざ
)
と
佛間
(
ぶつま
)
の
佛壇
(
ぶつだん
)
の
前
(
まへ
)
に、
枕
(
まくら
)
を
置
(
お
)
いてくれたのである。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨
(
あめ
)
も
晴
(
は
)
れたり、ちやうど
石原
(
いしはら
)
も
辷
(
すべ
)
るだらう。
母様
(
おつかさん
)
はあゝおつしやるけれど、
故
(
わざ
)
とあの
猿
(
さる
)
にぶつかつて、また
川
(
かは
)
へ
落
(
お
)
ちて
見
(
み
)
やうか
不知
(
しら
)
。さうすりやまた
引上
(
ひきあ
)
げて
下
(
くだ
)
さるだらう。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
唯
(
たゞ
)
挨拶
(
あいさつ
)
をしたばかりの
男
(
をとこ
)
なら、
私
(
わし
)
は
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
、
打棄
(
うつちや
)
つて
置
(
お
)
いたに
違
(
ちが
)
ひはないが、
快
(
こゝろよ
)
からぬ
人
(
ひと
)
と
思
(
おも
)
つたから、
其
(
その
)
まゝに
見棄
(
みす
)
てるのが、
故
(
わざ
)
とするやうで、
気
(
き
)
が
責
(
せ
)
めてならなんだから
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一葉女史なんざ草双紙を読んだ時、
此
(
この
)
人は僕と違つて土蔵があつたさうで、土蔵の二階に本があるので、
故
(
わざ
)
と
悪戯
(
いたづら
)
をして、
剣突
(
けんつく
)
を食つて、叱られては土蔵へ
抛
(
はふ
)
り込まれるのです。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“故”の意味
《名詞》
(ふる)使い古したもの。おさがり。
(ふる)年を経たこと。
(ふる)以前のもの。
(ゆえ、体言や活用語の連体形などに付いて用いられる)理由。わけ。特別な事情。
(ゆえ)由緒。
(ゆえ)おもむき。
(ゆえ)縁故。
(ゆえ)故障。
《形容動詞》
(ことさら)故意に。わざと。わざわざ。
(ことさら)とりたてて。とりわけ。特に。格別。
(出典:Wiktionary)
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
“故”を含む語句
何故
故郷
事故
故障
故意
其故
縁故
故々
故家
所故
反故
故里
故事
故国
故人
物故
故主
何故々々
故買
故國
...